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マクビディ・ビスケット  作者: 三池猫
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プロローグ

第21回電撃大賞応募作品

 プロローグ


 テレビの映像はヘリコプターの機内から始まった。千代田区外神田の上空を飛びながら、カメラは神田駅から伸びた中央通りを映している。そのままヘリコプターは、神田駅から万世橋へ飛行したところで、万世橋交差点で戦っている正義のヒーローと悪の組織を映した。

 五色のヘルメットを被ったカラータイツが、イケナインジャーと呼ばれる正義の味方である。

 もう片方は、黒のタイツを頭まですっぽり被った謎の集団。改造人間と呼ばれるハイブリッド生命体が指揮するブラック・デモン。

 彼らの戦いは数十年前から続いており、時代が変わろうとも正義と悪の戦いに終わりなんてなかった。

 カメラの映像は、万世橋から少し離れた所で戦う一人のヒーローへ向けられる。

 赤のヘルメットに赤タイツ。全身を赤一色で彩っている正義のヒーローの名は『イケ・レッド』。彼の事を知らない人はいないだろう。もちろん、万世橋の上で戦う四人にも同じ事が言える。それほど『イケナインジャー』とは正義のヒーローとしての知名度があった。

 しかし、有名だからといって握手を求められたり、サインをせがまれたりはしない。彼らは芸能人ではなく正義の味方なのだ。そこのところを間違ってはならぬ。

 例えるならば警察のようなものだろうか。警察を一般犯罪専門だとして、彼らの専門は悪の組織関係なのだ。だから、街中で彼らと出会ったら「いつもご苦労様です」と一礼してからすれ違ってほしい。悪の組織から世界の平和を護ってもらっているのにぞんざいに扱っては罰が当たるというものだ。

 次に、カメラはイケナインジャーが戦っている謎の黒タイツ集団に向けられた。

 彼らは世界征服を企む悪の組織『ブラック・デモン』である。イケナインジャーの好敵手として認知されており、悪逆非道を繰り返す悪の権化である。街中ですれ違いようものなら、後頭部に一発入れられてもおかしくない。しかし、不思議とブラック・デモン関係の被害届は少ないらしく、彼らの後頭部は今も守られている。

 黒タイツ集団の中心には、彼らの上官である『クモ男』が立っており、腹部にある紡績突起(ぼうせきとつき)から粘着性の糸を出していた。蜘蛛と人間を掛け合わしたような出で立ちの改造人間は、糸をイケ・レッドに巻き付かせ、グルグルと振り回し始める。

 そのままの勢いでクモ男は、イケ・レッドを投げ飛ばした。

 が、イケ・レッドは見事なまでの着地を見せ、彼の元に集まってきたブルー・グリーン・イエロー・ピンクと共に円陣を組んだ。

 イケナインジャーから光が溢れだし、一面を染める。

 徐々に輝きは一点に集まり、光の球となって形作られていく。

 イケ・レッドが光球を掴み取る。次の瞬間――

 突然、カメラが違うところを映しだした。

 向けられた先に居るのは、クモ男と謎のオッサン。どういった経緯でそうなったのか分からないが、謎のオッサンはぽかぽかとクモ男の頭を殴っていた。

 逃げるクモ男。

 追うオッサン。

 その光景を撮っているカメラマン。

 なんだかわからない二人の追走劇は、数分間も続く。

 その後、路上に止まっていた車が爆発・炎上し、ヘリが緊急離脱を余儀なくされるまでカメラは二人を映していた。


 テレビ局のヘリコプターが現場に戻ってくると、イケ・ピンクが必殺技を放つ瞬間だった。

 戦闘員を抱きかかえているクモ男は逃げることもせず、諦めたかのように立ち尽くしている。

 イケ・ピンクのオーラで造られた鬼が二人めがけて解き放たれる。

 そして、二人を包み込むように鬼が爆発したところでカメラの映像は途切れてしまった。

楽しく読んでいただけたらなによりです。

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