一六五 新しき諜報部隊
ずっと思い思いに唸りながら考えていると、エレーシーがぽつりと呟いた。
「でも、天政府人の……天政府軍の情報を引き出すなら、やっぱり天政府軍の中から引き出すしか無いのか……」
「えっ!? 天政府軍から引き出すですって!?」
エレーシーの言葉に、エルルーアは驚きの声を上げた。
「いや、それしか思い浮かばなくてね……」
「それはいくらなんでも無理じゃないかしら……」
「でも、犯人の情報を得ようと思ったら、これぐらいしかないのかなって。エルルーアは他に何か案は浮かんだ?」
「いえ、私にはまだ無いけど……」
エルルーアはそう答えると、俯いて顔を隠しながら、また考えることにした。
すると、突然一人の参加者が声を上げた。
「その案、いいかもしれません」
「えっ?」
その声を上げたのは、中央部隊の部隊長にして情報部隊長でもあるハルピアであった。
ハルピアはその勢いで立ち上がっていた。
「天政府軍の中から引き出すって、どうやって?」
アビアンはハルピアに疑問を投げかけた。
「もちろん、天政府軍に直接聞くことをしようとはする訳ではありません。私達情報部隊が天政府軍に侵入して、天政府軍の情報を掴んでくるんです」
「あの天政府軍に侵入するですって? それはさすがに難しいし、危険すぎるんじゃないかしら……」
ハルピアのあまりにも大胆な案に、あれほど復讐の炎を燃やしていたエルルーアも冷静な目でもって返事をした。
「うーん、そうだね。確かに、これまで天政府軍の生きてる施設に乗り込んだことは無いから非常に危険かも」
エレーシーもハルピアの案に難色を示した。
「せっかく情報部隊を作ったんですから、出動させて下さい」
軍幹部達のその微妙な反応も何のその、ハルピアは自分の案をしっかりと推し続けた。
「随分やる気だけど、成功はするんだろうね?」
「それは……やってみないと分かりませんが、作戦を成功させるためにもやってみたいんです」
ハルピアのこの執着心はどこから来るのだろうか? やはり、彼女もティナによくしてもらっていたのだろうかとエレーシーは少々気圧されていたが、彼女の熱意にも納得できるものがあった。
「うん、そこまで言うんだったら……どうだろうか?」
エレーシーはエルルーアの方を向いて意見を伺った。
「まあ、彼女達がその気なら、やってみてもいいんじゃないかしら……ただ、危険だと思ったらすぐに逃げられるように後方支援はしっかりとやっておくのよ、ハルピア」
「はい! 分かりました!」
ハルピアはエルルーアの方を向いて元気よく返事をした。
「それじゃあ、中央部隊もとい情報部隊には、天政府軍から犯人に関する情報を集めてくるように命じよう。情報はどんなものでもいい。とにかく、個人を特定して、その犯人がどこにいるのかについて分かるだけの情報を集めて来て」
エレーシーは統括指揮官としてハルピア率いる情報部隊に命令を下した。
「必ず帰ってきてね」
「はい!」
ハルピアはエレーシーの言葉に背中を押されるようにして市長室を後にした。
「さて、それじゃあ、情報部隊が情報を持って帰った後の事を考えておこうか」
「はい」
情報部隊が出動した後も、会議は続いたのであった。




