八五 戦闘に備えよ
考えては話し合い、また考えるという循環を何回か行いながら、小一時間経ってようやく作戦を固めることができた。
「じゃあ、この作戦でやってみましょう。もし想定外の事が起こっても、それぞれの考えで最善を尽くしましょう。それじゃあ、アビアンは弓矢部隊を引き連れて。エレーシーとエルルーアは主力部隊を。私は支援部隊の先導をします。それでいいわね」
軍幹部達は無駄に声をあげることなく、黙って頷いて了解の意を表すと、それぞれの部隊の指揮を執るために散らばった。
「よし、エレーシー、主力部隊の準備は整ったわね」
ある程度時間が経ったところで、森の奥の方からティナが様子を見に来た。
「そうだね。こっちはいつでも飛び出せるようには準備してるよ」
「それじゃあ、弓矢部隊の様子を見に行って来てくれるかしら。位置についたら、準備ができ次第、アビアンの判断ですぐに突撃させるように言って欲しいんだけど……」
「分かった、見てくるよ」
ティナの指示に従い、エレーシーはまさに移動しているであろう弓矢部隊の様子を見に行こうと茂みの奥の方へと入っていった。
軍幹部が考えた作戦では弓矢部隊は、ルビビニアの門に対峙する深い森の中でも、主力部隊や支援部隊とは少し離れた方で配置に着くことになっていた。
アビアン以外の軍幹部達は、先行部隊や支援部隊の意表を突くタイミングで弓矢部隊が飛び出さないように、離れていてもある程度動きを把握したいと思っていた。
そのため、突撃準備が出来ても、伝令の者が来るまでは戦闘を開始しないように予め計画していたのだった。
「アビアン、どう? 準備は出来た?」
「一応、言われた通りの準備はできたよ。問題は、私が部隊の指示ってあまりしたことないから、結構緊張してることぐらいかな……」
アビアンは苦笑いしながら話していた。
「大丈夫だよ。私だって、戦闘の玄人じゃないから……それに、今回先導する部隊は前段階みたいなものだから、今後、本格的に主力部隊を指揮することがあるなら、その前哨戦だと思って指揮すればいいよ」
「そう? エレーシーがそう言うなら……」
「今回は、私達二部隊が控えているから、安心して計画通りに進めばいいよ。計画では、アビアンの部隊は危険性はそんなにないから」
「分かった、じゃあ、がんばってみるね」
「良かった。私達主力部隊と支援部隊も準備は出来てるから、私が向こうに帰ったくらいの頃合いを見て飛び出していってね。私は向こうで見守ってるからね」
「うん、分かった。エレーシー、ありがとうね」
「いいよ。それじゃあ」
アビアンの様子を見て、何とか勇気づけることは出来たかなと安心したエレーシーは、これからは自分が先導する部隊の事を考えなくてはと頭を切り替えながら、自分の部隊の待つ茂みの方へと帰り、突撃の時を待つことにした。




