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understanding  作者: ryure
剣士さんと王様
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・・・・

・・・

・・


「陛下!」

「……なんだ、騒々しい」


 せっかく熱中していたのに。なんだこのやかましい兵は……別に俺は敬えとか、へつらえとかは言わん。鍛冶をやっていて五月蝿いから聞こえやすいように大声をあげるのも仕方がない。だがバタバタと砂や埃を舞いあげておれ……私の鍛冶小屋に駆け込んでくる必要はあるのか。よし、錠前を作ろう。


「し、失礼しました!

ですが……アースルヴァイツ家とルシェヴァルツ家から会見の申し込み……いえ、もえご本人たちが来ていらっしゃいます……!」

「そうか、すまない……………………、下がってくれ。私は急いで会見の間へ向かう」

 何だ、何なんだ。せっかくの、久しぶりの休みが問題児のルチェに潰され、姉狂いと化したリュートに語られなくてはならないのか?!

 不幸とは……これか?


 渦巻く不満を押し込めながら走る。作業着だが気にするものか。リュートだろうとティオだろうとルチェだろうとウルガ殿だろえとこんな服装は今更だ。むしろ正装すればルチェに笑われ、帯剣すればティオの目に殺されそうになり、昔の格好に意地になって戻せばリュートに高笑いされた後にひっぺがされて来たからな……もう気にするものか!いっそのこと清々しいだろうよ!


 とにかく持てる力をすべて発揮して走った。魔法の筋力強化もしたし、邪魔くさかった靴は早々に何処かに脱ぎ捨てた。驚く貴族がこっちを振り返るが、そんなものは気にしない。それよりももっと厄介なアースルヴァイツとルシェヴァルツの対応だ!


・・・・

・・・

・・


「何用だ!」

「…………国王、すごい格好だな」


 重い扉を蹴破るように飛び込んできたオランに思わず呆れ声が出る。私の背中にべたっとくっついているリュートも呆れ声を出した。おい、鬱陶しいぞ。


「陛下の格好がとてもハイセンスで私共にはとてもとても真似できないと痛感致しました、今日このごろですがご気分はいかがでしょうか?」

「最悪だ」


 言い方はあまり厭味ったらしくはないものの、明らかに馬鹿にしているリュートに図太い……ごほん、寛大なオランは何も咎めない。今更私達の仲でいちいち不敬だのなんだのは言っていられないからだけども。一応上司だし、敬語は敬語だが余計馬鹿にしているように感じるのは私だけじゃないみたいだ。というか普通に敬語で話してもオランを馬鹿にしている気分になるというな。

 玉座の横で控えるちょっと黒差別の色が残る大臣はぴくりとこめかみを動かしたし、衛兵はちょっとリュートに対して厳しい目つきになった。まぁ、それ以前にオランの格好に白い目で見ているんだけどね。流石に靴も履いてない、鉄さびで赤黒く汚れた作業着は無いと思う。髪の毛もボサボサだ、しかもすごい方向にピンピン跳ねている。


「お召し物を…………」

「わざとらしく敬語を使うな、とても鬱陶しい。特にルチェが得も言われぬ気持ち悪さになっている」

「同意だな」


 リュートに弁上したのかおどけたふうにマントを外してオランに渡そうとしたルチェは肩を竦めた。それではっきりと同意すればショックを受けたような顔でしくしくと泣き真似をする。二十を超えた男が何たることだ。これは女でも鬱陶しい。というか大の大人が何をやっているんだ。ルチェよ、君は私にじゃなくてリュートを慕う馬鹿……じゃなかった、リュートを慕う馬鹿だったろう?何故私にシフトチェンジしたんだ。


「退場するか、ルチェ?」

「謹んでご遠慮致します、リュティオーネ様、いや、本当にごめんなさい」


 私は我ながら完璧な笑顔だが、後ろのリュートが何かしたのかガタガタ震えながらも頬を染めるという高等技術をやってのけたルチェは平謝りだ。


「…………、なぁ……リュート」

「なんだい、オラン?」


 ルチェが綺麗な九十度の礼をしているのを眺めていると耳に飛び込んできたのはものすごく今更であるオランの反応だった。


「何故ティオはドレスを着て、君たちは正装しているんだ?」


・・・・

・・・

・・


「という訳でお嫁に行き遅れたから貰ってくれ」

「いやいやいや……何がというわけなんだっ?!」


 今日は城に来ているのはいつもの三人じゃない。俺達の父さんと母さんも来ている。恐らく母さんはニコニコと、父さんは顔に似合わない般若のような顔をしているんだろう、ティオ風に言うとね。


 ティオが言っているのは冗談でも何でもないし、一応行き遅れているにしてはまだ二十二歳だけどそれでもここの二十二歳なら行き遅れになるんだし、それを言うなら国王のくせに結婚していないオランはもう完全に終わっているし、それは俺もだよ。好きな人なんて見つからないし、見つける気もないしね。それはティオも同じだと思うけど。

 ティオって自分のことに適当だからさ、身近にいる未婚の知り合いの異性ってだけでオランを選んだんだよね。あと、身分。他の魔族支配から復帰した国が五月蝿いからさぁ。不本意ながら英雄とか勇者とかなんとか言われてる俺の片割れだしさ。というか勇者で英雄なのはティオなんだけども。

 まぁとにかく五月蝿いから、身分がいい人で異性で未婚で知り合い……イコール、オラン。オラニウスだよ。好きか嫌いかなら好きだろうしね。ま、友達としてだけど。記憶的に止めて欲しくはあったけど……うん。無名のやつら、顔だけ見たやつら、地位が欲しいやつら、剣聖の力が欲しいやつらに比べれば形だけオランと結婚してもらってた方がいろいろ楽だってティオは言ってたよ。俺は納得しないけど。

矛盾とかは次回回収。

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