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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

天使と悪魔の恋模様

〈悪魔〉に一目惚れした〈天使〉

作者: 夜乃桜
掲載日:2026/02/14

『冥界』のとある屋敷。そこには無数の〈悪魔〉が集まっていた。〈悪魔〉達は『あわい』で行われる会議の共をするための衣装を見繕っていた。

その中で、腰まで伸びた輝く銀色の髪に血のような紅の瞳の妖艶な美しい〈紅月の悪魔〉は、自身に押し付けられる衣装の数にうんざりしていた。


「(ちょっと、出かけてくる)」

「(あ、こら!待ちなさい!)」


〈紅月の悪魔〉は屋敷の窓を開けた。そしてバサッと黒き翼を広げて飛び立つ。


「(言葉遣いと礼儀を身につければ、もっと美しくなるのに!)」


『冥界』にいるモノたちの中でも飛び抜けた美しさを持ちながら、誰よりも気まぐれな〈紅月の悪魔〉。

そんな彼にふさわしい衣装の用意と礼儀指導をしていた〈悪魔〉が叫ぶ。二体の様子を見ていた他の〈悪魔〉たちはいつものことだと笑った。



当日。『あわい』での会議の日。

『冥界』の〈神々〉は黒の衣装を纏う〈悪魔〉たちを従えて『あわい』に向かう。

その中で一際目を引くのは、銀色の髪に紅の瞳の妖艶の〈紅月の悪魔〉。『天界』の〈天使〉だけではなく、〈神〉さえも魅力をするほどに〈紅月の悪魔〉は美しい。

そして、〈神々〉が集まり『あわい』での会議が始まった。

連れて来られた従者たちは、会議に参加はしない。会議の間、従者たちは『あわい』を自由に行動することが許されている。なので〈紅月の悪魔〉は、同族の〈悪魔〉だけではなく、〈天使〉からも誘われた。

いちいち誘いを断ることが面倒になった〈紅月の悪魔〉は、こっそりと着替えてその場から抜け出した。行き先は、前の会議の時に見つけた泉。

誰もいないことを確認した〈紅月の悪魔〉は、服を脱ぎ捨てた。布一枚となった〈紅月の悪魔〉は泉に身を委ねて、水浴びを楽しんだ。

その時。


ドッボン!


〈紅月の悪魔〉の目の前、〈天使〉が空から降ってきた。


「(……え〜〜)」


最初、〈悪魔〉は何が起きたかわからなかった。

翼を持つ〈天使〉が、空から落ちてきた。ありえない出来事に〈紅月の悪魔〉は唖然。

降ってきたのは、短い金髪に碧眼の凛々しい〈碧空の天使〉。唖然としている〈紅月の悪魔〉の手を〈碧空の天使〉は掴む。


「(お前はまたここに来るか?)」

「(いきなりなんだよ)」

「(来るのか?)」

「(あ、ああ)」


自分の手を掴む〈碧空の天使〉の迫力に負けて〈紅月の悪魔〉は思わず正直に答えた。


「(なら、待っている)」


何が起こったか〈紅月の悪魔〉は、さっぱりわからなかった。



そして、10年後。『あわい』での会議の日。

同じように抜け出した〈紅月の悪魔〉は泉に向かう。泉にはあの空から降ってきた〈碧空の天使〉がいた。


「(会いたかった)」


〈天使〉は〈紅月の悪魔〉を抱きしめる。抱きしめられた〈紅月の悪魔〉は〈碧空の天使〉を〈妖術〉でぶっ飛ばした。

ぶっ飛ばされた〈碧空の天使〉は〈紅月の悪魔〉を怒ることなく、素直に自分のしたことを謝罪した。

それが〈紅月の悪魔〉と〈碧空の天使〉の逢瀬の始まりだった。



10年に一度、泉での逢瀬が両手の数を超えた日、〈紅月の悪魔〉が泉に向かう途中で、珍しく雨が降った。

〈紅月の悪魔〉は泉近くにある大樹の下で雨宿りをしていると、ずぶ濡れの〈碧空の天使〉がやってきた。


「(よう)」


〈紅月の悪魔〉に声をかけられた〈碧空の天使〉が固まった。返事をしない〈天使〉にどうしたのかと〈紅月の悪魔〉は〈天使〉の顔を覗き込んだ。

その〈天使〉の顔は真っ赤に染まっていた。〈碧空の天使〉の眼は〈紅月の悪魔〉を欲していた。

気がついた時には〈紅月の悪魔〉は〈碧空の天使〉に抱きしめられていた。〈碧空の天使〉の手が〈紅月の悪魔〉の体をなぞる。


「(っん)」


〈碧空の天使〉が〈紅月の悪魔〉の唇を口付けする。

深くなる口づけに息が苦しくなる。〈碧空の天使〉の手が〈紅月の悪魔〉の服の下に潜り込む。

だから、〈紅月の悪魔〉は己の手を〈碧空の天使〉の首にまわした。

そして。


「(……何してんだ、俺は)」

「〈どうした?)」


大樹の下。〈紅月の悪魔〉を膝に抱え上げた〈碧空の天使〉は、とろけるような甘い笑みで優しく抱きしめる。


「(……なんでもない)」

「(そうか)」


〈紅月の悪魔〉の額に頰に〈碧空の天使〉は口付ける。

幸せそうな〈碧空の天使〉に悩む自分が馬鹿馬鹿らしくなって〈悪魔〉は考えることをやめた。



会議の日。

会議場の扉の前、〈紅月の悪魔〉は〈碧空の天使〉とすれ違う。その時、〈碧空の天使〉が顔をそらした。目を逸らされて、傷つく〈紅月の悪魔〉を余所に、会議が始まった。

いつもなら抜け出している〈紅月の悪魔〉は、控えの間に留まっていた。そんな〈紅月の悪魔〉に〈悪魔〉と〈天使〉達が誘う。

誘われた〈紅月の悪魔〉が適当に誰かの手を取ろうとした瞬間、力強く手を掴まれた。

驚いて顔を上げると、そこにはあの〈碧空の天使〉がいた。


「(この者は私の恋人だ)」

「(はぁ?!)」


この〈碧空の天使〉は何を考えているのだろうか。

〈碧空の天使〉の宣言に控えの間にいた〈悪魔〉と〈天使〉は驚愕。一部の〈天使〉の思考も停止した。そんな混乱の中、〈紅月の悪魔〉を抱えて〈碧空の天使〉は飛び立つ。

〈紅月の悪魔〉はジダバタと暴れて逃げようとするが、〈碧空の天使〉は離さない。いつもの泉に到着した〈碧空の天使〉がようやく〈紅月の悪魔〉を解放する。

解放された〈紅月の悪魔〉はその場から逃げようとしたが〈碧空の天使〉に阻止される。

〈紅月の悪魔〉は〈碧空の天使〉を睨んで叫んだ。


「(なんだよ!あの時、俺から眼をそらしたくせに!)」

「(違う!)」


〈碧空の天使〉が〈紅月の悪魔〉の肩を掴んだ。


「(我慢が出来なくなりそうだったのだ!)」


〈紅月の悪魔〉の動きがぴたりと止まる。

赤と黒の衣装を見に纏う美しい〈紅月の悪魔〉。そんな美しい〈紅月の悪魔〉に、他の〈悪魔〉が触れるたびに、〈碧空の天使〉は嫉妬した。


「(誰もいない場所にお前をかっさらってしまいたいと思ってしまった)」


それを聞いた〈紅月の悪魔〉は、歓喜が込み上げる。


「(……仕方がないな。許してやる)」


艶やかに笑う〈紅月の悪魔〉は、すまないと謝罪する〈碧空の天使〉に口付けた。




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