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ミュレス帝国建国戦記 ~平凡な労働者だった少女が皇帝になるまで~  作者: トリーマルク
第一〇章 打倒地上統括府・第三〇節 ルビ=ルフェントの戦い
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二三七 遠征への決心

 地上統括府の大使を追い返してからというもの、エレーシー達は次の行動に向けて動きをさらに加速させて準備を行った。

 思えばルフェンティアに本部を置いてから、これまでずっと地上統括府の制圧と地上統括府市の奪還について、作戦会議を連日連夜続けていた。

 朝起きてから、まずは幹部会議があり、日中は自分の部隊の世話をしているが、日が暮れると夕食がてらに会議、そして寝る前にも会議と、会議に次ぐ会議を開いていた。

 もちろん、なんの目的もなくただ会議を続けているわけではなく、毎日、情報部隊からの最新情報を確認し、作戦を立案し、そして日中にそれに応じて訓練しつつ、それらの反応をもとに作戦を修正する等、非常に忙しない日々を送っていた。

 その間にも、次の作戦に向けて他都市に部隊を派遣したり、他の都市の部隊を別の都市に移動させたりと、その動きはミュレシア全土にわたっていた。


 ただ、時を同じくして「天政府軍が動いていない」などということは、もちろん考えてはいない。

「地上統括府との話し合いも決裂したことだし、地上統括府や天政府軍も準備を進めているだろう。それに、いつこのルフェンティアに乗り込んで再奪還を図っているやもしれない」

 エレーシーはほぼ毎日のように会議でこの言葉を発していた。

 そして、その言葉の通り、ルフェンティアでしっかりと防衛部隊を組織して襲撃にも備えていた。


 エレーシーは作戦立案と並列して地上統括府に偵察部隊を派遣していた。毎日そこから一報ずつ情報が届き、そこで地上統括府が現状どうなっているのか、そしてどのような動きをしているのかが手に取るようにわかった。それを夕方の幹部会議で報告し、それに沿って作戦を調整するといった形で役立てていた。


 毎日変わる作戦の中で方針は次第に決まっていった。決まったものは即実行していくので、ミュレス大国軍の動きは全土でさらに慌ただしくなっていた。

 幹部のうち、フェブラ、ティアラ、アルミア、ヤルヴィアー、ハルピア、エルダンディア、ヴェステックワが他の部隊の引率をするために、ルフェンティアを離れることになった。

 それから間もなくして、紆余曲折を経た作戦がいよいよ固まり、その間に他部隊の移動が完了したという情報も届いていた。

 後は、このルフェンティアから、作戦開始命令を下すだけであった。


 エレーシーは各部隊の準備が整ったという知らせを受け取ると、すぐさまフェルファトアとエルルーアを招集して3人で今後の方針について確認し、その後早速、幹部たちにも招集が掛かった。

 日中に招集が起こったこともあり、幹部たちはどうしたことだろうと思いながらも市役所に集まった。

 市役所の会議室に幹部達が集められて席につくと、エレーシーはすぐに立ち上がった。

「皆、忙しい中、集まってくれてありがとう」

 それからエレーシーは座らず、全員の顔を見渡した。

 誰もが緊張の面持ちでエレーシーに注目していた。

 この段階で開かれる臨時幹部会議の意味を、幹部たちは薄々感づいてはいたようだったが、彼女たちはあえてエレーシーの発言を待っているかのようにも思えた。

「ついに、私達は作戦を決行する」

 エレーシーは言葉少なに伝えたが、その口ぶりは非常に重たいものだった。

「出発は4日後。地上統括府の攻略は、そこからさらに3日後になる。他の都市に移った仲間は、もう明日にも出撃できるように備えてもらっている。伝達の時間も考えて、私達は7日後には攻略開始できるように、これから、これまで練りに練った作戦に沿って、行動するので、そのように」

 エレーシーはそれだけ言うと、席に座った。

「……はい!」

 幹部たちは、エレーシーが座った頃に、彼女の発言を噛み締めながら返事をした。

 その後エレーシーの代わりにフェルファトアが立ち上がった。

「もちろん、その間にも情報部隊から毎日情報が入ってきます。その情報も伝達するから、毎朝の幹部会議は継続するわ。でも、ここからは出撃に備えて、各自、自分と自分の管轄である部隊の調整に注意してね」

「はい!」

 それだけ伝えると、幹部会議は解散となった。

 いよいよこの時が来た。

 この会議に出席した幹部の誰もがそう感じていた。

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