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Count01 海

―夏だ海だ水着だ防犯パトロールだ同志っ!―

やかましい。いちいち暗号通信を使うな。頭痛がする。お前の破廉恥な妄想が俺の頭に響くとな。

「つれない息子だねぇ・・・」

「お前に育ててもらった憶えはない。」

「何を言う馬鹿者が。そんなつれない貴様とてこの俺に頬を赤らめているではないか」

「・・・おのれはオカマか」

「俺は男だが?」

・・・何が言いたいのだ。

「やはり貴様は女子に淫らな視線を送っているのではないかっ!この色魔め!」

大声でほざくな。アンポンタンが。

「ん?アンポンタンとは何のことだ?地元の名産品か?」

知らなきゃ知らんでいい。ちなみに良い子のみんなも知らなくていいからな。お兄さんとの約束だ。

―お前はもうお兄さんと呼ぶには年・・・がはっ!―

さり気に肘鉄を食らわす。お前は少し黙っておけ。

「ふっ・・・経験を積み重ねた歴戦の勇者だけのことはあるな・・・」

もう帰ろうかな・・・


・・・それは三日前のことだ。

「瀬戸湾に行くぞ、仕事だ。」

その時は開いた口が塞がらなかったね。瀬戸湾だって?ふざけんなっ!・・・と叫びたかったさ。

なんてったってここは東京都だ。瀬戸までリニアカーで片道3時間だぞ。その時午後八時。

”シンジ”さんよ。なんでいきなり瀬戸湾なのだ。

「わからんか?まあ無理もない。完璧なまでのスーパーエリートだからな。仕事以外は頭になくて当然か」

ほっとけ。

「まあまあ。言うなれば、防犯パトロールだ。あの辺は辺境地帯なだけに<サイバーパトロール>の警備が手薄なのだ。その穴を俺たちが埋めておこうってことだ。上からの指令書もあるぞ。」

”シンジ”が手渡してきた紙には確かに書いてあった。誰からの指令だなんて書いてねえけどな。多分こいつの自作自演だ。前に言ったと思うが、上司からこちらに連絡取ってきたことなんてない。

「では早速だが準備してくれたまえ。ああ、そうだ。せっかくだから水着準備しておくのだ同志。暇になれば泳げることもあるだろう」


・・・てな具合だったかな。まあ想像通りこいつは初めから海が目的だったようだが。水着だかなんだかいってるバカはほっておいてさっさと俺の目的を済ませるか。


<サイバーネット>ローカルサイトアクセス申請。パスワードは(おっと、俺の頭覗かれても困るから省略しておくぞ)。


視界が一気に青くなる。青くなるといっても自分の視覚を一時的に仮想空間に繋ぐだけだ。この仮想空間には様々な情報が溢れている。そうだな、ハイウェイを走る車のように情報が右往左往しているといえばわかるか。それは晩御飯の作り方から激裏情報までいろいろあるようだ。一般的に刺激の強い情報は赤で表示される。少し興味が湧いたので今目の前を飛んでいく赤の情報を誰が参照したのか追ってみよう。なに、これも仕事のうちさ。赤情報ってことは、もしかしたら爆弾の製造法かもしれん。一概に爆弾といっても、実際に建物などを吹き飛ばすC4爆弾から情報を参照した人の電脳を吹き飛ばすブレクラ(ブレイン・クラッシャー)まで様々だが。だからもしかしたら、なんてこともあるかもしれん。だったら今詳細情報を覗けばいいじゃないかと俺は思ったのだが、

「それは職権濫用というものだ同志。もしかしたらラブレターかもしれんだろ。あくまで情報が参照されてから自分も一緒に覗くようにしろ。・・・ばれないようにな」

と”シンジ”に釘を刺されているのでやらないようにしている。と、解説している間に参照先に到着したようだ。


・・・ビンゴ。まさに爆弾の製造法だった。一応誰が参照したのか調べておくか。

―・・・ん?―

気がつくと俺の視覚は海を映していた。

「シャットダウン・・・されたのか?」

もう一度<サーバーネット>にアクセスしようとしたができなかった。

「ふむ・・・どうやら周辺地域に強力なジャミングがかけられているようだな。」

突然の声に振り向くと、”シンジ”がいつにない真面目な顔をしていた。

「くそ・・・もう少しでアベックの痴話喧嘩がのぞけ・・・たっ」

・・・まあそんなとこだろうと思ったがよ。んで、これからどうするよ”シンジ”さん?

「まあまず人の集まってそうなところにいくとするか・・・水着はお預けか・・・」

知ったことか。自分の妄想で水着ギャルとやらを堪能したらどうだ。

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