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#11 冒険者カード

 3時間後、冒険者ギルド1階:冒険者ギルド加入試験合格者対応窓口――――――



 「それではこちらがニナ様の『冒険者カード』となります」



 そう言って受付嬢に手渡された1枚のカード。よくよく見れば僅かに台形っぽい形状の不思議なカード。


 プラスチックのような光沢と手触りに反して意外と重くて硬い感じ。両手で軽く撓ませようと試みたけど微塵も曲がる気配を見せないぐらい異様に硬い代物みたい。


 わたしがカードを弄くり回して遊んでいると「万が一失くしたり酷く破損した場合は冒険者としての資格は失効されますのでご注意下さい」と受付嬢から戒めの言葉が掛かった。正直ちょっとヒヤッとしたよ。



 「再発行とかは出来ないのですか?」


 「逆にお尋ねしますけど、どうやって本人だと証明するのですか?」


 「う~ん」


 「というわけで次の説明をさせていただきますね」



 わたしの思考は終始笑顔を貼り付ける受付嬢の言葉により強制的に中断された。



 「カード表側…白い面の氏名に間違いがないか、ご確認下さい」



 『冒険者カード』は表が白色、裏が黒色というリバーシの駒を思わせるような作りになっている。すっごいシンプル。その表面にはこう書かれていた。



 所属:冒険者ギルド

 登録:ウィスカル支部

 名前:ニナ

 階級:鉄


 それら以外の記載は一切なく、なんだか味気ないよね。名前に間違えは無いみたい。だって文字数少ないし。渡し間違いが無いかも兼ねての確認かもしれないね。


 とりあえず返事がてら質問ぶっこんでみた。



 「はい。大丈夫です。この鉄級って言うのはなんですか?」


 「あとで説明する予定だったのですが…まあいいでしょう――――」



 鉄級というのは冒険者ギルドにおけるカード所有者の重要度、つまりどれだけギルドに利益を齎す人物であるかを示す指標らしいよ?


 リディスエール王国の貨幣単位に倣って下から順に『鉄』『銅』『銀』『金』『白』『黒』『虹』の7階級が存在する。この指標が高いほど、難しい依頼を受けられるらしい。


 だけど初めて行く街で初めて依頼を受けるには、初回に限り、階級確認テストを受けないといけないらしい。あとランク更新した場合も同様。


 テストの出来によってランク維持から最悪の場合、資格の剥奪もあるらしい。冒険者ギルドの品位と質と信頼性を守るための処置らしいから面倒だけど仕方がないよね。


 まぁネットとか電話とかコンピュータとか在るわけでもないし、全ギルドが全冒険者の詳細なんて管理してたらそれだけで一日終わっちゃうよね。


 とは言え、街に行くたびテストなんてやってたらキリがないというわけで『冒険者カード』裏面の仕組みが導入されたらしい。



 「それでは裏面の説明に移りますね」



 裏面に描かれた4×12マスの矩形の枠。


 その上から3段目の左から4列目のところに見知らぬ御老人の似顔絵が押印されていた。ナニコレちょっと気持ち悪いんだけど……。



 「これは階級確認テスト免除印と呼ばれる印です。この気色ワ…ゲフンゲフン偉大なる初代ウィスカルギルド長の御尊顔と押印の位置を以って免除対象者かどうかを判定します」



 ―――そして万が一にも改竄が認められた場合には冒険者ギルドのブラックリストに氏名と似顔絵が登録され、冒険者ギルドを介したサービスの一切が受けられなくなりますのでお気をつけ下さい。って言われたよ。


 例えば押す位置が間違っていたり顔のマークが違う場合は答無用で改ざんしたものとして扱われるらしい。


 だから押し間違いが無いか念入りに何度も何度も検査してからカードを冒険者へと渡すらしい。それだけでなく、渡す際にも冒険者自身に確認させる徹底ぶり。


 押し間違いが起こらないよう専用の道具使ってギルド長自らが押印するらしいけど万が一があっては不味いということで口酸っぱく確認するらしい。


 「ウィスカル支部の押印位置は上から3段目、左から4列目となります。間違いがないか貴方自身の目で今一度、ご確認のほどお願いします」



 また見るの?

 って思いつつももう一度確認したよ。気色ワル…ゲフンゲフン偉大なる初代ギルド長の御尊顔の押された位置を。


 満面に顔を歪ませニヘラと笑う目の逝ってるご老人を押印にするとか中々にユニークだとわたしは思うよ。


 こんなマークがついた代物を所持していることが知られることすら憚られるぐらいに悪趣味な感じだけど案外それが狙いでこういうデザインだったりするのかな?


 無闇矢鱈に見せびらかして盗まれたり奪われたり失くしたりしないようにするための創意工夫的な?


 ……さすがにないか。


 くだらないこと考えているうちにとうとう最後の説明が始まった。

 言うまでもないけど考え事しながらも話はきちんと聞いてるよ?

 なにせわたしは学習できる子ですからね!

 ヴァルドさんと初めて会ったときの二の舞を踏んだりはしないのだよ!

 でも何だったんだろうねアレ。


 「よろしくな」って言われたけど未だにその話について向こうから一向にアクション無いんだよね。ホント何だったんだろうね。


 案外、向こうも忘れてるってオチかもしれないね。そ

 もそも最近会ってないし。

 意外とありえるかも。


 そんな希望的観測を抱いたわたしは受付嬢の話へと集中する。



 「それでは最後に昇級制度について説明しますね―――――」



 ざっくりまとめると冒険者ギルドの信頼につながる行為、利益を齎す行為をすると評価ポイントが加算されるらしい。


 ランク毎にそのポイントが一定値溜まることで昇級試験が受けられて、合格すると晴れて昇級らしい。ちなみに飛び級は無いとのこと。


 ついでだけどポイント制度と言っても冒険者側は現在のポイントとか内訳を知る術は無かったりする。


 あと信頼につながるだとか、利益を齎す行為ってなんだよって思うよね。


 有り体に言えば、冒険者ギルドに発注された依頼を期限内に熟すこととか、未発掘資源を掘り当てるだとか、魔物氾濫時にたくさん魔物を斃すだとか、他にもいろいろあるみたい。そこについては要調査だね。



 「それではニナ様のご武運をお祈りします」


 「ありがとうございました」



 そんなわけで無事に冒険者の仲間入りを果たしたわたしはカードを受け取り礼を告げ、宿屋『仔山羊の宴亭』へと戻ったのだった――――――



お読み下さりありがとうございます!


説明文っぽい感じになってしまう書き方をどうにかしたい今日この頃です(´・ω・`)

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