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一六四 有力な証言

 明日になって、まず情報が出てきたのは中央部隊の方だった。

 なんと、襲撃の直後に不審な影を見たという兵士がいたのであった。

 中央部隊の隊員は、ぜひ証言して欲しいとその兵士の手を引きながら、市長室に戻ってきた。

「統括指揮官! 襲撃犯の姿を見たという方を見つけました!」

「本当!? よくやった! それで、どんな人だった?」

 エレーシーは身を大きく乗り出して兵士から話を聞こうとした。

「どう?」

「あ、はい。私は総司令官の少し後ろ、左側を歩いていたんですが、総司令官が倒れた後、茂みから去る人物を見ました」

「何か特徴とかは?」

「特徴ですか、うーん……あれは天政府人でしたね。それと……女でした」

「女?」

「はい」

「ふーむ……女かあ……」

 大きめの手袋という証拠と矛盾していたが、おそらく予備か何かで持っていたのだろうと、彼女の話の方を正とするように改めて、また話を続けさせた。

「他には?」

「他ですか? うーん……髪は長かったですね。少し茶色がかった髪でした。あと、背は高めでしたね」

「高めってどのくらい?」

「どのくらい? えーと……総司令官と同じぐらいですかね」

「それじゃあ、まあまあ高めかな、」

 彼女の証言で、襲撃犯の姿が徐々に浮かび上がってきた。

 天政府人で女性の弓使いが襲撃犯ということであった。

「うーん……」

 その時、中央部隊のハルピアは話を聞きながら唸っていた。

「色々考えたけど、その女はおそらく、天政府軍の弓矢部隊の中でも、精密な射撃が出来る精鋭部隊の一員なんじゃないですかね」

「精鋭部隊?」

「私、聞いたことあるんです。どうも、天政府軍には各部隊にそういう闇に紛れるような仕事を主としている兵士がいるということを」

「闇に紛れるような仕事というと、今回のティナのような?」

「ええ。おそらくですけど」

「なるほど、だから総司令官であるティナを的確に狙ってきたと」

「恐ろしい女だわ」

 エルルーアは一言つぶやきながら足を組み、上を向いて考え事をしていた。

 どうやら頭の中で犯人像を組み立てながら、自分の中で憎しみを醸造しているようであった。

「まあ、精鋭部隊だということがわかったとしても、まだ名前も顔も分からないわけだけど、これからどうする?」

 フェルファトアがふと問いかけた。

「うーん……結局、その犯人を捕えて何らかの処分を与えるのが目的だから、その人が誰なのか、どこにいるのかが分からないとねえ」

「それには、もっと情報が必要だよね」

「情報って、これ以上どこから引っ張ってくるの?」

「うーん、そうだねえ……天政府人の知り合いでもいればいいんだけど……」

「まさか、そんな伝手はあったら驚きでしょ」

「まあ、普通は無いよね……どうしようかな……」

 軍幹部達は、再び腕を組み、各々ばらばらの方を向きながら、もっと情報を得る術が無いかを考え始めた。

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