スピリットサッカー!
俺が所属する、町内のサッカーチームの試合の日が迫っていた! 相手は隣町のやんちゃな野郎どもだ!
ヤツらに負けたくなくて、俺たちは試合の日まで、しっかりと身体を作って、基礎体力を鍛えることをとにかく目標としてきた。朝には毎日マラソンをして、昼は筋トレ、夜なんてダイエットビデオを見て、とにかく筋肉作りだ。
そんなことより、もっと他にすることはないのかって母さんにも少し呆れながら言われた。でも、今の俺達の目には、サッカーしかなかったんだ。
数日後、ついに試合の日がやってきた。行く前、一人の女がこっちを見ていた。貴子だった。
きっと俺のことをまた止めにきたんだろう。だけど、悪いな貴子、どうしても俺は……この戦いに行かなくちゃいけないんだよ。プライドがそう急かしているんだ。
そう、彼女に向かって背中で語りながら、俺は堂々と会場へと向かう。
俺達は、まるでガンを飛ばしあうように相手を威嚇しあった。これは俺達の儀式みたいなもんだ。こうして互いの闘争本能をかきたてて、ベストを尽くせるようにする。
だから、どんなに気乗りしなくても、こうしていると、なんだかやる気が沸いて来るのだ。これも人間が動物だという証拠だろう。
こうして試合は、互いに気力満点な状態でスタートした。相手も随分練習してきたらしい……この気迫は計り知れない。
でも、だからこそ俺達だって燃えてくる! どっちの炎が上か、正に魂の温度の勝負だった!
接戦の末、俺達はあと少しで勝てたと言う所で、ガードの穴を突かれて1点返され、ギリギリのところでリードされた。残り時間20秒……このままでは敗北だ。
時間があればよかったけど、残り20秒の壁は、俺たちにはとても高く立ちはだかっていた。
もう希望もないのか……と諦めかけたその時、リーダーは吼えた。まだ20秒もある、諦めるな、相手の油断を突くんだ!
全く衰えていないリーダーの魂に感化された俺達は、最後の意地を見せた。いつもなら出来ないような連携プレイで、俺に回ってきたパスを受け取り、そのまま相手のゴールにシュートを叩きいれた。俺はおたけびをあげた。
そして試合はPK合戦に持ち込まれた。互いに止めつ抜かれつつ、緊迫したPK戦が繰り広げられる。
ついに相手が一点外した。……これで俺が決めれば、うちのチームの勝ちだ。俺に試合の勝敗の全てがかかっている。その重荷の重さに、思わず身体も震えてきた。
相手のキーパーから発せられるプレッシャーが、俺をさらにガタガタと震えさせた。このままじゃ失敗する。
だけど、そんな時……俺の視界に、とても心強い人間が入ってきた。貴子だった。
貴子は、俺のことを応援してくれているようで、神様に祈るように手を組んで、俺に頑張ってと、見えないエールを送ってくれている。
わかったよ貴子……俺は、絶対にやるよ。勝ってみせるよ……!
そして……俺は迷い無くシュートを打ち込んだ。
勝った。相手の意表をついてフェイントをかました俺のシュートが、文句なしにゴールに決まったのだ。
仲間達からの歓声が湧き上がる! 俺も、涙をこらえながらみんなと抱きあって喜んだ。
でも、もっと勝利を分かち合いたい人間がいた。言うまでも無い、貴子だ。
俺は貴子にお礼を言わなくちゃいけない。今回のシュートが決まったのは、彼女のおかげなのだから……。
どれほど感謝すれば、俺の気も、相手の気も済むんだろう。それだけ俺は、貴子に感謝していた。
いつの間にか、貴子が走って俺のところにやってきた。危なっかしい足取りだった。
わざわざこっちに来てくれた貴子に少し照れながら、俺は彼女と顔を向き合わせる。やっぱり恥ずかしかった。 どこか恥らう俺に対して、彼女は一言、大きな声で、今の自分の気持ちを、俺にぶつけた。
「お父さんこれでもう気が済んだでしょ?! 早く仕事探してよ!!」
短編は勢いで書くのが一番ですね。勢いすぎて支離滅裂ですが。




