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おバカさんのもとへ

俺は・・・誰だったか。名前なんて憶えてやしない。憶えていることといや、俺が高度に電脳化の進んだ日本に巣食うバグをなくす”掃除屋”としての役割を担っていることくらいか。他の記憶は他人から刷り込まれたものに過ぎない。俺が俺である証拠なんてどこにもありゃしない。自分で自分の姿を見たことはないからな。鏡はあくまで鏡だ。それが映す像を虚像というように、鏡に映る自分は自分であって自分でない。あくまで贋物でしかない。

それはそうと、俺は俺のことを知るヤツラからは”テツロー”と呼ばれている。だが、あくまで”掃除屋”としてのコードネームだ。それ以上でも以下のものでもない。


―バカの出所が掴めた。さぁ、行くぞ。”掃除”だ―

ああ、こいつは”シンジ”だ。俺の仕事の相棒だが、これもコードネームでしかない。こいつの本名なんて知らない。お互い、自分の素性に関する記憶は抹消されているのだ。勿論、それをやったのは仕事の上司。誰かなんて知らないがな。上司とはなんの繋がりもない。”シンジ”とは<サイバーネット>で連絡をとったり、実際にこの肉眼で見ることもあるが、上司とは連絡もとれない。つまり、俺たちにこの仕事を任せたまま後は放任しているのだ。・・・いいのか、そんなんで。

「なぁ、すぐそこにいるのにわざわざ通信することないんじゃないのか?疲れるんだぞ」

―何をいう同志!わざわざ暗号通信で会話するということはだな、他人に聞かれるという心配がないということではないか!音声通信では一般人に聞かれる可能性大だ。というより聞かれるではないか!―

それもそうか。ちなみに俺たちは今秋葉原の電気街を直進中である。周りにはコミケの会場に向かわんとする人間でひしめき合っている。俺も昔はよくいったものだ。カード○ャプチャーだったか?よく嵌ったもんだ。

―お前にはそんな趣味があったのか。・・・まあ俺も人のことは言えないがな―

ちなみに俺たちは仕事上<サイバーネット>に常時接続しているため、考えてることがたまに漏れるときがある。今のもそうだ。だからヤバイことは考えるものじゃない。特に”シンジ”に聞かれると後が恐ろしいからな。

―あったぞ。あそこだ。あそこから信号が出てるぞ―

―あん?あそこか・・・?あそこって、コミケ会場だよな?―

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