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まえがき
現在の、マレトリニカ、タイトリニカ、フィルデントリニカおよび北ミュレスを含む大陸南西部のほぼ全域は古来より、天政府と地国のせめぎ合いの地となっていた。
そこで長い間独立と隷属を繰り返してきた古代ミュレス民族は、ついに完全なる天政府植民地となっていたが、それでも水面下で力を蓄え、反抗の機が熟すのを待ち続けていた。
それ以前にもいくつか戦争を起こしたこともあったが、独立には至らなかった。
しかし、帝暦前3年、ティナ・タミリア国軍総司令官とエレーシー・ト・タトー国軍統括指揮官の手によって、ミュレス民族初の完全独立国が造られようとしていた。
これは、その4年に渡る独立戦争を描いた戦記である。