第4.5話 本当の友達(番外編)
番外編となります。
「今日、スマホゲームのイベント来てるんだよね!!」
斗真はスマホの画面を見ながら呟いた。
遥人に仕事を任せてから約30分。
斗真と一樹のふたりは帰路についていた。
そろそろ遥人は運び終わった頃かなー?、と言いながら足を進める。
「レアキャラの排出率が2倍でさ!」
「ほ〜、2倍!」
「ってなわけで、今から引いてみたいと思いまーす!」
斗真はガチャのところをタップする。一樹は画面を見つめた。
「あーーーーーこいつかーーー」
項垂れる斗真。
その様子から、ハズレを引いたようだ。
「ダメだったのか〜」
「うん、こいつ5枚目なんだよねぇ」
いらない奴だぁ〜、とため息をつく斗真。
すると一樹は斗真の方に手を置き、一言。
「ブーメラン」
「え」
「「…」」
冗談だよ、と微笑む一樹。
びっくりしたぁ、と斗真は笑った。
「俺がそのガチャ引いてみてもいい?」
一樹は斗真のスマホを指さしながら言った。
「いいけど…なんで?」
斗真はそう聞くと、一樹は頬をポリポリと書いた。
「俺さ、霊感あるんだよね」
「霊感…?」
「幽霊的なのが見えたりー、とか」
「いやそれは知ってるよ。でも霊感とガチャに何の関係があるんだ?」
斗真は疑問に思い首をかしげる。
一樹はドヤ顔で続けた。
「いいか?俺がその霊的なものを呼び出し、そのガチャでいいのを当ててやろうって言ってんの!」
「えー…」
「お前信じてないだろ〜」
「だってお前嘘ばっかつくじゃん」
「確かに俺は何度も嘘をつき友達を欺いてきたかもしれない…。けど!」
斗真は青空を指さし、
「これだけは本当だッ!!」
「…お前のそれ、100回は見た」
ほらよ、と呆れながらスマホを渡す斗真。
「よっしゃ!ありがとう斗真!!」
引くぞー!、と気合を入れて指先に力を込める一樹。
「ふんぬっ!!…セイッ!!」
「なんだそれ」
「いいから見てろって!」
そう言って一樹は斗真にスマホを返す。
「どうかなどうかな〜?」
一樹はニコニコしながらスマホを覗く。
「あ」
斗真の口から声が漏れる。
「お?」
「お!」
「お?」
「おおおおおお!!!!」
「「うおおおおおお!!!」」
ふたりは雄叫びを上げた。
「これ欲しかった奴!!」
「まじかー!俺すげぇ!!」
「お前持ってるよ!!持ってる男だよ!」
「俺持ってる!!持ってる男!」
やったぁ!、とふたりは声を荒らげた。
ふたりは帰路へと足を進めた。
「なー、一樹。今日暇?」
気分の良い斗真は、一樹の肩に手を乗せて聞く。
「暇ー」
一樹は力のない声でそう答えた。
「ならさ、一緒に遊ばね?」
「やだ」
「「…」」
「そっか、じゃあいいや。家でゲームを────」
「お前…」
一樹は歩みを止めた。
斗真は後ろにいる一樹に気付き、振り向く。
「ゲームしか、友達いないんだな」
「…っ!」
二人を包む数秒の沈黙。
斗真は一樹の元へ走り出し、泣き崩れた。
「一緒に遊んでくださいぃぃぃぃぃ」
顔を腫らしながら一樹は倒れ込む。
それを見た斗真は、そうだな、と微笑んで答えた。
「よもぎ公園へ行こう!」
そう言う一樹の手を握り、斗真は涙を拭って笑ってみせた。
この会話は、演劇の一樹役と斗真役が、2人で考えて実際に演技をしたセリフを元にしたものです。
『ベラベラしゃべりながら、舞台手前を歩いて下手へ向かって歩いていく(セリフはキャストに任せる)』という部分ですね…!いやぁ、テキトーな脚本で申し訳ないw
でも笑い取れてたし、私が考えるよりも面白く仕上がってくれたと思います!!ふたりともありがとう!