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ミュレス帝国建国戦記 ~平凡な労働者だった少女が皇帝になるまで~  作者: トリーマルク
第四章 急速進攻 ・ 第一二節 シュビスタシア奪還計画
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六〇 計画から実行へ

 ミュレス国幹部の話し合いは酒場の店員も止めることはできず、いつの間にか店員も帰ってしまったらしく、いくら呼んでも誰も応えてくれなくなっていたが、それも気にせずに話を続けた。

 そして、いつしか小屋の板の隙間から明るい日差しが差し込むようになっていた。

「おっと、いつの間にか朝になっていたようね」

「結構、作戦は詰められたかな?」

「いや、まだまだ粗いわ。もっと詰めないと……」

「でも、皆、少し寝たほうがいいわ。町役場の宿泊室で休んでから、続けましょうよ」

「確かに、疲れたー」

「そうね、ここで慌てるよりかは、一旦休憩を入れたほうがいいかもしれないわね。それじゃあ、町役場に戻りましょうか」

 ティナ達は、さっさと筆記用具や小皿の類を片付けて小屋を出て、町役場に戻ることにした。

 辺りはすっかり夜が明けており、トリュラリアでは数少ない漁師が通りを歩いていた。

 エレーシーは、これから起こる、一連の活動での大きな山場を迎えつつあることを考えながらも、その時のためにティナ達とともに、宿泊室で暫しの休息を、一秒一秒噛みしめるように眠りについた。


 数時間後。

 エレーシーが目を覚ますと、日は既に昇っており、町役場の前の道にも喧噪が戻ってきていた。アビアンやアルミアにとってはいつもの昼前の光景だった。

 エレーシーはまだ眠たげに目を擦りつつ町長室の扉を開けると、既に他の幹部の面々は起きて、机の周りでわいわいと談笑に勤しんでいた。

「あら、エレーシー」

 ティナは朝食代わりの軽食を手にしながら、戦いの前とは思えないほど優雅に挨拶をした。

「ティナ、どうしたの、それ?」

「アビアンが持ってきてくれたの。よく眠れたことだし、気分転換する意味でも、ここでしっかりと食べておこうと思ったの」

 ティナは、机の上に置かれた軽食をエレーシーにも手渡した。

「それにしても、この小さな町でよく手に入ったね」

「意外と物は揃うんだよ、商人の皆が売ってくれるの」

「商人が?」

「シュビスタシア港での積み込みが難しくなったから、東から来た人はここで全部売りさばこうとしてるんじゃないの?」

「それはそれで、何とも言えないなぁ……」

「早いとこ、ポルトリテまでのルートを確保して、ミュレス人が自由に行き来できるようにしたいわね」

「そのためにも、やっぱりシュビスタシアは重要だね」

「そうね。それに、ミュレシアでも比較的大事なシュビスタシアを押さえておけば、周りの民族も一目置くようになると思うわ」

「なるほど、そういう面もあるかもね」

「さてと、そうなれば、一日も早く取り返すためにも、もっと作戦を練りましょう」

 ティナの一言を皮切りに、その場に集っていた国軍幹部達は食事の手を止め、朝方まで話し合っていた作戦会議の続きを始めたのだった。


「よし、このくらい決めれば、大体大丈夫かしらね」

 ティナとエレーシーで作戦の詳細をまとめ上げると、すでに周りは日が沈んでおり、眼下には大街道を行き交う商人を捕まえようとしている宿屋の従業員があちこちに立っているのが見えた。

「後は、その場で臨機応変に対応するしかないのかな」

「どんなことにも、想定外はあるでしょうしね」

「そうと決まったら、兵士の皆に作戦を伝えに行こうかな」

「そうね。早いほうが良いわね」

「じゃあ、作戦実行は明後日で」

「明後日だね。分かった」

 国軍幹部達は各々、ティナとエレーシーの作った作戦の詳細を紙に書き写すと、それぞれ一部ずつ携えて、兵士たちの泊まっている宿屋を手分けして巡りながら、作戦を説明して周った。そして、エレーシー達も会議疲れを癒やすべく、ちゃんとした寝床に入ってつかの間の休息を取ることにしたのだった。

 シュビスタシア奪還作戦実行となる、明後日の夜が迫りつつあった。

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