あなたの来世はネコ決定…?
こんにちわ!皆さん!今日は車のボンネットの上から失礼します!
いやぁ〜、五月中旬のこの様な天気のいい日の昼寝は最高ですね。暖かい日差しに包まれながら、このような生ぬるいボンネットをベットにする…、これほどの贅沢を私は知らないです。
さて、何故飼い猫となった私が外に1人で出かけていることに疑問を持つ方も多いでしょう。それは、まだ私が拾われたばかりの頃、私はまだ主様に不信感を持っておりました。お恥ずかしい話です…、いくら捨てられて人間が信用出来なくなっていたといても主様を信用しないなんて…昔の私に猫パンチをお見舞いしてやりたいです!
まぁ、それはさて置き、不信感を持っていた私に主様は気づき、私が嫌ならいつでも出ていっていいよとゆうご好意をはたらかせていただきました。そして、主様は朝の10時から夕方の6時頃までリビングから外に猫なら出られる窓を私が通れるくらいまで開けてくださったのです。その名残が今も続いており、私はまだそのご好意に甘えておりました。
もちろん、外に出ない時もあります。雨とか雪とかそういう天候の悪い日は帰ってきた私が主様のお部屋を汚すことになってしまうので、もちろん外出はしません。しかし、極力外出はしようと心がけております。それは何故かと申しますと主様は昼間にお仕事をするお方なので私が家にいては主様の集中を妨げてしまいかねないからです。
さぁ、さてさて、お昼寝も満足したので探検と行きましょう!
ミカンはボンネットからヒョイっと飛び降り歩き始めた。
(ネコの散歩は、最高です!どこに行くのも自由、気まま。気をつけなければならない事は迷子と門限ですが、私はそんなヘマはいたしません。)
ミカンはいつものお散歩コースをミャーミャーと鳴きながら、気分よく堂々と歩いていた。
(しかし、外の世界は危険がいっぱいです!私はその危険を掻い潜りながら散歩をしなければならないのです。しかし、私のお散歩コースは唯一無二の楽しみ…。危険を恐れてお散歩コースを帰るなどもってのほかなのです!!)
(そしてその第一の危険がもうそろそろ……。)
ミカンはそう言い終え、辺りを見渡しながら身構えた。
耳を済ますと小さい子供の声がいくつも聞こえてきた。
(来ました…。第一の難関その名も……。)
「今日ねぇ!りこちゃんのウチに行くんだぁ!」
「いいなぁ〜!みゆも行きたぁ〜い!」
ミカンが子供の声が聞こえてくる道の曲がり角に注意していると、幼稚園の園児達が行列で曲がり角から次々と出てきた。
(来ました!皆さん!!これが第一の難関!きさらぎ幼稚園の園児達です!!)
ミカンは体を強ばらせ、戦闘態勢に入った。威嚇するようにお尻をあげ、前足を伸ばし、シャーッと言わんばかりに園児達の方を向いた。
そして、そんなミカンと園児達の目が合った。お互い、何もすること無く数分の時間が流れた。
(こ、怖いです…!ですが、ここで引いたらいけません!逃げれば彼らは追ってくるのです…。ただ、威嚇するのです。)
ミカンは戦闘態勢を解くことはなく、ただ園児達を威嚇し続けた、そして…。
「わぁあ!!ネコちゃんだぁ!!」
「ほんとだぁ!ネコちゃん!ネコちゃん!」
園児達は沈黙を破り、ミカンに次々と駆け寄って行った。そして、ミカンは園児達にもみくちゃにされてしまった。色んなところを触られ、完全に園児のおもちゃ状態となったミカンは既に戦意喪失しされるがままになった。
(お、終わった…。今日の散歩は憂鬱スタートです…。)
ミカンは苦しげに声を上げ鳴いた。
(み、皆さんも猫になった際は小さい人間にお気をつけ…って、そこはやめて!鼻の穴に指入れないでぇぇえ!!へ、ヘルプゥゥゥ……。)
ミカンは園児達に30分程、いじられたおされ、園児達の担任だと思わしき女性が園児達に呼びかけ、やっと園児達から解放されていた。
ミカンはいろんな所を触られ、力加減がよく分かってない園児達に引っ掻き回されたため、自慢の毛並みは所々逆だっていたり、アホ毛の様にぴょんぴょんと跳ねていたりしていた。そして、ミカン自身も疲れが明らかに見て取れるほど疲弊していた。
(災難です…。何故、あの大人の方はニコニコとまるで微笑ましい光景を見ているかのように30分程の間、止めもせず見ていているだけだったのでしょう…。)
ミカンは愚痴をこぼしながら、お散歩コースを再び歩いていた。
(それに、信じられませんあの園児達。触られる事すらあまり嬉しくは無いのにあそこまで露骨にベタベタと…。)
(しかし、まぁ、これで主様にまたクシで毛並みを整えてもらう理由が出来たので良しとしましょう。)
ミカンはこれ以上先ほどの惨劇を考えることをやめ、楽しい事を考え気を紛らわせた。
(さて!皆さん!ここからが本番です!!ネコのお散歩の素晴らしさを余すことなく紹介していきます!!)
ミカンは気を取り直し、再び堂々と歩き始めた。しかし、とても聞き慣れた同属の声に呼び止められた。
「ミャー?(あれ?ミカンじゃねぇか?どうしてこんな所に…てゆうかその姿はいったい……。)」
ミカンが声のする方を振り返るとそこにはここら辺をナワバリにしている野良猫のコテツの姿があった。
(皆さん、すいません今日は本当についていないようです…。)
ミカンはまるでため息をついて落ち込む様に、ガックリと俯き露骨に落ち込んだ。