表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/285

一六一 隊長会議


「しかし、自分で4つの部隊に分けるとは……」

「これまでやったことないことだから、よく分からないけど……」

 会議室に場を変えた隊長達は、腕を組んだり、上を向いて考え事をしながら、エレーシーから出された振り分けの課題に頭を悩ませていた。

「北、東、南、中央ですよね。とりあえず、この中からそれぞれの隊長を決めますか?」

「うーん、とりあえずそれを決めようか」

 主力部隊のリアディル・フェルメアーリアはとりあえずこの場を取り仕切ろうとして、他の隊長の話に乗った。

「とりあえず、情報部隊の隊長さんは中央部隊でいいですよね?」

「ええ、いいですよ」

 情報部隊長のハルピア・ト・タトーは、他の隊長から出された提案に即決した。

「それじゃあ、北部隊は主力部隊の我々で調査してみますよ」

「よろしくお願いします。それじゃあ、あとは東部隊と南部隊ですね。弓矢部隊はどうします?」

 突然選択を迫られた弓矢部隊長のヤルヴィアー・マルサトラーラは困惑したような顔でそろそろと声を出した。

「どうしますっていうのは、どっちがいいですかって事ですよね? えーと……まあ、それじゃあ南部隊で」

「それでは、軽装部隊は東部隊になりますね。副隊長はどうします?」

 隊長達はお互いの顔を見合わせながら案を考えた。

「それぞれの第二部隊の隊長さんにお願いしてみますかね」

「第二部隊がない情報部隊はどうしましょうか……」

「それじゃあ、救護部隊の私達が就きますよ」

 救護部隊長のリョップ・ノムレニアが自ら手を上げた。

「あ、ぜひお願い致します」

「後は、隊員の中から何人か選べばいいんですよね?」

「そうでしょうね」

「それじゃあ、そこは隊長と副隊長で話し合いましょうか」

「では、一旦分かれて副隊長と話し合いましょうか。終わったら、副隊長とこの部屋に集まるでいいですね?」

 早くも「中央部隊」という名前から、ハルピアが会議の中心に躍り出ていた。

「はい」

「それでは、一時解散しましょう」

 ハルピアの一声で、隊長達は一旦自分の宿に戻った。

 そして、第二部隊の隊長と誰を作戦部隊に入れるのかを話し合うと、再び会議室へと集合したのであった。


「それじゃあ、話もまとまったことですし、統括指揮官のもとに行きましょうか」

「ええ」

 とりあえず隊長、副隊長そしてその下の隊員が決まったところで、再び市長室に戻り、統括指揮官に決定事項を伝えることにした。


 隊長達が市長室に入ると、エレーシーはエルルーアやフェルファトアとこの作戦の詳細について話し合いをしていたようだった。

「統括指揮官! 隊長と副隊長の割り振りと、隊員の選出完了しました!」

 ここでもハルピアが代表して報告した。

 部隊長と副部隊長は、以下のように決まった。


 北部隊……部隊長:リアディル・フェルメアーリア 副部隊長:レッティア・サルファトーリア

 東部隊……部隊長:ヴェルフェンティア・シュマルス 副部隊長:アッシアン・ヴェノディア

 南部隊……部隊長:ヤルヴィアー・マルサトラーラ 副部隊長:エレーシア・リュコシア

 中央部隊……部隊長:ハルピア・ト・タトー 副部隊長:リョップ・ノムレニア


「どうもありがとう。それじゃあ、作戦出発前の最終会議をしよう」

 エレーシーは、隊長達を席に掛けさせ、おもむろに話し始めた。

「私達が知っていることは、まず、総司令官に放たれた『矢』についてのこと」

 そう言うと、エレーシーはその矢を机の上に出してみせた。

「この矢は特別な矢で、何かに刺さると柄の部分が広がることで殺傷能力を上げるようになっている。これは、天政府軍が使う特有の武器であることがわかっている」

「つまり、その犯人も天政府軍ということですか?」

「私達が戦っている相手を考えても、その可能性が高いと思う。天政府軍か、そうでなければ地上統括府の何かか……どちらにせよ、天政府人の仕業に間違いない」

「なるほど、天政府軍の暗殺部隊というわけですか」

「まあ、そうかもね。そこで、まず、北部隊は犯行現場まで行って、周りを調査してきて欲しい」

「はい!」

 北部隊長のリアディルは元気よく返事をした。

「とりあえず、他の部隊は北部隊の調査結果が出るまではここで待機しておくこと。北部隊の結果を待って、東部隊と南部隊は行動開始しよう。それでいいね?」

「はい!」

「それじゃあ、北部隊は出動して下さい」

「分かりました!」

 リアディルは返事をするやいなや部屋を飛び出した。

 これから宿屋に戻って、副部隊長と隊員を連れて、ティナの暗殺現場まで案内してくれそうな人を探し出して一緒に調査しに行くようであった。

「何か見つかるといいけどね」

 エレーシーはポツリと呟いた。

「祈りましょう、ネベル・シアノのお導きを」

 フェルファトアはエレーシーの肩を叩きながらとにかく星に願いを託した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=onツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ