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6.偽物と人形と

どんどんフラグが立っていく~(泣)

回収できるかな・・・。

相変わらず暗い話です。

誰か助けて・・・(切実)

【土(土行)】


植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。

「季節の変わり目」の象徴。


+++++★+++++


 咲音は草の上で目を覚ました。

辺りを見回すと、少し離れたところに日陰、更に離れたところに日向が寝ていた。

火の神の神殿から出てそのまま死んだように眠ってしまったのだ。

「そろそろ起こさないとだよね」

咲音は立ち上がり、とりあえず日陰の元に向かった。


「日陰さーん、起きてください・・・」

声をかけてみる。


・・・。


起きない。


いつもならこれで起きる日陰である。

「珍しいなぁ」

咲音は肩に手をかけ、揺さぶろうとして、手を止めた。

「う・・・」

日陰が額に汗をかいて苦しげに唸りだしたからだ。

「日陰さん!?」

思わず咲音が手を握ると、


「・・・!」


突然日陰が身を起こした。

慌てて咲音は手を離す。

「おはようございます。咲音さん」

「お、おはようございます・・・・」

いつもと同じように挨拶をされ、咲音も慌てて返す。

日陰は座ったまま左手をじっと見つめている。

しばらくして、

「・・・あなたが手を握っていてくれたのですか?」

そう聞かれた。

「は、はい・・・何だかうなされていたみたいなので・・・」

「そうですか・・・」

それっきり日陰は黙ってしまった。


うわ~・・・この状況どうしよ・・・。


咲音がそう思っていたら。

「あ~・・・よく寝た」

日向が目を覚まし、2人のところにやってくる。

「おはよ・・・って日陰、どうしたの?」

「よくわからないんですけど・・・」

咲音は日向にこれまでの事を説明した。

話を聞いた日向は、


どうせまた要らないことまで考えてるんだろーな。


と中々酷いことを思い、

「あ~・・・そろそろ浮上してくると思うけど・・・」

「はあ」

そう答えた。

しばらくして。

「よし。そろそろ出発しましょうか」

日陰が突然立ち上がり言った。

「え!?・・・本当になった」

咲音は予言が当たって目を白黒している。

「言ったでしょ。さ、俺たちも行こうか」


+++++★+++++

 

 いつもと変わらず道を進む一行の前に巨大な岩が現れた。

「立て札がありますね・・・『この岩は何をもってしても砕けない。ただ一つ、流れ・清め・写す物が砕く』」

「なぞなぞみたい・・・」

岩は大きくて動かすこともできない。

「その砕く物を考えないといけないのか・・・」

日向はつぶやいて地面に座って考えはじめた。

「流れ・清めまではわかりますが・・・写すというのは何でしょうか」

日陰も考えはじめる。

咲音も2人にならって考えはじめた。


流れる。

川とか水の事かと咲音は考えた。


清める。

昔から塩を撒くとか言うな。

テレビとかだと神職の人が水に入っていたのもみた。


写す。

写真?まさか。

鏡とか?

そう考えていると、ある事を思い出した。



『さて、ここで問題です。このように水面に物や人の影が映ることを何と言うでしょうか?』


千人池に行った時、日向にされた質問だ。

どれだけ考えても、咲音はわからなかった。


『・・・・ギブです』


そう答えたら日向は笑って答えを言った。


『正解は【水鏡(すいきょう)】。みずかがみ、の方が一般的かな?』



流れるものは水。


清めるものは水。


そして、写すものは水。


「・・・水」

咲音がつぶやくと、日向と日陰が勢いよく咲音の方を見た。

「水・・・本当です」

「咲音ちゃんスゴイ!よくわかったね!」

「いえ・・・」

ほめちぎる2人に咲音は驚きっぱなしだ。

「では、早速やってみましょう」

日陰は一歩前に出ると、


「水、行く手を阻む岩を砕け!」


術を唱えた。

すると、どこからともなく水が岩に押し寄せていった。

水圧に耐えられなくなった岩は粉々に砕け散った。

パラパラと岩の破片と水が3人に降りかかる。

「また派手にやったね・・・日陰」

「ちょっとイライラしてたのですが・・・さすがにやりすぎました」

咲音は目の前の光景に絶句するだけだった。

3人の前には巨大な穴が出来上がっていた。


+++++★+++++


 「なんか前もこんな感じだったなあ・・・」

狭い穴の中を小さくなって進みながら日向はそうつぶやいた。

「前って・・・?」

「火の神の神殿です。あそこも道が狭かったです」

火の神に拉致されていた咲音は驚きながらその話を聞いた。

「ということはそろそろ・・・」

日向がそう言った時、

「やっぱり・・・」

再び巨大な岩が道を塞いだ。

「麒麟が彫られていますね・・・あ」

麒麟の横に2つの見慣れたくぼみがあった。

日向と日陰は無言で勾玉を近づけ、


――カチッ


はめた。

地響きがして、岩が半分に割れ、階段が現れた。

「もう少し工夫は無いのかな・・・?」

日向がぼそっとつぶやいて階段を上っていった。


 薄暗い階段を上り続けると、突然眩しい光が3人を包んだ。

「何・・・?」

明るさに目が慣れて、咲音が目を開くとそこには草原が広がっていた。


緑色の草だけが生えた、ただ広い草原。

その空間には清浄な空気が流れていた。


「ここが神殿なんですか・・・・」

「そうみたいですね」

咲音は驚いていた。

木の神の神殿も火の神の神殿も周りに何かしらがあった。

ここまで何も無い空間が神殿だなんて考えてもいなかった。

日陰は木の神の時と同じように地面に膝をつき、


「我はこの地におわす五柱の神々に仕えし神子。大地を守りし土の神よ。我の前に姿を現したまえ!」


すると、

「よく来ましたね。神子と人間の少年少女よ」

穏やかな声と共に、金の髪と瞳の女性が現れた。

「あなたが・・・土の神・・・ですか?」

女性――土の神は柔らかく微笑んで、うなずいた。

咲音と日向は土の神を意外な気持ちで見ていた。


今まで会ってきた神は男性だったり、幼い少女だったりした。

神にも色々な姿があるのか。


と2人は思っていた。

「さて、どんな用件で来たのかしら・・・と言っても一つしか無いですね」

流石に3度目とあって、こちらの用件はわかっているみたいだ。

「それならば話が早いです。私達人間は何をしたのでしょうか?」

日陰は真っ直ぐ神をみて、尋ねた。

だが、神は答えなかった。

その代わり、日陰に一つの問いを投げかけた。


「どうしてだかわかりますか?偽物のあなたは」


日陰の目が大きく開かれた。

「偽・・・・物?」

「どういうことなんだ・・・日陰」

咲音と日向はその言葉の意味がわからず、日陰を見た。

日陰は何も答えない。

ただ、苦しげに顔をゆがめているだけだった。

「教えましょう。この神子の真実を」

そして土の神は話し始めた。


彼の少年時代の事を。


あの夢と同じように。


+++++★+++++


 彼は両親が無く、幼い頃から先代の神子の家で育てられました。

ところがある日、悲劇が起きました。

先代の神子が何者かの手によって殺されたのです。

彼女は死ぬ間際、彼に言った。


『どうか・・・この集落を・・・守っ・・・て・・・』


だからなのでしょうか。

彼は集落の会議で宣言したのです。


『私が先代の跡を継ぎ、神子となりました』


偽物の血の模様まで描いて。



 「でもそれって・・・神が許すはずが無い・・・」

つぶやいた咲音の方を見て土の神は小さく息をついていった。

「私たちの気まぐれです。これでも反論したのですが・・・・」


ということはこの土の神は日陰をあまりよく思っていないの?


咲音がそう考えていると、日向が静かに言った。

「じゃあ俺は何なの・・・?日陰が偽物なら、分身の俺は・・・?」

土の神は恐ろしいほど冷静にその質問に答えた。


「あなたは【作り物】。その身体は生きていない」


「作り物・・・・!?」

さらに衝撃の事実だった。

日向は信じられない、といった体で自分の左胸を指さし、日陰の方を向いた。

日陰は歩み寄り、日向の左胸に手を当てた。

人間には必ずあるはずの鼓動。


それが、まったく感じられなかった。


「心臓が無い・・・というか動いてないのはずっと昔に気づいてたんだ。どれだけ頑張っても、心臓は動かなかった。でもそれが・・・作り物の人形だったっていうんなら納得がいくよ・・・」

彼は笑っていた。

壊れたみたいに。

咲音は衝撃の連続に言葉も出ないでいた。

「驚かせてしまったかしら・・・・。ま、これも一つの試練よ」

土の神は悪びれた気色もなくそう言うだけだった。

「じゃあ、質問に答えるわ。あなた達の何が罪だったのか・・・それは、その生き方」

「生き・・・方?」


「そう。大気は汚れ、植物は枯れ、大地の潤いはだんだん無くなってきている。それはあなた達の生き方に問題があるからよ。今までを見てきたでしょう。我が身の為に森の木を倒し、水を汚す。それがあなた達の罪」


その罪は現代(いま)も昔も変わらない。


「私達は怒っている。特に水と金は怖いわよ・・・・」

土の神は咲音に金の鍵を渡して、消えていった。


+++++★+++++


神殿を出て歩く3人の心は沈んでいた。

特に自分が作られた存在だと知った日向はずっとうつむいていた。

「・・・俺はどうすればいいのかな・・・」

日向がぼそっとつぶやいた。

少し間があいて、咲音が答えた。


「普通にしてればいいと思います」


「でも俺は人形の身体だよ・・・普通になんて」

暮らせない。

そう言いかけたのを遮って咲音は続ける。


「だって日向さんはちゃんと生きてる。転びそうになった時に助けてくれた手も、山道を歩く足も、笑いかけてくれる顔もちゃんと生きてました・・・ほら、温かい」


咲音は日向の手をぎゅっと握った。

手のひらの温度が咲音に伝わる。

「私――いや俺が言うのもどうかと思うけど・・・日向はそのままでいいと思う。日向は日向だから・・・」

日陰もそう言って日向の手を握る。

「2人とも・・・ありがとう」

日向が小さく微笑んだのを見て、咲音は日陰の方を振り向いた。

「次は・・・金の神の神殿ですか?」

「そうですね・・・場所は、ここから西にある水田地帯です」

「早く神に許してもらわないとですね」

3人は再び歩き始めた。


・・・ということで6話でしたが・・・。

自分でも何が何だかわからない!

ついて行けないよ・・・この展開。

文字数も1~4に比べると減ってるし、更新も遅くなったし、ちょっとだれてきたかもしれません・・・。

気分転換にバカ話でも書こうかな・・・。


いつ書き上がるかわかりませんが、次回も是非どうぞ。

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