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ミュレス帝国建国戦記 ~平凡な労働者だった少女が皇帝になるまで~  作者: トリーマルク
第九章 エルルーア参謀長・第二八節 ルフェンティア攻略と緊急参謀会議
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二二三 ルフェンティアの戦い2

「行けー! 行けー!」

 フェルファトアが剣を振るうと、主力部隊が横をすり抜けて、先陣を切ろうと前線に躍り出、主力部隊は早くも街道を塞ぐようにして前線を展開する。

「弓矢部隊も続け!」

 アビアンの合図とともに、弓矢部隊の隊長も声を上げる。

「相手は近くにいるはずだ! 探し出して、こちらから攻撃を仕掛ける!」

 各部隊が、作戦に沿って戦線を展開していく。


「ミュレス人が来たぞー!」

 ミュレス大国軍が作戦通りに戦いの体制を整えていく中、それに反応して、櫓の上で監視していた天政府軍がいち早く動きを察知し、戦線を展開し始めた。

 そしてミュレス大国軍と天政府軍は、ルフェンティアの門の前で、相対することとなった。


 二者の間に伸びるのは狭い街道で、その脇には森と川に挟まれている。

 川の方に目を向けると、船の往来を妨げる柵が設けられ、その手前に水路が作られ、全ての通行がルフェンティア市内で検問されるようになっていた。

 エレーシー達にとっては、立ちはだかる天政府軍を打ち倒すことこそ、ルフェンティア攻略の唯一の方法であった。


 いつものミュレス大国軍であれば、一旦立ち止まって間合いを取るのが通例である。

 しかし、今回は主力部隊は天政府軍の登場にもひるまず、即座に攻撃を仕掛ける。

 いつもならば「都市奪還」を主題として戦いを行っていたが、今回はとにかく、天政府軍を打ち倒すことだけを考えていた。

 そうしなければ相手の圧倒的な戦力の前にひるんでしまいそうだった、という一面も、そこにはあった。


「ミュレス人を倒すぞー!」

「うおーっ!」

 天政府軍も声を上げて、ミュレス大国軍に突っ込もうとしていた。

 これまでの天政府軍とは違い、この場にいる天政府軍の兵士たちは他にもまして血気盛んであった。

 それもそのはず、彼らの背後には要塞都市ルフェンティア、そしてその後ろには、このミュレシアを司る地上統括府があるのだから、ここが最終防衛線だと考えてもおかしくなかった。


「行けーっ!」

「りゃあっ!」

 至る所で自らの士気を上げる声、武器を振り回す声、様々な命令が飛び交い、いつもは静寂が支配する山間部の街道は熱気に包まれた。


 その時、黒く丸い塊が空を舞った。

「うわぁーっ!」

 その塊はミュレス大国軍の兵士達の中に投げ込まれ、地上に触れた途端に炸裂し、周りにいるもの全てを傷つけた。

「例の兵器だ! 特殊部隊! 早くこちらに援護を!」

「救護部隊! 救護部隊!」

「怪我人を後ろに下げろ!」

 その瞬間、ミュレス大国軍の指揮は混乱を見せた。

 しかし、それを百戦錬磨の天政府軍は見逃さなかった。

「行けー! 今のうちに打ちのめせー!」

 天政府軍の兵士たちはここぞとばかりにミュレス大国軍の兵士たちの間に入り込み、次々と切り捨てていった。


「まずいわ……これまでにないくらい劣勢だけど……」

 前線から少し離れたところにいたフェルファトアは、それをいち早く感じ取っていた。

 弱気とは言わない。しかし、どちらがこの場を支配しているかは明らかであった。

 この狭い街道では、いくらこちらの人数が多くても、前線を横に展開しきることは、現状不可能であった。

 この場では個々人の実力が現れる。

 これまで実力差を人数で補ってきたミュレス大国軍にとっては、これほど不向きな戦場はなかった。

 しかし、どうあれ、この場を乗り切らなければならなかった。


 そして、後ろで全体を見ているエレーシーの目にも、明らかに劣勢に見えた。

 しかし、こちらには特殊能力部隊がある。

 特殊能力部隊の持つ魔法の力を信じていた。

「ルーヌ、今こそ魔法の見せ所だ!」

「はい!」

 その一言でルーヌを特殊能力部隊の指揮により力を入れるように檄を飛ばした。

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