4話
ちょっとゲームが楽しくて・・・
あれから一年。すっげえ魔法と剣術を叩き込まれた。
そして、明日から小学部にはいる予定だ。まぁ、誰でも入学できる小学校的な感じらしい。もちろんタダである。ここでは基本的な生活ができるように、読み書き、計算、この世界についてのざっくりとした知識を学ぶ。貴族も(貴族なんてもんもいるのかよ!と聞いたときは思った・・・)ここに身分を隠して入学するらしい。ただし、小学部は3年間しかないようだ。そのあと、希望するやつは中学部に入学することができるみたいだ。これも一応タダ。中学部では魔法科と武術科に別れて勉強をする。これは4年間。もうひとつ上の学部があるらしいが、研究やらなんやらが大好きな変人貴族以外はほとんどいかない。
「表向きはこうなんだけどねぇ。本当は子供たちを洗脳するための場所なの。」
「洗脳ってどういうことなんだ?」
口調も一年で変わったよ。うん。
「政府に逆らわないように。冒険公なんてものを目指さないようにちょっとずつ洗脳していくの。ちょっとずつだから気がつかないし、気にならない。あなたたちの夢にはちょっと邪魔なのよ。」
はぁ。しょうもないことをするもんだな。
「じゃあどうするのですか?」
ベルもこの一年で敬語が上手くなった。貴族対策だったんだな。
「うふふ。この腕輪よ。」
コトッと机に置いたのは青と黄色の地味な腕輪だった。
「これは、あらゆる精神干渉を防ぐものなの。ばれないように隠蔽の効果もつけておいたわ。お守りと押し通せばどうにかなるわよ。ちなみに私が作ったの。」
わーお。なんつうもんを作るんだこの母。
「じゃあ頑張ってね。」
「あぁ。」
「えぇ。お母様。」
よく考えたら、俺ら6歳らしからぬ言葉遣いだな。ま、いっか。
*******
ー次の日
『いってきます!』
そう言って元気に家を飛び出した。教会に転移用の魔方陣(術式の応用で作られた模様。複雑な魔法を使える。)があるのでそれで学校まで一瞬で移動する。俺は昨日親父に言われた言葉を思い出していた。
「常に気を抜くな。ベルを3年間守り抜け。」
「あぁ!」
理由は何となくわかっている。自分で言うのもなんだが、顔が整っているというか、イケメンと美女なのだ。十中八九貴族から狙われる。ベルにも注意はしておいた。まぁ、あいつは護身術を親父から習っていたからなぁ。俺も素手で模擬戦をしたが、一応ギリ勝てた。それでもギリだ。めっちゃ強い。常に守ってやることはできないので、残念だがちょっとは自分の身は自分で守ってもらう。こればかりは仕方がない。でも、ラッキーなのは兄弟や親戚はクラスが同じになれるところだ。
「アークくん、ベルダちゃん。この丸の中に入ってね~」
シスターさんが言う。
そして俺たちは小学部へと転移した。
*******
僕はルイス・アルバーン、貴族だ。今日は小学部の入学式だ。なぜ僕のような崇高な存在が平民どもと一緒に学ばねばならん。意味がわからない。とイライラしていると、とある平民の二人組がやって来た。平民が転移してくる魔方陣の方から来たのだから間違いない。一人は赤のメッシュが入った金髪の男、一人は青に近い銀髪の女の子。平民にしては珍しい。だいたい平民は茶髪か黒髪だ。しかも、こいつらとてつもなく美形じゃないか。特にあの女の子。僕のモノにしたい。今は無理だが、父上に頼めば・・・
「なぁ、ベル。楽しみだな!」
「えぇ。お兄様。とてもワクワクしています。」
声も綺麗じゃないか。ベル、というのか。だが、あの兄が邪魔だな。父上に頼んで消してもらおう。
このとき僕は気づいていなかった。この二人がとんでもない兄妹だということに。
そして、後にこの二人に泣いて許しを請わなければならない状況に陥ることに。
とあるゲームにはまりましてwめっちゃ楽しいですw
「この世界にゲームなんてもんはないからなぁ~ヒマ!」
知りませんよ。神の力でどうにかならないんですか⁉
「魂みたいな実体がない存在は世界を越えれるけどそれ以外はムリ!物だって例外じゃないの。」
へぇ~。じゃぁプルートさんはどうなるのよ。
「あの神は僕より空間に干渉するのが得意なの。それでも短時間だし、夢の中が限界なの!ほんっと、うらやましい!」
あ、あっそ。