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#17 商人カード

 翌日―――――



 ついにやってきました商業ギルド!


 目の前に鎮座するは巌の如く飄然と聳え立つ石造立方体。

 正に超巨大建造物って感じだね。

 とにかくデカイ。

 デカすぎて最早何も言えないよ。

 ビ○グサイトの倍以上はあるんじゃないかな。


 まぁここに来たのはもちろん商人になる為だったりする。

 正確には、商業ギルドの会員ってやつだね。

 理由は単純明快だったりする。


 時は昨日の夕暮れ時に遡る―――――

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 あれから少し考えて、しばらく小道具売って地道に稼いで行くことに決めたわたしは、露店を開くにもってこいな場所を知るべく、シーチナさんに聞いてみた。



 「シーチナさん、オススメの露店スポットってありませんか」


 「お前さんも商人だったのかい?」


 「商人ってわけではないんですけどお金欲しいなぁと思いまして」


 「なら悪いことは言わん。先に商業ギルドに行くのじゃ」



 シーチナさん曰く、この街というか大概の街の商い事の大半は商業ギルドが牛耳っているらしい。


 そのため、勝手に商売始めようものなら躊躇いなく、あの手この手と違法紛いな妨害工作を敢行してくるらしい。


 それでも尚、止めない屈しない輩に対しては最終的に闇ギルドを通して暗殺者をけしかけるとかどうとか。


 殺人まで行くとさすがに法律的にも倫理的にもアウトな筈なんだけどさ、ギルド側が行う場に関してはOKらしいよ?ナニソレコワイ……。


 なんでも末尾にギルドの名を冠する組織は全てリディスエール王国の管轄組織らしいからね。


 ギルドに楯突く者は極端な話、国に楯突く者と同義。つまり国の方針に従わない、むしろ逆らう奴なんて逆賊も同然だよね。邪魔だし消しても問題ないよね。ってノリでサクサク殺っちゃうらしいよ?


 物騒だけどギルドに所属する人物の地位と名誉と利権を守るためならどんな手段も厭わないのがギルドだからね。その関係で一部のギルド同士はあまり仲が良くなかったりすることもある。


 ちなみにわたしが所属する冒険者ギルドと商業ギルドの仲は良くもなく悪くもなく、普通ぐらいらしい。


 過去に一悶着あったらしいけど、その際に細かい取り決めがなされたみたいで今では互いに不干渉を貫いているとか。


 それと本当に仲の悪いギルド同士は互いの規則に『~ギルドの加入は原則禁止とする』とかの文言付けたりだとか、会員全員に対して通達されるらしいからね。


 まぁ冒険者ギルド辞めなくても商業ギルド入れるなら入っておいたほうが良いかな……。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 そんなわけで、さすがのわたしも暗殺者に付け狙われる刺激的な毎日を送りたいだなんて思わないからさ、素直に商業ギルドの会員になることにしたってわけ。


 商業ギルドの試験は至って単純。


 受験料10万リディスを払って受験して、それに合格するだけでいいらしい。


 試験も筆記テストらしく、四則演算、商人としての心構え、あと一般常識が試されるらしいよ?


 一般常識っていうのが一体何を指すのか分からなすぎて怖いけど、過去問題集とか売られてないっぽいし、試しに1回受けてみるしか無いよね。


 ダメだったらダメだったでシーチナさんにその辺り聞けばいいし。


 そう割り切ってわたしは商業ギルドの建物の中へと足を踏み入れた―――――



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 「それでは此方がニナ様の会員証となります」



 その言葉と共に落ち着いた雰囲気の初老の黒服男から手渡された一枚のカード。


 見た感じ、冒険者ギルドで使われているカードまんまの材質で新鮮味が無いね。


 まぁ材質不明で製法も国家機密に該当するとかで偽造不可能みたいだし、運営元も辿れば国だし、同じものになるのも至極当然なのかな。


 ん、このカード?

 言うまでもなくわたしの商人カードだったりする。

 もちろん試験は無事に受かったよ。

 たぶんギリギリだろうけどさ…。


 点数公開制度とか無いみたいで結果知りたくても内訳とか分かんないんだよね。


 まぁ受けた感覚としては四則演算は余裕だったけど、商人の心構え辺りがちょっと怪しい感じだった。


 で、一般常識は暦とか貨幣単位とかは解ったけど、それ以外はチンプンカンプンだったからそれっぽいこと書いて凌いだ感じ。


 それで合格できたんだから勘と思いつきで書いたところも大体合ってたってことなんだよね。思いつきっていうか≪AAO≫での実体験とかも踏まえて書き込んだ感じだけどさ。


 まぁ受かったから結果オーライってことでいいよね?



 「それでは当ギルドで受けられるサービスについてご説明致します」



 わたしが考え事しているうちに商業ギルドに関する説明が始まった――――― 



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 「えっと、商人税は現金での支払いは出来ないってことでいいですか?」


 「そうなりますね」


 「へぇ……」



 商業ギルドって所属するだけで会員費というか税が掛かるらしいね。


 いわゆる商人税。国が商人としての地位と権利を守る代わりにお金を納めなければならないらしい。


 その納め方が特殊だったりする。


 まずギルドカード表面に書かれてる内容見ると……



 所属:商業ギルド

 登録:ウィスカル

 氏名:ニナ

 階級:



 ってなってるんだよね。


 階級が空欄なのには訳があって、商業ギルドを通して商売した額に応じて徐々に星が追加されていくらしい。つまり、まだ何も商売していないわたしは☆0ってわけ。


 この☆はギルドを介して商売した際に得られる札を集めて提出することで増やせるらしい。基本的にギルドに齎した額に応じて札が貰える感じ。


 で、札毎に額が決まっている。


 鉄札:1000リディス

 銅札:1万リディス

 銀札:10万リディス

 金札:100万リディス

 白札:1000万リディス

 黒札:1億リディス

 虹札:10億リディス


 札といいつつリディス硬貨を菱形にしただけだし、単位もリディスを千倍にしただけだから紛らわしいよね。しかも札換算するとき端数は切り捨てだから中々にセコい。


 それでこれらの札のうち、毎年、会員登録日を基準に前後3ヶ月以内に銀札を支払わないといけないのが商人税ってわけね。


 現金での納税は受け付けないみたいだし、納めるには商業ギルドを何度か通さないとダメだったりする。


 そういうシステム使って国内のマネーフローとか物流とか把握するのが国の狙いの一つでもあるって目の前の黒服男が言ってたよ。


 一つってことは他にもいろいろあるんだろうけど不利益被らない限りは基本スルーで行くつもり。だって政治とかわたしの苦手分野だもん。そもそもツテとか人脈とかないし。


 商売人として政府の動向とか掴んでおいたほうがいいのは分かるよ?


 でもさ、基本的に≪AAO≫の専用トレードシステム使って商いしてきたからその辺の知識ってあんまりないんだよね。


 尚更ここは異世界だし、元居た世界の常識なんて通じるかも怪しいし。


 だからまずはお金稼ぎしつつ、間を見て人脈作っていくのが無難だと思うんだよね。


 それで必要性が出てきたのなら国の動向とか調べればいいと思うし。効率的にも後回しのほうが個人的には早いと思う。


 まぁ何はともあれ、お金稼ぎが先決だね。そしてレベリング。で、大目標がアトリエってね。


 とりあえず売るもの造らないことには何も始まらないし、一旦宿屋に戻ろっかな―――――


お読み下さりありがとうございます!

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