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第8話:【悪魔と魔王】

「ほぉ、ここがシュロムシルトの住処か。」


魔界に入って、約一時間。俺達は既に、魔界の中心とも言える場所、【魔王城】の前に立っていた。

キュバスとケルベロスの威圧感に圧されてか、誰一人として俺達の邪魔をする者がいなかった為だ。


「うーん…、ウチと同じくらいデカい城だな(-"-;)」

見栄っ張りかー―っΣ(°□°;)!?

「いやいや、10倍以上あるよ!どんな大邸宅だよ!!」

…と、これだけ騒いでいるにも関わらず、あまりに辺りが静か過ぎる。

「こんなに静かだと逆に怪しいわね。」

キュバスも、扉の向こう側から漂う、嫌な雰囲気の空気を感じ取ったようだ。


「…何か居るのか?」

「ああ、扉の向こう…罠を張ってお待ちかねだ。」

真央も何かを感じたらしく、何か考える様子で扉から離れる。

城壁を伝い、15分ほど歩いただろうか、不意に真央が振り返る。

「ケルベロス、やれ。」

やれ・・・・・(・_・)?

目の前を、凄い勢いで黒い塊が通り過ぎ、轟音と土煙で辺りの様子が解らなくなる。

「ゲホゲホ!思ったより派手にいったなぁ(笑)」

真央の視線を辿る。

直後に目に飛び込んで来たのは、崩れ落ちた城壁と、瓦礫の中からノソリと起き上がるケルベロスだった。

「ショートカットしたー――――――――っΣ(´□`)!!」

ラスボスの城でまさかの荒技。


「良し。ケルベロス、シュロムシルトの場所が分かるか?」

ケルベロスは鼻をヒクヒクと動かし、「ワン!」と吠えると廊下を奥へと走り出す。


「ジェダ、キュバス、俺達も行こう。」

「ああ。」「はい。」

ケルベロスの後を追い、長い廊下を突き進む。

「魔王様っ!ご無事ですか!?お怪我は?」

魔王様に駆け寄り体を支える。

「ああ…。すまない、大丈夫だ。少し油断しただけだ。」

とは言うものの、魔王様の体には、いたるところにアザや傷痕が付けられている。


「シューちゃんっ(≧∇≦)ノシ!」


…シューちゃん( ̄□ ̄;)?


真央の声に、魔王様がピクリと反応する。

「いやぁ、久しぶりだなぁ!ずっと会いたいと思ってたんだ。今、魔王やってるんだろ?」

魔王様は、ゆっくりと声の主を見上げる。


「ぴぎゃぁー―――っΣ(; Д°)゜!!ま、まままままっ真央…真央!?」

何故だか真央に異常なほどの反応を見せる魔王様。

「もぅ、本当に、スミマセンっ!マジ、スミマセンっ!!」

何故だか真央にいきなり謝りだす魔王様。

いったい2人の過去に何があったんだろう…(°□°;)


「今すぐ助けてやるからな。ちょっとだけガマンしろよ?」

真央は、銃口を右手首を繋いでいる鎖にあてた。


「イヤイヤ(;д;≡;д;)ケルベロスに外してもらうから!」

魔王様の冷静沈着なイメージが総崩れだ。


「…なんで(-"-;)?」

明らかにムッとする真央。

そのまま10歩後ろに下がり、魔王様に銃を向ける。

「ぎゃぁー―――っΣ(; Д°)゜!!」

魔王様の叫び声と同時に5発続けて響く発砲音。


銃弾は、右手首・左手首・右足・首・左足の順に1ミリの狂いもなく鍵穴だけを綺麗に撃ち抜いた。

「ほら、もう大丈夫だ( ̄∀ ̄)」

真央は魔王様に手を差し伸べる。

「…アリガトウゴザイマシタ。」

魔王様は何故かカタコトだ。

きっと何か真央に酷いトラウマがあるのだろう。

「あの…、心中お察しします。」

魔王様は、「お前もか」的な表情で俺を見る。


「とりあえず、傷の手当てをしましょう。」

キュバスは救急箱を取り出し、魔王様の手当てを始める。

「ついでに、飯にしよう。集中したら腹ヘったし。」

そう言いながら、真央はキュバスの作った8段重ね弁当を広げ始める。


「…真央、その4段目の黄色いの…何?」

そこには、40センチ四方の弁当箱一面に敷き詰められた黄色い物体があった。


「あ、それは真央様の大好きなプリンです。」


プリー―――――ンっΣ(´□`;)!!

「ふぅ(´д`)=зお腹もいっぱいになったし、行くか。」

食事が終わり、真央とキュバスが立ち上がる。


「ちょ…ゴメン。胸焼けが酷くて立てないんだけど(-.-;)」

俺と魔王様は、プリンその他のスイーツが喉元まで上がって、なんだか体中が甘ったるい。


「何だって(°□°;)それは大変だ!早く横になれ!」

真央はテキパキと魔王様の介抱を始める。

「何か、魔王様に対して過剰に優しくないか?」

俺も気分悪いんですが。

「うん?シューちゃんは友達だからな( ̄∀ ̄)」

真央の言葉に、魔王様の体がビクッと反応する。


「治った!もぅ、大丈夫!治った!!」

突然、オロオロし始める魔王様。

「ダメだっ!友達として、そんなつらそうなシューちゃん見ていられない!」

胸焼けはお前のせいだけどな(-.-;)

「キュバス!今すぐネギを持って来てくれないか。」

…ネギ(°□°;)?


「はい。真央様、たまたま10㎏程持っています。」


持ってたー――――っΣ(°□°;)!!


「良し。それを全部シューちゃんの口に突っ込むんだ。」


殺す気かー―――っΣ(; Д°)゜!!


「待て、待て!何?ネギΣ(°□°;)!?」

「体調が悪い時はネギを喰えば良いんだ。」

真面目な顔で何を言い出してるんですか。

「真央、少し横になったら楽になったよ。だから、マジネギはナシで。」

魔王様は、何だかもう泣きそうな顔になっている。


「お礼なんて良いよ。友達じゃないか。」

俺、真央の友達じゃなくて良かった気がしてきた。

「ふふ…お前は昔と何も変わっていないな。」

遠くを見る魔王様。


「あの時もそうだったな。低反発枕と言ってスポンジケーキで眠らせ、暑いといけないからって布団の中に大量のカエルを入れ…。」

うわぁ(°□°;)

「美肌効果があると言い張って、俺の顔に蜂蜜を塗りたくったこともあったな…、何かムカついてきた(-"-;)」

真央は少し悲しそうな顔をしている。


「あれは、メープルシロップだったのに(;_;)」

変なところ気にしてたっΣ(°□°;)!


「真央様、そんなアホ達を相手にしてる場合じゃありません。」


アホ達ー――っΣ(´□`)!?


あんた魔王様相手にアホて。



「囲まれたみたいです。」

「ちっ!囲まれたか(-"-;)」

そりゃあ、これだけマッタリしてたらねぇ。

「仕方ない。食後の運動でもするか。」


真央は銃を構えると、2発、3発と悪魔達に向かって発砲する。

「私も加勢します。」

そう言いながら、キュバスは一番近くにいた悪魔の顔面に拳を浴びせた。


「真央、キュバス、ダメだっ!殺すなっ!」

魔王様の声に、2人の動きがピタッと止まる。

「ソイツ等は操られて動いてるだけだ!」

見ると悪魔達の体には、呪術による刻印がなされている。

「面倒だな(-"-;)で、シューちゃん的に何か作戦は?」

キュバスと真央は、背中を合わせるように魔王様の側に集まった。


「俺が出口までの道を作るから、その隙を突いて呪者のところまで駆け抜ける…。」

「ヤダ。めんどい。」


即却下ー――――――っΣ(°□°;)!!


「えっ…!?いや、あの…めんどいとかじゃなくて(´д`)」

魔王様はオロオロしている。

イジメ、カッコワルイ。


「要は、殺さなければ良いんだろ?ケルベロスっ!」

真央は、そう言って指を軽くパチンッと鳴らした。


ケルベロスが唸り声をあげながら、悪魔の群を次々と薙ぎ倒していく。

次の瞬間、全ての悪魔が地に伏せていた。


「よし。キュバス、頼む。」

キュバスは黙って頷くと、倒れている悪魔全員の口にネギを突き刺していく。

「ふぅ(´д`)=зこれでよし。」


何がー―――――っっΣ(°□°;)!?


「真央様、確認が終わりました。全員無傷です。」

ネギの意味は解らないが、キュバスは生死の確認をしていたらしい。

「これで良いんだろ?」

「ん?あ、ああ…。問題ない。」

魔王様はあまりの出来事に、少し放心気味になっている。


「それじゃ、そろそろ行くか。」

真央は珍しく気合いが入ったのか、指の関節をパキパキ鳴らしている。

「シューちゃんをこんな目に合わせた奴の所へ!」

そして、俺達は城の最上階へと向かった。


悪魔の反乱、その中心となる悪魔のもとへ。

薄暗い回廊を走り抜け、俺達はその足音さえ飲み込まれてしまいそうな暗闇をひたすら上へ上へと登っていく。

「もうすぐ俺の部屋だ。」

ピリピリとした雰囲気の中、魔王様が口を開く。

「いよいよラスボスの登場か。」


長い階段を登りきると、目の前に重厚な扉が現れた。

「準備はいいか?行くぞっ!」

真央は、頑丈な扉が壊れる程の勢いでそれを蹴り開ける。


「へぇ、なかなかしぶといじゃないか。元魔王様。」

広い部屋の一番奥、魔王様の椅子に1人の悪魔が座っている。

「くっ!ヤハウェ、貴様ナゼ裏切った!」


彼は、【ヤハウェ】魔王様の側近で魔王様に次ぐ権力者だ。

「ははっ!ナゼ…だって?初めから、アンタの下に就くつもりなんて無かったからな。」

ヤハウェは王座についたまま、話を続ける。

「俺だけじゃない。アスラやナラカ、他にもアンタの椅子を欲しがってる奴は沢山いるさ。誰もアンタを王だなんて思っていないんだよ。」

「そ、そんな…。」

魔王様は肩を落としてうなだれる。


「えー(-д-)?シューちゃん以外に魔王できるのなんて俺ぐらいしかいなくない?」

真央が、いつもの小憎たらしい表情でヤハウェを見据える。

「私も真央様の意見に賛成です。」

「俺は魔王様意外に魔王様は考えられない!」

魔王様は振り返って俺達を見つめた。

「お前たち…。」


王座のヤハウェは「ちっ…」と舌打ちしてゆっくりと立ち上がる。

「友達ごっこなら死んでからやれよ。全員、仲良く殺してやるから。」

ヤハウェの両手に鋭い刀剣が光る。



「最終決戦と…いこうか。」


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