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諸君!これがプロである!!~ゲーム実況者の日常~  作者: 椋木美都
小学生編

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10/19

 第9話『白米クリスマスは今年しかやってこない 前編』

『らむらす』とは、主に動画・配信共有サービス『Nico・Tube』で活動する大日本帝国の男性ゲーム実況者。事務所や団体に所属せず、動画制作・配信を全て自分一人で行う『個人勢』の実況者として活動している。


名前の由来は『オムライス』から。学生時代にオムライス専門店でアルバイトをしていた経験にちなむ。なお、本人の好物および得意料理は炒飯である。


サンドボックス型アドベンチャーゲーム『レゾンクラフト』の実況動画を中心に様々なゲームの実況や配信を行っている。


公式での英語表記はRAMURASU。ファンや他実況者からの愛称はらむた、らむた君、らむさんである。

去年の5月に活動10周年を迎えた。Nico・Tubeチャンネルの登録者数は約129万人にのぼる。


視聴者との距離感が近く、イジりイジられの関係性が特徴。配信中には秀逸なコメントが飛び交うことでも知られる。ゲームのプレイスキルも高く、古参で人気の高い実況者として長年にわたり多くのファンに支持されている。


◆人物。

11月5日生まれ。字幕の色はトマトレッド。立ち絵は玉子色の七分丈チュニックに黒のジャージパンツを履いた赤髪二重(ここ重要)の男性。イメージはオムライスの精霊。レゾンクラフトのスキンは胴体部分に立ち絵を、頭部にオムライスを模したデザインが施され、両手でオムライスを掲げているようなデザインとなっている。

『諸君!これがプロである!!』(これプロ)のテディとの初コラボはプロゲーミングチーム『Quirk Hematiteクワーク・ヘマタイト』主催のeスポーツ大会『QHカップ』から。


◆レッド・タクティカル・ストライク(RTS):11月30日に行われた第4回QHカップ、FPSゲーム『ウェルテックス』の混成チーム。『ディパレット』所属VTuberの佐々來(ささらい)深°(しんど)、これプロのテディで構成された。

『レッド』はリーダー且つ常にケチャップを浴びたらむらすを表し『タクティカル』は戦略を考え、チームの頭脳的存在として尽力するテディを。『ストライク』は攻撃の手を緩めず、敵に強烈なダメージを叩き込む佐々來深°の特徴を反映したものとなっている。


このチーム名はテディが3秒で考案し、その場で即採用された。一見かっこよく見えるが略称はレタスである。本戦ではテディの大会史上最多キル数獲得とチーム全体の高い連携力を武器に勝ち進み、見事優勝を達成した。


この結果は、らむらすにとってQHカップでの最高成績となっている。また大会以降も不定期ながら数回にわたって集まり、配信でゲームを行っている。


特にテディとはFPS・レゾクラ実況という共通点もあり、QHカップ以降、比較的継続して交流を持っている。両者はレゾクラや各種シミュレーションゲームにおいてコラボ配信・動画で共演することがあり、大会とは異なる落ち着いたプレイスタイルや掛け合いが視聴者から好評を得ている。


――以上、インターネット百科事典サイト『ウィキバンク』の該当項目から一部を中略して引用。


☆彡

「らむらすです。こんばんは、メリークリスマース」


「テディです。今晩は飯、握りまーす」


「はいっ。君らのクリスマスが白米に変わりましたと。始めまーす」


『メリクリ』『俺らのチキンとケーキを返せ』『テディの返し天才』という視聴者コメントが流れる中、今回二人が実況するゲームは巷で話題のおにぎり屋経営シミュレーションゲーム。その名の通り、おにぎり屋の経営全般を二人で行う疑似体験型のゲームである。


最初は難易度設定から。『やさしい』『普通』『難しい』『とても難しい』の四択だが――


「日和ってるヤツいる!?俺だよなぁ!」


「あー良かった。最初はね」


――らむらすが葛藤した後『難しい』を選択した。


「お」「始まったー」


画面が店の裏口へと切り替わり、二人は軽い挨拶を済ませてコンクリート床の作業場に入る。中は業務用の冷蔵庫と冷凍庫と炊飯器と炭火焼グリラー、まな板、流し、フライヤー、パソコン、キッチンモニターなど……。らむらすが最初に注目した設備は炭火焼きグリラーだった。


「炭火焼き器!?海苔焼くってこと!?」


「だとしたら相当こだわってるけど面倒だな。一枚一枚炭火……」


また食材は一切揃っておらず、包装資材や材料は全て一から発注する必要があるようだった。


ということでまずは仕入れから。画面に並んだ初期項目をらむらすは深く考えず一通り発注していった。開始時の所持金は三万円である。


「米はあればあるほど良い」


「まさか限界まで買おうとしてる?」


発注を終えて店内を確認しているうちに、画面に納品完了の通知が表示された。二人が外に出ると、搬入口のスペースに段ボールがまとめて置かれている。


「俺米十キロも持てんわ」


「十キロなら女子高校生でも運べるよ」


らむらすが米を炊飯器に注ぎ込むと、『シャー』という音と共に中が一気に満杯になった。


「おー入った入った!」


「三キロ……おにぎり五十個は作れるで」


彼はそのまま米袋を開けっ放しで床の上に放置する。テディは『袋縛らんかい』『床に置くな』というコメントが流れる前に袋を閉じて作業台の下に置いた。らむらすは後輩の気遣いに気づかず水を入れて炊飯する。


「おぉっ、無洗米……!」


「あ、海苔ここに置くね」


そしてらむらすが蓋を開け、しゃもじを動かすと――ご飯の塊が不思議と形を保ったまま持ち上がる。まな板の上にいくつか適当に並べ、海苔を選択すると側面巻きの塩おにぎりがまとめて完成扱いとなった。


「あーそういう巻き方……」


「僕は着物巻きが好きですね」


「なにそれ」


「おにぎり専門店でよくあるあの、一番上に具がちょんって乗ってる巻き方」


「えぇ!あれそんな名前……コンビニのおにぎりは?」


「確か全面巻きって名前だったと思う。あれもいいよね」


コメントがおにぎりのインパクトと好みの海苔具合をあげる内容で埋まる中、らむらすが重要な事実に気づく。


「てか具は?」


「まだ発注できないよ」


「塩もつけてなくね?」


「塩おにぎりってなってるからもうついてるよ。というか塩を気にする以前に時短で省略されてる部分いっぱいあったよ」


「『まさかお前の汗じゃないよな』……ハァッ!」


「息を呑むな」


「はははははは!」


テディが紙袋を含む包装資材を選択したところで、販売可能な状態として処理された。そして扉の向こうにあるレジカウンターに移動する。


「レジ四台もあんの!?」


「待って。サイドメニューに唐揚げあるわ!」


壁に貼られたポスターには『ご一緒にお茶と揚げたてのお惣菜はいかがですか』の一文と、飲み物・揚げ物のメニューが記載されている。


「お茶、野菜ジュース、水、から揚げ、メンチカツ、コロッケ……!?」


「ちょ、このポスター剝がさせて?」


勿論貼ったままシャッターを開けて開店する。心の準備無しに始まり、らむらすとテディは俄かに焦り出した。


「は!?もう始まるわ!」


「メニュー塩むすびしかないけど!?」


慌てる間もなくスーツを着たサラリーマンと思しき人が来店する。偶々レジに立っていたらむらすが対応を余儀なくされた。


「いらっしゃっせー。あーすいませんウチ塩むすび専門店で……水道水で炊いた無洗米なんですけど」


「炊き立てのお米に海苔巻いてるんでパリパリではないんですけど」


二人の正直な告白を無視してサラリーマンは純米おにぎりを一つ注文した。


「は!?このおにぎり一個四百円もすんの!?」


「え高っ。コンビニの倍じゃん」


文句を言いながらも商品を提供すると、どんどん客が塩むすびを求めにやって来た。


「いらっしゃっせー。塩むすび一丁!」


「ありがとうございます!」


流れでらむらすがレジ担当。テディが調理担当となるが――


「おにぎりいかがっすかー。あーそこのお客さんおにぎり!ちょっと客連れて来るわ!」


――客が途切れた瞬間、らむらすがレジを放って呼び込みに行ってしまった。


「ワンオペにさすの早っ!」


「はいホームレスのお爺ちゃんご来店ー!」


テディが慌ててレジに立つと、穴が開いたヨレヨレのTシャツを着た老人が立っていた。


「らむらすもっと客選んで!?このお爺ちゃんに四百円のおにぎりは重いて!」


「はいマッチョご来店ー!」


「連続……お客さん今日はチートデイですか?ありがとうございましたー」


テディが一人で回している間、らむらすは向かいにあるメイド喫茶にどうにかして入ろうとしていた。


「おにぎり屋どうした!?ウチの視聴者からも『サボるな』って言われてるよ!」


「『営業妨害で訴えます』ってヤバイ!メイドに告訴されるわ」


らむらすは店から離れてすぐ横を通り過ぎた爆乳キャリアウーマンを呼び込もうとするが、彼だけ一定の範囲から先まで行けない仕様となっていた。


「進めねぇ……!クソッ待って!おにぎりー!ついでに連絡先ー!」


「露骨だ……。『悪質なキャッチがいるってレビューに書きますね』『これは☆1』!?らむらす!低評価される前に戻ってきて!」


コメントに脅され、らむらすは大人しくレジに戻る。一日目はひたすら塩おにぎりを捌き、包装資材が尽きたところで営業時間が終了したのだった。

らむらす「結局海苔焼かなくてもおにぎれたな」

テディ「じゃあやっぱ具を焼くのかな……」

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