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静かな部屋
「……ん…んん…」
カーテンの隙間からさす強い日差しで目が覚める。
時刻は正午。
不登校ながらもさすがに寝すぎたと心のなかで少し反省し1階のリビングへ下りる。
「……おはよ……」
そうつぶやいてリビングに入ると、いつものようにダイニングテーブルに突っ伏して寝ている母親。
『またか…』
夜の仕事をしてるとはいえ、ロクに家事もせずに寝過ぎだ。
さすが親子。
と、嫌味なことは置いといて、いつものように食パンをトーストに入れる。
何気なく部屋を見渡す。
荒れた部屋。
母親が脱ぎ捨てた服や下着(勿論パジャマで寝ている)。
父親が食べたと思われるスープだけ残ったカップラーメンの容器。
…空気中に漂う無数の塵。
「………」
明るい光がさしているからか、増して汚く見える。
『食べたら掃除でもするか』
と、焼けたトーストを口に頬張りテレビをつける。
静かな部屋に、騒々しい芸能人の笑い声が響きわたった。