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#15 魔法石

 少し日が暮れ始めて来た頃、漸く魔導具専門店らしきお店を発見した。


 ――――ニルエナのアトリエ。


 大きさ的にはコンビニぐらい。その入口上部に貼っ付けられた横長な木板看板。その端っこには申し訳程度に、先端に大きな宝石が括り付けられた短杖らしき武器が描かれていた。


 たぶん魔導具専門店だよね?


 まぁもし違ったら違ったで今日のところは諦めるとするよ。


 だってウィスカルの街って街灯とか無いんだもん。だから夜になると、ほとんど真っ暗で見通しが悪くなったりする。


 一応、完全に真っ暗ってわけではないからね。見えるには見えるよ?

 この世界のお月さまってなんか3つあるし。 

 惑星からの距離が近いのか何か大きいし。

 それもあってか夜でも案外、明るかったりする。

 まぁ元の世界と比べての話だけど。


 でもさ、夜って変な人湧きそうで怖いじゃん? 

 勝手なイメージというか偏見かもだけどさ。

 夜はあまり出歩きたくないんだよね。

 治安の良し悪しも全然判ってないし。

 回避できるリスクは回避するに越したことはないからね。

 この店見たらすぐに帰ることにするよ。


 ぶっちゃけこのお店が魔導具専門店だったとしても欲しい【魔導書】があるとも限らないし。

 あっても他に安いところあるかもしれないし、結局は何店か廻る必要あったりするからね。


 このお店が違ってもあんまり問題なかったりする。


 でもさ…長い時間かけて探し回ったのに見つからないとかさ、気分的には骨折り損のくたびれ儲けって感じがするからね。できれば合っててほしいなぁ…。


 なんて思いながらお店の鉄扉を開いてみると――――



 「らっしゃい。ウチのアトリエへようこそ!」



 明るい茶髪の少女が快活そうな笑顔を振りまいてわたしを出迎えてくれたよ。


 店内を軽く見回すと壁には様々な杖が立てかけられていた。


 杖と言ってもいろいろあるね。わたしの背丈ほどもある長い杖から指揮棒のような短いものまで、長さをとっても種類が豊富だったりする。


 それに素材や形状を含めれば列挙に暇がないくらいにバリエーションが広がるよね。


 それらの組み合わせをとにかくたくさんやってみました!って感じの光景が今目の前に広がってる感じ。


 木製の杖とか金属製の杖とか、先端に色とりどりの【魔法石】を備え付けた魔杖とか、見てるだけで半日は楽しめるぐらい色々展示されているんだけど、肝心の【魔導書】が見当たらない。


 店内中央を陣取るガラス製のショーケース内に並べられた品物も短杖とか魔法石とか全くの別物。


 【魔法石】というのはざっくり言うと魔力を込めるだけで魔法が発動する石だね。効果的には【魔導書】に似てるけど、【魔法石】は天然物。


 だから使うまで効果が判らない危なっかしさがあったりする。


 おまけに効果も大抵微弱だから使い所があんまりない残念なアイテムだったりする。


 ついでに言うと強力なやつは効果が極端な上に数回使っただけで自壊するからそれはそれでピーキー過ぎて扱いに困ったりする。


 中間的効果を持つ【魔法石】って滅多に産出されないから≪AAO≫だと基本的にハズレアイテム扱いされたりする。


 でも【魔法石】って立体魔術回路を構築するために必要な成分含んでたりするからレベル250以上の錬金術師にとってはある意味当たりアイテムなんだよね。まぁ今のわたしには無縁だけどさ…。


 正直なところ、高価だけど代用できる素材も存在するから低レベル帯だとやっぱり微妙なアイテムってなるんだよね~。


 でもこの世界だとどうなんだろ?


 それも知りたいけど時間も微妙だし、また今度にしようかな…。


 ともあれ見た感じ【魔導書】無さそうだけど一応聞いてみることにするよ。



 「あの、すみません。このお店って【魔導書】売ってますか?」


 「見てのとおり、ウチは杖屋さんなんで……」



 申し訳なさそうに「売ってないんです」と告げる少女に「変なこと聞いてすみません」と軽く謝り、わたしはお店を後にした―――――

お読み下さりありがとうございます!


あとブクマ・評価もありがとうございます(≧∇≦)b

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