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戦争

 三日の旅を終え、四日目に俺達は帝都へと帰還を果たした。ベルンハルトの屋敷で待機していたフィーネには、やれパートナーを置いて行くとは何事か、やれまた女かと騒がれてしまう。まあ、それもベッドに引き摺り込んで事なきを得た訳だが。

 また鈴より預かった子狐をフィーネが気に入った事もあり、機嫌はむしろ良い方向へと修正されている。……まあ、鈴の正体を知ったらその機嫌も降下するのだろうが。

 そして帰還した日の翌日、俺とフィーネ、そしてセシルはベルンハルトの執務室を訪ねていた。要件はセシルが帝国に付いて戦う事の報告だ。


「……という訳で、私を貴下の軍隊へ加えて貰いたい」

「……レイジ、どうやって説得した? この調子であの口を割らない頑固な召喚師も自白するよう促せないか?」

「無茶を言うな。俺に召喚師の尋問なんか任せたら勢い余って惨殺するぞ?」


 ベルンハルトは心底驚いたのか、飲みかけのコーヒーを太腿に溢し熱い熱いと騒ぎ出した。炎の魔剣を使うベルンハルトでも、熱せられた水には弱いらしい。


「しかし、ここに来て戦力が増強できるのは有り難い。セシルと言ったか、君も魔剣の使い手なのだろう?」

「ええ。最も、私の所持する魔剣はそこまで強力という訳ではないけれど……」

「何を言ってるんだか、アルト・シュメルツの力を無効化したくせに」


 戦争における魔剣使いの立ち位置は戦術兵器に等しい。俺ならば城壁を数回の攻撃で打ち壊し、ベルンハルトならば敵の戦列を一気に薙ぎ払い、セシルならば魔法をやそれに付随する効果を切り裂いてしまう。言わば戦争の切り札だ。それ故に、戦場では単機投入される事が殆どだ。何せ連携の取り様がない。

 魔剣それぞれの効果は様々だが、俺の損傷経験再現とベルンハルトの烈火、セシルの無効化はその中でも上位のモノだと言える。

 まして俺達は戦いを生業としている者だ、これらをしっかりと運用出来ない訳が無い。


「無効化、か。レイジ、セシル。この際だ、手札の詳細を曝すべきだと思うのだがどうだろう?」

「私は構わないわ、知られてどうこうなる訳でもないし」

「俺も構わん。戦場に出たらどうせばれるしな」

「ならば、私から言おう。我が烈火の魔剣は名をグリューエン・ヴィントと言う。その力は赤熱化する暴風だ。比較的新しい時代に出来たモノでは有るが、様々な闘いを経て強大な力を秘めるようになった」


 ベルンハルトが鞘からサーベル型の魔剣を引き抜き、その刀身を見せながら言う。赤熱化する刀身を見れば、そこには倒されてきた生物の魂が映る。その最も深き所に居座る魂は砲火蜥蜴ホウカトカゲのモノだ。

 砲火蜥蜴は全長2メートル程の蜥蜴であり、口から火炎を放射し高速で走り回るという傍迷惑な特徴を持つ魔物であり、その迷惑さと威力から砲火の名が付けられた。一説によれば時を経てドラゴンに変性すると言われているがそれを証明したモノはいない。口から吐き出される炎は強力であり、例え防げたとしても空気が熱せられ肺がやられる為戦士の天敵と言える。


「……礎は砲火蜥蜴、か」

「解るのか?」

「これでもお前らがシャーマンと呼ぶ存在だぞ? それくらい解るさ」

「成程。で、砲火蜥蜴の様子はどうだった?」

「お前さん、相当気に入られてるみたいだぜ? お前との親和性が高く、そろそろ精霊化してもおかしくない」


 精霊化。長い年月経て、或いは他の魂を喰らう事により存在の段階が上がった霊魂を指して言われる現象である。自然界に住まう精霊と同レベルの力を発揮する事から名付けられた現象だが、その力は己の存在に特化している為精霊として最初から形を持つモノと比較するとその効力は落ちる。

 俺の所持する魔剣アルト・シュメルツの場合は精霊をそもそもの礎としている為に高密度の魔力を内包していたが、その力を発現する様になったのは俺が魔剣を使い始めて一ヶ月が経過する頃であり、精霊化により人の形態を取れるようになったのもその時期だった。

 故に大火を発生させる程の能力を持つこの魔剣は何時精霊化を果たしてもおかしくない状態だった。


「次は私ね。私の魔剣は名前をツァオバー・ツェアライセンというわ。その力は魔法やそれに付随する効力の無効化よ。よく魔法破りと呼ばれていたわ。それが魔法により備わっモノなら不死者でも殺せるわね」

「なんと……」

「対魔物用に最適な剣だな」


 黒い刀身のブロードソードの最も奥に潜む魂は戦士のモノだ。おそらく魔法で死んだのだろう、魔法に対する憎しみがその力を発現させたのだと考えられる。


「最後は俺か。……フィーネ」

「はい」


 後ろに立っていたフィーネが人の形を崩し俺の中へと流動する。そしてその力から剣を汲み取り発現させる。


「これが俺の魔剣アルト・シュメルツだ。その力は損傷経験の再現。発生して時を経れば経る程、俺にとっては壊しやすいモノとなる」

「ゴーレムを数回の攻撃で砕き切ったと報告が有ったが、それの力か」

「……え、私そんなのと切り結んでたの?」


 セシルが蒼い顔をして問いかける。全ての斬撃を防いで起きながらこの女は何を言うのだろうか。


「そうすると、組み立てる戦略は私が敵兵の掃討、セシルが対魔法の防御及び攻撃、そしてレイジが敵性兵器や防壁の破壊、といった所か。不満は有るか?」

「無いわ」

「俺もだ。付け加えるなら俺とセシルも雑兵程度には負けんから普通に戦列へ出れるぞ?」

「そんな事は知っている。お前達にも十分働いてもらうさ」

「ソイツは楽しそうだ」


 ベルンハルト、セシルはそれぞれ不敵な笑みを浮かべている。恐らく、俺も似たような笑みを浮かべている事だろう。

 ここに居るのは強者ばかりだ。潰し合うのも良いが、背中を預けるというのも中々乙なモノだろう。

 と、そこまで考えてふと疑問が浮上する。


「そう言えば気になるんだが……」

「何か解らない事が有ったか?」

「いやさ、俺は半分以上人間じゃなくなっているんだが、それに付いて行けるお前達は何者だと思ってよぉ?」

「「……………………」」


 二人は顎に手を当て考え、そしてまずベルンハルトが顔を上げて話し始める。


「僕の場合は、祖父がドラゴンスレイヤーで、レッドドラゴン討伐の時に返り血を浴びた影響が子孫に色濃く受け継がれているらしいんです」

「竜殺しの末裔か、成程」


 ドラゴンスレイヤー。ドラゴンを殺した者に与えられる称号であり、その効力はどのような勲章よりも強い意味を持つ。そしてドラゴンの血を浴びた者は強大な力を持ち、その力は血脈によって次世代まで受け継がれると言われる。ベルンハルトの場合はそれが戦闘中に覚醒したという。元々の性能が高く、更にその高い性能を十全に活かせるようにと修練を重ねた結果が、経験から来る攻撃予測と攻撃への先制だろう。回転運動時に突きを繰り出されるのは恐ろしいものだ。


「で、セシルは?」

「……父は、何か魔王の家系だとか言ってました」


 とても凄いカミングアウトをされた。魔王と言えばこの国の歴史上一人しかいない。

 魔王ギーゼルベルト。

 魔法を極め、世界を滅ぼそうとした彼はその当時に名乗りを上げた勇者と戦い、クライムドラゴンの妨害にやる気を削がれ丸くなった。しかし、その秘めたる魔力は危惧すべきモノであり、結局魔王は人間達の手で封印されてしまった。

 その子孫と言えば割と有名だ。あるモノは高山地帯に住み、時折人里に降りては弟子を取る。ある者は旅の途中で立ち寄った村で怪我人や病人を癒す。そして、またある者はその力を秘匿し人々の中に紛れた。

 魔王の子孫と言うならば、破砕の魔法が効かなかったのも肯ける。溢れ出かえる魔力が魔法の神秘を掻き消したのだ。このセシルと言う女を魔法で殺す事は不可能に近いのではないだろうか。魔剣の能力を顧みるに、本人の資質と合致した性質のモノだったのだろう。


「それはまた心強い」

「確かにな。それなら魔法が効かないのも納得がいく」

「父はこの事を声高に唱えたせいで狂人扱いだったけどね」


 これで二人の出来る事とその力の源泉を理解できた。後は、準備を整え戦うだけか。


「では、これより九日で各自準備を整えてくれ。この戦争、勝てない事も無いぞ?」

「当然だな」

「ええ、ぶっ潰さなきゃ」


 俺達三人は拳を合わせ、気合を入れる。

 戦は近い。



 準備期間中、俺は彼方此方を移動して回った。理由は必要になるモノの収集だ。

 まずは魔法を封入されたカードだ。位階の低い魔法使いが食い扶持や研究費を稼ぐ為に作り出すこれらは、その術者の魔法を単発のみ相手に与えるモノだ。信頼できる腕の魔法使いならばこれらの値段は高騰し、資金を得て食い扶持に困らなくなった魔法使いは俗世に関わらなくなるため業界内にいる魔法使いの世代交代は割りと速い。

 基本的に俺はベラから魔法の封入されたカードを買い取っている。その代金は主に東の森で採取される薬草や魔物の素材だが、今回は希少なレッドドラゴンの素材を捌いている為に、効果の高いモノを用意して貰えたとフィーネは言っていた。

 次に身に纏うモノを揃えた。流石に戦場へ行くというのにレザージャケットでは分が悪い。故にレザーメイルを発注する為に色々な地の工房を巡った。レッドドラゴンの素材で作った防具が有り性能も良いのだが、その重さが俺の戦闘スタイルには合わない為新規に購入するのだ。そして現在、俺は帝国内にある工業都市を訪れていた。工業都市はどうにも文明の特色が強くあまり良い気分ではないが、大規模な戦争を経験した事の無い俺にとって専門家の意見は聞き逃せないモノであり、故にベルンハルトに教えられた店を回る。通りを歩きながら様々な工房の品に目を通す。


「へい旦那、このプレートメイルなんて如何でしょ?」

「うーん、重そうだから却下。レザーメイル持ってこい」


 しかし、都市全体がプレートメイルが売れるという風潮にあるのか、レザーメイルは碌なモノが無かったりする。


「お客さん、最近はどうにもレザーメイルが売れませんでのね? 製造していないのですわ」

「……そうか。なら他を当たる」

「へぇ、すいませんねぇ」


 ペコペコと頭を下げる店員の表情は本当に済まなそうだ。そして、回った店はこれで十六件目だ。そろそろ決めたい所だが、どこか良い所は無いだろうか。


「そこの人」

「あん?」


 後方から掛けられた声に振り向けば、そこには白い髭をたっぷりと蓄えた爺さんが居た。


「レザーメイルをお探しなんだろう? 街中で噂になっとる。どれ、儂の店のモノを見てみんか?」

「置いてるのか? レザーメイルを」

「儂は本来革職人じゃからの。ご期待には沿えると思うよ?」


 爺さんの放つ雰囲気はこの文明の中心地に居ながらも、どこか自然を連想させる何かが有った。敢えて言うなら、草原だろうか。その雰囲気は嫌いじゃない。俺の警戒心は何時の間にか霧散していた。この爺さんの言葉なら信用できるかもしれないと根拠もないのにそう思い始める。だが、俺の人生において根拠程役に立たないモノはない。あるのは結果だけだった。勝つか負けるか、殺すか死ぬか、食うか食われるか。故に、そもそも罠だとかそうでないとか気にする感性を元々持っていない気が付き、罠ならば食い破るまでと結論を下す。


「まずは見てからだな、案内してくれ」

「こっちじゃ」


 舗装された道を歩き、都市の外側へと移動する。移動する内に舗装は乱雑なモノに変わり、道に土が露出し始める。そのまま歩くと、開き直ったかのように道の舗装は無くなっていた。先程の中心地区よりも心が軽い。やはり俺には荒れ野が御似合いの様だ


「着いたよ、ここじゃ」

「……ここは」

「若い者は不便さを嫌って中心区へと行きたがるがの、儂はこういう不便さにこそ生きている実感を得るのだよ。それがないと、頭が腐ってしまいそうで堪らんのじゃ」


 頭が腐ってしまう。その言葉は俺の心に響いた。奇妙な事に、それは俺が子供の頃に口遊んだ言葉と全く同じだったのだ。この爺さんの思想は思った以上に自然側に近いようだ。

 そこは見た目には古い木造の一軒家だった。都市に配置された石材や煉瓦で構成された家々とは違うそれはこの街で異端と言える。しかしその異端さは俺の望む所だった。


「さ、中に入っとくれ。まずは採寸をする」

「ああ、いや待て。まずは作品を見てからだ」

「解っとるよ」


 家の中へと入る。家の中には暖炉。と木製のテーブル。そして作業台と材料が整頓された棚が有った。ぱっと見ただけでも砲火蜥蜴の鞣革や縞熊の毛皮などが並んでいる。これらは加工が難しいと言われている品だが、それをわざわざ一定量確保しているという事はそれだけの腕が有るという事だろう。

 爺さんは部屋の奥の扉を開け隣の部屋で何かを探していた。そして見つかったのか、手にそれを持ってくると俺の眼の前へと置いた。それは見事なまでにレザーメイルだった。元の生き物は見当が付かないが、それは薬品処理により変質してしまったためだろう。手で触ってみるが、今まで触れたどのレザーアーマーよりも硬質な鞣革で出来ている。試しに持ち上げてみると中々に軽い。いつも着ているレザージャケットより少し重い程度の軽さだ。


「これなんてどうじゃ?」

「爺さん、これは何の皮だ?」

「剣牛の皮だったかの。それをドライアドの樹液で二晩煮込み五枚重ねにしたものじゃ」

「……成程、ドライアドの樹液か」


 ドライアドの樹液。

 それはドライアドが己の獲物の時を凍らせるために使うモノだ。これを塗りたくられたモノはドライアドに時間を止められてしまう。物質に対して硬化作用を持ち、それを使ったモノは紙が鋼鉄の様に硬くなると言われている。


「しかし、よくそんなモノ持ってるな。今時高いだろうに」

「儂が若い頃はまだまだ安かったからの。その時に儂の親が買い溜めしたモノじゃよ」

「それって貴重品なんじゃないのか?」

「道具は使ってこそじゃ。違うか?」

「……いや、違わない」


 どうやらこの爺さん、素晴らしい職人の様だ。長老の話では自然と意思を交わす魂食みの民でもドライアドの樹液は扱いが難しいらしい。それを使って一作品を作り上げられる以上、この爺さんは紛れもない名工だ。


「爺さん、これを売ってくれ」

「これで良いのか?」

「ああ、どうせ目玉商品だろう?」

「ほほ、まず良いモノを見せるというのは商売人の礼儀よ」

「気に入った。で、幾らだ?」


 値段を尋ね、取引を速やかに終える。提示された金額は相場のそれよりも高くとると爺さんは言ったが、その程度でこの名工との関係を結べるのなら安いモノだと思った。

 レザージャケットを脱ぎインナーの上にレザーメイルを着る。漂うのは森の匂いだ。素晴らしい、俺にぴったりの防具じゃないか。

 そして細やかな微調整を終え、剣牛のレザーメイルは晴れて俺のモノとなった。その後グローブや安全靴等の細々したモノを買い俺の買い物は終わった。


「良い買い物だった。また来るかどうかは解らないが、次に来る事が有ったらまた頼むよ」

「ほほっ、また来なさい」


 微笑む爺さんを背に俺は店を後にする。後必要になるモノは何だろうか。そんな事を考えながら早足にその街を出た。



 宣戦を告げようとした帝国に対し、王国は先制を取る様に宣戦し帝国と王国の間にある草原に陣地を形成し始める。送れるように帝国側も陣地を形成するが、戦線は帝国の方へと傾いていた。

 帝都。

 北の城壁の外。俺はベルンハルト達と共に遠くに視線を向けていた。その先には人の群が有る。殺意に燃える人の群だ。しかし殺意を抱くのはアチラだけではなくコチラも一緒だ。どちらも結局は相手を自分の都合で潰そうとしているだけだ。そこに思いやりが介在する機会などない。生き残ろうと考えるならばそんなモノは犬にでも喰わせるべきなのだ。

 斥候によれば、既に敵は草原に陣を敷き拠点を設置しているらしい。拠点の数はこちらより少し多いとの予測がされたとか。力の強い召喚師ならば砦を召喚する事すら可能だ。そう考えればこの速度での急造も何ら可笑しくない。

 戦列を組んだ兵士たちの隙間を抜ける。どいつもこいつも殺意を研ぎ澄ました顔をしていた。それだけ今回王国の使った手は帝都の住民達に許容できるものではなかったのだ。腐り水の魔法は今まで防衛だけで適当にあしらっていた帝国の上層部を突き動かした。上から末端に至るまで、最早王国を潰す事しか考えていない。

 その熱意を、俺は何処か冷めた目で見ていた。競い合いは心が躍る。それはお互いに高め合うからだ。一対一ならばそれは絆とすら言えるだろう。だが戦争は違う。余りにも消える命が多すぎる。それで成長して、それを幸せと言えるだろうか、誇れるだろうか。

 文明は人を殺す為に発展したモノを応用し利便性が上がる。同族の血の上に胡坐をかいて享受する平和に価値などあるのだろうか。故に俺は戦場に思想を持ち込まない。生きる為に殺す。戦いとは、殺し合いとは本来それだけで良い筈なのだ。

 古の書物に、吸血鬼と言う存在が居た。そいつは人の血を啜る化物であり、強大な力を秘めるそうだ。しかし俺はその書物に記された吸血鬼よりも人間の方がその名に相応しいと考える。文明が築いてきたモノはどれもこれも血塗れだ。その匂いが濃くなるだけでイライラが収まらない。


「……マスター」


 心配げに、後ろで歩いていたフィーネが声を掛ける。その頭に手を置くフィーネが俺を心配する必要などないのだ。しかし、どうしようも無く心が冷える。これから俺は、戦った者との絆の下に無駄な殺しを積み重ねる事になるのだ。……いや、寒いぐらいで丁度良いのだろう。これを快感と感じてしまったら、それはただの化物だ。


「安心しろ、とは言えないか。だが大丈夫だよ、俺は一人で戦う訳じゃないからな。お前が居るから凍えたりしない」

「そう、ですね」


 ベルンハルトは、目を閉じその心を研ぎ澄ましている。この男は誰よりも人間らしく、そして誰よりも潔いという可笑しな男だ。人間が全てこんな男だったなら不毛な争いは起きないのだろうか。……そんな訳が無い。現にベルンハルトは戦争を手段と割り切っている。その心は既に傷だらけであろうに。本当に良い男だ。

 セシルは眼を瞠り敵影を見つめ魔剣の柄を強く握りしめている。そこにあるのは憎しみだ。正しさを志したこの女は、そのためならば味方すら切り捨てる。いや、この女にそもそも味方など存在しないのだろう。孤高だ。戦場に立つこの女は何処までも孤独だ。もしも、戦い方を知らなければ畑でも耕していたのだろうか。そう考えると遣る瀬無い。

 そして俺は、効率だけを考える。俺の速さに追いつける人間はそういない。俺の魔剣に立ち向かえる奴はそういない。だが絶対じゃない。死の気配はそこら中に転がっている。ならば、その気配が追いつく前に敵を喰い殺せば良い。惨殺に心は躍らない。故に、強者が居る事を望もう。


「レイジ。そろそろ将軍の演説が始まる。既定の位置へ急ぐぞ」

「演説?」

「兵士を鼓舞するのさ。これも上の務めだよ」

「名乗り上げとは違うのか?」

「それは各個人の自由だよ。これも指導者の務めだ」

「そうかい、戦争はやった事が無いから解らんよ」

「私達魔剣使いの役割は並列に並ぶよりも横合いから殴るのが主よ、それだけ覚えてれば良いわ」

「経験者の言だ、しっかりと聞かせて貰ったよ」

「それ、嫌味?」

「まさか」

「無駄口はそこまでだ。始まるぞ」


 所定の位置へと着き、その演説へ耳を傾ける。演説の内容は下らないモノだ。義は我らに有り、悪辣なる王国の兵を殺せとか何とか。そんな事言うくらいなら、奴らを追放する時にキッチリ殺しておけと言うのだ。お蔭でいらない被害が賢狐の信徒へ降り注ぎ、いらない戦争が起きているのだろうに。イライラが募る。しかし暴れるのは後に取っておこう。

 やがて演説が終わった。長々といらん事を喋ってくれたせいで此方のやる気は下降気味だ。


「皆、準備良いか」

「ええ、大丈夫よ」

「おー、大丈夫」

「……レイジ、もう少しやる気のある声は出ないのか?」

「やる気が無いからな。お前が出させろ」

「……解った、出させてやろうじゃないか」


 その一言と共に魔剣の切っ先が俺の喉を目掛けて飛んでくる。それを首を動かして躱し飛び退く。


「フィーネ」

「はい」


 即座にフィーネを取り込み魔剣を顕現させ構える。脳みそを焦がす様な殺気が向けられ途端に目が覚めた。


「出たか、やる気」

「おう、十分だ」

「……良し、行くぞ!!」


 その掛け声と共に俺達は戦場へと走り出す。既に最前線では殺し合いが始まっていた。



 前線にて。

 断末魔が飛び交うそこは、正にこの世の地獄だ。腕を無くした者、足を無くした者、心臓を損傷をした者、頭の無くなった者、命を奪われた者達。敵の死体を蹴り飛ばし、味方の死体を踏みにじり、それでも彼らは止まらない。誰も彼もが血に酔っている。酔えぬ者はとうの昔に死に絶えた。ここからは修羅共の領域だろう。


「ハァッ!!」

「ガァァァァッ!? 俺のッ、腕がァ!?」


 その領域にベルンハルトは踏み込んだ。魔剣は敵が携える鋼鉄の盾が無かったかのように切り裂き、その腕を斬り飛ばす。それを確認するとベルンハルトはその場で回り魔剣を横薙ぎに一閃する。すると周囲の敵兵が吹き飛んだ。魔剣の秘める力が爆発し、その際の炎が敵兵の命を舐め尽したのだ。殺した者の魂を魔剣が喰らう様子を見ながら、視線を空へ向ける。そこには数え切れぬほどの矢が有った。敵も馬鹿ではない。前回の侵攻の際にベルンハルトの力を学んだのだろう、故に味方が即座に死に絶えるのも計算済みであり、そこへと被せる様に放たれた矢がベルンハルトの下へと降り注ぐ。

 それを見て取ったベルンハルトは虚空へ剣を一戦する。瞬間、天空に炎と爆発によるカーテンが気付かれた。矢の群れ程度ではベルンハルトを止められない。あの魔剣はその程度で止まる程生易しいモノではないのだ。全ての矢を斬り伏せたベルンハルトだが、俺の背筋に感じられる死の気配は遠退いてはいない。

 予感は当たる。次に現れたのは魔法使いだ。杖を抱え手を翳し、こちらへと向けて火の魔法を放つ。流石のベルンハルトでもこれは手に負えない。その数は膨大に過ぎる。何より炎の性質上、同種の力であるそれを防ぐ事は難しいのだ。

 ベルンハルトへと殺到する火焔球。しかし、当のベルンハルトと言えば余裕の態度であり、その顔には薄らと笑みすら浮かべている。その原因は直ぐに解るだろう。

 ベルンハルトと魔法の狭間にその女は飛び込んだ。血を吹き出したかのような赤い鎧に黒い刀身のブロードソードを構えたセシルだ。セシルは迫り来る火焔球へと向けて己の魔剣を振るう。火焔球は、魔剣の刃が触れた先からその姿を霧散させていった。


「寄り道が過ぎるわよ、ベルンハルト」

「済まない、だがこれで前線も少しは楽になる筈だ。……行こう」

「ええ」


 ベルンハルトとセシルが前線の敵兵から眼を背け俺の方へと疾走を始め。俺はと言えば敵軍の横を走り抜け一直線に王国軍の気付いた拠点へと走っていた。俺達の目的は派手に動く事での陽動と、敵拠点の破壊である。

 走り、敵兵の頭を踏みつけ跳び、そして遠くに拠点が見えた。木の柵で囲われたそこは兵糧等を収めて置く為のモノだ。俺にとって敵兵の群は壁にならない。その頭を踏み抜いて跳べば一直線にその拠点まで辿り着けるからだ。


「だれか、アイツを止めろ!!」


 敵の指揮官が俺を止めろと命じるが雑兵程度で止められる程、俺は安い存在ではない。柵に取り付き、魔剣を突き刺す。魔剣の効力が刃から伝達し、柵は木端微塵に弾け飛んだ。急造にしては頑丈な柵だったのだろう。しかし木材の重ねた年月を考えればその損傷経験は大きい。

 敵の拠点を駆け抜ける途中に見張り用の櫓に刃を通す事を忘れない。櫓は木端微塵にその姿を崩し、その上に居た者は容赦なく地へと墜ちた。これで敵は戦線を下げなければならなくなる。兵糧の無い状態では、如何な生き物であろうと戦えないのだから。

 追い付いたベルンハルトが魔剣を振るい兵糧を焼き払う。その光景が見えたのか、敵兵の間に動揺の波が発生している。顔色からして士気の低下は著しいと言えるだろう。


「これで一つ目か、先は長そうだな」

「そうだろう。しかし、私達が動けばそれだけ損傷も少なく、そして速く終わる」

「いっその事全部潰す勢いで行きましょう?」

「おいおい、拠点を潰すのは俺だぜ? 少しは労われよ」

「何言ってるのよ、まだ若いでしょ?」

「……へっ、言ってくれるじゃないか」

「無駄口は其処までだ。本体はどうやら撤退する敵に合わせて追撃を行うらしい。が、王国の召喚師が先に襲撃したアレだけの筈がない。充分経過しながら進むぞ」

「おう」

「ええ」


 戦はまだまだ序の口だ。

 始まって早々に大量の魂を喰らっていったが、これが終わる頃には、魔剣は一体幾つの魂を喰らっているのだろうか。

 そんな事を考えながら、俺達は次の拠点へと向けて走った。



 戦況は有利と言えた。

 俺とベルンハルト、そしてセシルの魔剣使い三人による拠点破壊及び前線の援護が功を成し兵の消耗が少なく、更に敵軍が戦線を下げるしか無い為、攻撃はその勢いを増していた。

 夜。

 俺達は周囲へと目を光らせつつも保存食を口にしていた。俺が食っているのは自家製のジャーキーだ。食い千切り、口内で咀嚼し続ける。噛めば噛む程味の出るジャーキーはその味に飽きさえしなければ絶好の御馳走だ。


「お、レイジさんじゃないっすか!!」

「ん? お前は、……えーと」

「ほら二年前ですよ!! 森で迷った時に助けてももらった……」

「……ああ、スマテゲハ・シタワ、だったか?」

「誰っすかそれ!?」

「冗談だ、あの時の小僧だろう?」


 懐かしい顔に会った。俺に声を掛けたその兵士は以前森で助けた子供だった。当時、森の脅威に表情を捨て去っていた少年は、今こんなにも笑えるようになっている。若干五月蝿いが、それも元気な証拠か。


「あの時はありがとうございました、お蔭で今は元気に兵士なんてやってますよ!!」

「助かった命を捨てに行っている様に見えるがな。ジャーキー食うか?」

「あ、いただきます。いや、兵士も捨てたもんじゃないっすよ? ゴロツキを現行犯でとっ捕まえたりすると周りが歓声上げますし、たまに店行くと一品おまけしてもらえたりしますし」

「それはお前の人徳だよ、誇っとけ」

「へ、へへっ、照れますぜ」


 頭をがしがしと掻く兵士の男は立派な身体付きしていた。しっかりと食っているのだろう、森の中で出会った時の痩せた少年の面影は欠片も無い。その姿に安心すると同時に、こんな所に居て欲しくないと思ってしまう自分が居た。この見ていて気持ちの良い笑顔を浮かべられる青年が戦場に居て殺し合いをしているという事実が俺の胸を締め付けていた。


「小僧、名前はなんだ? 前は確か聞いていなかったからな」

「ベンノっす」

「そうか。ベンノ、こいつをやる、お守りだ」


 言って、ポーチから魔法の封入されたカードを取り出しベンノへ手渡す。


「お守りっすか?」

「ああ、大事にとっとけ」

「魔法のカードっすね。貰える者は貰うっす!!」

「良い考え方だ」


 ニカリと笑う青年の頭を乱暴に撫でながら夜空を見る。夜空には満月が輝き、若干雲がかかっていた。


「敵襲ッ!!」


 その時、夜襲を知らせる声が鳴り響いた。



 暗い夜を魔法使いの閃光魔法が照らす。歩み寄る脅威は寒空の下地響きと共にやって来る。それは、ゴーレムの軍団だった。全長20メートルはある鋼鉄の塊が、その肩に弓兵と魔法使いを乗せ隊列を形成し接敵しているのだ。ゴーレムの軍勢は対騎兵戦力用の罠を態々踏み潰しながら近付く。まるで城壁が此方へと迫ってくるようだ。


「レイジ、出るぞ!!」


 ベルンハルトが奥の指揮者から飛び出し俺に言う。その手には鞘に収まった魔剣が既に握られていた。


「応ともよ、敵はどうやら相当切羽詰ってる様だしな」


 突かれた蜂の巣の様に騒がしい陣地を背に、手の中にあるジャーキーを急いで飲み込むとフィーネを呼ぶ。


「フィーネ」

「承知です」


 素早く融合し、即座に魔剣を取り出す。敵はゴーレム。俺の持つ魔剣のと相性はとても良い相手だ。生まれてから年月を経れば経る程、魔剣の効力は絶大なモノとなる。危惧すべき要素と言えば肩に乗っている弓兵隊と魔法使い達だろうか。それに気を付けながらゴーレムを全て壊しきれば何も問題は無いだろう。

 陣地を飛び出し夜の戦場へと繰り出す。戦場は魔法使いの放つ閃光魔法の効果が切れる度に次が放たれ眼がチカチカする。視界がどちらにも順応できないのは不愉快だが、敵の全体像が見えるだけマシだと思いながら進む。


「ッ、接敵する人影一!! 魔剣使いと思われます!!」

「矢を射掛け足を止めろ!! 魔法使い達も近付かれる前に撃て!!」


 聞こえる声に視線を向ける。そこでは弓兵達が弓に矢を番え放つ姿が有った。放たれる矢の向こうで、魔法使い達が唱えているのは呪文だろう。矢の雨が降り注ぐ。鋭く研ぎ澄まされた鏃は容易に生物の肉を食い破る事だろう。

 まあ、それが普通の生物ならという話だが。


 俺の身体に接触した途端に矢は粉々に弾け飛んだ。


「なっ、どういう事だ!? 何で矢が弾ける!!」


 そもそも、俺が融合しているのは魔剣アルト・シュメルツの精霊であるフィーネだ。魂食みの民は契約した魂と融合する事によりその力を増大させる。そして、フィーネと融合している俺の身体は全身が魔剣と化している状態と言えた。故に鏃が触れた先から崩壊させ損傷を軽減する事が可能なのだ。剣の形を取らない状態で能力を行使すると魔力の消費が激しい為普段は出来ない技でもある。それを何故今使えるのかと言えば、それは先日購入したレザーアーマーがあるからだろう。

 レザーアーマーは胴体を丸々と覆い防御する。胴体とは人間の身体で最も広い面積を持つ部分だ。その広範囲を完全に防御しきる事により能力行使に伴う魔力の消費を最小限に削減している。故に俺は今矢の雨の中を縦横無尽に走る事が可能なのだ。レザーアーマーの性能がそこらのプレートアーマーより高い事も要因に入れられるだろう。あの爺さんとの出会いに感謝だ。

 矢の雨を潜り抜けると魔法使い達の攻撃が待ち構える。基本的に魔法使い達が攻撃に用いる魔法は炎が殆どだ。攻撃の速度は遅く、俺の身体能力ならば回避は容易い。

 ゴーレムの足元に辿り着く。ここまで来ると矢による攻撃も魔法を打ち込む事も難しい。下手をすればゴーレムにダメージを与えかねないからだ。振りかぶった魔剣をゴーレムの片足へと叩き付ける。接触の後、ゴーレムの片足は木端微塵に崩れ落ちた。

 巨体のバランスが崩れる。そうなれば当然その肩に乗る者は転げ落ちざるを得ない。それを見て、次の一体に向かって走る。

 遠くで巨大な火柱が上がった。おそらくベルンハルトだろう。火柱の中から出て来たのは黒い煤を其処彼処に付着させたゴーレムだ。その肩を見れば、炭化した人型が崩れ落ちる所だった。ゴーレムには大して効かないが、人間には抜群の効果を持つ様だ。それを見て、走る足を加速させる。ゴーレムの数は大体20といった所か。このペースなら余裕だ。

 俺はその後もゴーレムに攻撃をし続けた。



「ハァ、ハァ、……ッ、ァ、ハァ」


 夜明け前。

 一晩中ゴーレムを狩り、被せる様に援軍を召喚する召喚師を殺し回って何時間経過しただろうか。俺を含めた魔剣使い達は既に疲労困憊となっていた。俺の肉体は既に自己再生が働かず、ベルンハルトは明滅する魔剣を杖代わりに気力だけで立っている状態で、セシルはまだ動けるのか前線で兵士に交じって剣を振るっているが、それとてそろそろ限界だろう。やはり軍人としての教育を受け続けたセシルの方が、俺やベルンハルトよりも継戦能力が高いのだろう。

 ポーチから魔法の封入されたカードを取り出す。封入された魔法は治癒の促進。それを己に行使し傷を癒す。魔法の封入されたカードには魔法と同時に封入者の魔力が注がれる為疲労状態でもどうにか発動は可能だ。目立つ怪我は概ね治ったが疲労までは回復しない。


「ベルンハルト、もう限界だろう。一旦引いた方が良い」

「……確かに。セシルがまだ戦っているが、どうする?」

「俺が撤退を促す。お前は先に返って休んでろ」

「解った」


 ベルンハルトは身体を重そうにしながら後方へと歩き始める。それを見た部下が集まりその肩を担ぎ始める。中々の人望を持っている様だ。

 視線を前線へと向ける。

 召喚師の呼び出した魔物達は、数を優先したのか国や解決家協会などで低級認定された種が殆どだ。しかし、対人戦の訓練は積んでいても対魔物戦についての知識が無い兵士達では相手にするのが危険な相手と言える。

 まあ、それにも例外がいる訳だが。


「イィィィヤッハァァァァァァァァァァ!!」

「な、何だアイツ!?」

「おい、化物を踏みつけて跳んだぞ?!」


 前線で馬鹿の様な雄叫びを上げる青年が一人。夜襲前まで共に話していたベンノだ。ベンノが森で迷った際、俺はまた迷う事が有っても生存できるようにと様々なサバイバル知識を与えた。その中には魔物に対する有効な戦法なんかも含まれる。

 基本的に、魔物と対峙するときは技より力だ。先の読み合いや防御などといった者は対人でしか役に立たないモノであり、技を持たない者に対し技で立ち向かうというのは消費が激しい。故に志すべきは一撃必殺だ。力によるごり押しも良い、速度による狙い澄ました一撃でも良い、雑な攻撃でも良い、相手の急所にそれを叩き込むことが出来るのなら。ベンノはそれを徹底的に行える。現状においてもゴブリンやブレイドウルフの頸や目、心臓等に目掛けて剣を振りかざしている。その勢いは通常の兵士とは比べ物にならない程の速さだ。ベンノは兵士でありながらレンジャーとしても優秀だった。


「よし、ベンノに続け!! 奴の動きを真似しろ!!」

「アイツだけに好き勝手させるかよ!?」

「俺は生き残って、あの子に告るんだぁぁぁぁぁ!!」

「「お前は待て!?」」


 ベンノの活躍に触発されたのか、前線の兵士達の士気が上がっている。口々に発せられる雄叫びに魔物達も勢いを削がれている。撤退するには絶好の機会だ。

 俺はセシルの下へと走りその肩に手を置く。


「セシル、撤退だ」

「……まだ、イケるッ」

「不完全な状態なお前よりも完全な状態のお前の方が強いだろう。一度回復した方が多くを成せるぞ?」

「……そう、ね。頭に血が上っているみたい。行きましょ?」

「おう」


 ごねられるかと思ったが、セシルは冷静に自分を分析していた。やはり戦場の心得のある者は違うという事か。

 体力が既に限界だった俺は、セシルに肩を担がれる形で前線を退いた。

 戦場の空は、夜が明けるのか赤らんでいた。


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