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ミュレス帝国建国戦記 ~平凡な労働者だった少女が皇帝になるまで~  作者: トリーマルク
 第七節 制限された社会の中で如何にして体制を成すか
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一九 横か、縦か

「でも、ティナとエレーシーの人数を合わせると1000人くらいだよね。すごいよ!」


 アビアンがエレーシーの肩を叩いて励ましたが、ティナはそれを聞いて背筋を伸ばした。


「1000人か……私の村の何倍もの人だものね……」


 フェルファトアは閉じていた目を伏し目がちに開けた。

「天政府人のような、縦型の体制にするしかないのかしらね……」


 この言葉にいち早く反応したのは、同じく縦型の社会で生きるエレーシーだった。


「でも、私達ミュレスの民はその『縦型』に支配され続けてきたんだし、嫌がる人も多いんじゃないかなぁ……」


「いやあ、それでもみんな横並びの社会にはならないわよ」


 フェルファトアは伸びをしながら応えた。


「これくらいならともかく、1000人もいたら決められないと思うわ。やっぱり、誰かが上に立たないと」


「みんなの上、か」


「まあ、決めるとしたら、この中から決めるのでしょうね」


 4人は、またもや周りを見回した。


「……フェルフはどう?」

 エレーシーが静寂を打ち破って声を上げた。


「私? だけど……4人の中じゃ私はよそ者だけど、いいの?」


「うーん……」


「エレーシーは? 頭もいいし」


 エレーシーは微笑みながら腕を組み、頭を揺らした。

「どうかなあ……」


「大丈夫よ」




 譲り合いの応酬が繰り返される中、一人様子を見つめていたティナが突然立ち上がった。


「待って。ここでこんな事をしてても何も決まらないわ。ここは、ここは……」


 ティナは口を固く締め、開くとともに小さく震えた声を発した。


「私が……やるわ」


 ティナはこれまでになく真剣な顔つきで3人を見下ろした。

 その覇気に、言い争っていたフェルファトアとエレーシーはただただ見上げるしかなかった。


「……ティナが、やるのね?」


「……ええ」


 3人は再び顔を合わせ、柔和な面持ちでティナを見つめた。


「そうだね。ティナなら優しいから、上に立っても反発は起きないかもね」


「そうね。足りないところは、私達で何とかしていきましょう」


「じゃあ、今から、私達の首長はティナでいい?」


「いいよ」


「決まりだね!」


 3人は拍手して新たな指導者の誕生を祝った。


 ティナは、しばらく上を向いて立つばかりであった。




「じゃあ、私はティナの支援をするよ」


 エレーシーは拍手の手を止めてスッと立ち上がり、ティナの肩を抱いた。


「そうねえ、私もティナのサポートをしようかなあ」


 フェルファトアも少し考えた後にゆっくりと立ち上がった。


「じゃあ、私は……エレーシーの支援をする!」


 アビアンはサッと立ち上がり、勢いそのままにエレーシーに飛びついた。


「あ、こら」


 エレーシーは突然の抱擁に驚き、ティナの肩から手を放してアビアンを抱き返した。


「ふふ、決まったわね。それじゃあ、当面はこの4人を中心にして、がんばりましょう」


 ティナは少し笑みを浮かべながら、テーブルの上のグラスを手にして胸元へ掲げた。


 それを見た3人もティナの要求を察して各々のグラスを手にした。


「それじゃあ、明日からはさらにがんばりましょう。民族のために」


「民族のために」


 4人は再度グラスを合わせ、残りの酒を一気に飲み干した。

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