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#10 ウサギのきぐるみ

 ふわぁ………。

 おはよう?

 寝てたのかよって?

 そりゃそうよ。

 もち寝てた。

 ウサギ肉食べて寝て起きたら一日が経ってたよ?


 ちょっと混乱気味というか錯乱気味?だったわたしは寝ることにした。

 だって二日以上も寝てないんだもん。

 昨日も一昨日も徹夜で、いわゆる二徹。

 いつ魔物に襲われるかも分からない状況下だからね。

 気づかない内に無意識下で神経尖らせていたかもしれない。

 そんでもって双子兎(バイコラビット)の大群との逃走劇。

 異世界かもしれないって状況で死ぬとか恐怖でしか無いし。

 そうでなくとも痛いのはホントに嫌っ!


 つまり恐怖と寝不足で精神的に大分参ってたんだな~って疲労から完全復活を遂げたわたしは冷静に自己分析してみたりする。


 あのときのわたしはこう思ったわけさ。


 ――――異世界なのに≪AAO≫のドロップシステムが機能するのはおかしい。本当はここは≪AAO≫の中なんじゃないのか。このまま≪AAO≫の中に閉じ込められて為す術も無く餓死するのだろうか。そんなの嫌だ。死にたくない。怖いよ。助けて。ってね。


 でもよく考えるとアレだよね。

 異世界転移自体がそもそも起こるはずもない絵空事だからさ。

 それが起きちゃった時点で極端な言い方しちゃえば、なんでもありだよね?

 何が起こってもおかしくない。


 現にわたしの身体がサブキャラのニナちゃんだし。

 ≪AAO≫での能力もほとんどそのまま使えるみたいだし。

 どこからともなく≪AAO≫の仕様が飛び出してきても全然不思議な話じゃないってこと。

 むしろ≪AAO≫のような世界へ転移したって考えるほうが自然な気がするよ。

 何もかもが≪AAO≫そのままってわけでは無いみたいだし。


 ≪AAO≫のドロップシステムは単純明快。

 敵を倒すと何か1つ必ずアイテムがドロップする。

 そしてドロップ品は必ず半透明のジャボン玉のような保護膜に覆われた状態でポップして、触れると膜は消失する。

 大抵は十数センチ浮遊した状態で出現することが多い。


 わたしの周囲でプカプカ漂う無数のジャボン玉の大半には小石サイズの魔晶石が封入されていた。

 残りのほとんどが【双子兎(バイコラビット)の生肉】と【双子兎の毛皮】、そして一個だけ低確率レアドロップ【双子兎の送信器官】が入っていた。


 【双子兎の送信器官】っていうのは透き通った綺麗な石だね。中心から幾つも波紋が広がる紋様が刻まれた円盤状の青い石。


 光属性の魔力を流すと対となる【双子兎の受信器官】にて感知可能な電波が発生する。


 その仕組みを使えばモールス信号的な感じで通信できる魔導具が作れる。だけどモールス信号でやりとりする魔導具の制作には送信器官と受信器官の両方が必要になる。


 つまり魔導具は送信用と受信用の2つが揃って初めて意味を成す。送信用の魔導具だけあっても意味はない。


 そもそも揃ったところで今のところ使い道が全く無かったりする。

 なら態々作らなくてもいっか。


 それよりも先にやるべきことがあるからね。


 何をやるのだって?

 洗浄魔法を使おうと思うの。

 消臭魔法の1つランク上の魔法。

 臭いどころか身体中の汚れまでも綺麗さっぱり削ぎ落とす便利魔法。

 MP消費量は高いけどここ安置だからバタンキューしても魔物に襲われる心配なかったりする。

 何事も試せるときに試すのが大切だからね。

 瀬戸際になってぶっつけ本番ってのはあまり好きじゃないし。

 まぁ一応勝算?というかMP足りる確信はあるよ?


 双子兎(バイコラビット)たくさん斃したから結構レベル上がってると思うんだよね。

 戦闘系能力の上がりの頗る悪い錬金術師といってもMPだけは例外的に成長補正高めだし。

 成長速度の段階評価を最大☆5としたら☆4.5ぐらいはある。

 ぶっちゃけ魔法職と引けを取らない程度に高い。

 だから数回は普通に使えると思うんだよね。



 そんなわけで使ってみた―――――



 なんだろうね。

 確かに綺麗にはなった。

 臭いも全然感じないし身体も軽くなった気がする。

 けど何か物足りない感じがするんだよね。

 熱出して寝込んだときってシャワーの代わりに濡れタオルで体拭うことあるじゃん?

 あれって綺麗になった感じがしないんだよね。

 正にそんな感じ。

 お風呂とかシャワーなんて贅沢は言わないからさ、せめて水浴びしたいよね。

 川行きたい。

 でもウサウサ大騒動で道も何も考えず突っ走ってきたからここがどこだか分からない。


 詰まる話がまた迷子になってしまったらしいよ?


 う~ん、どうしよう………。

 まぁ悩んだ時はアレだね。

 何か作るといいかもしれない。

 ウサギの毛皮、たくさんあるし。

 ウサギの着包みなんて作るのも面白いかもしれない。

 着包み系はあんまり作ったことなかったからワクワクするよ。

 よし、作るか!

 


 こうしてわたしのウサギ着包み制作が始まった―――――




お読み下さりありがとうございます!

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