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プロローグ

和平協定の人質として敵国に嫁入りすることになった桃の国の姫様……。

 プロローグ



「ちゃんとやらなきゃ……ちゃんとやらなきゃ……」

 ただ、念仏のように唱えてることで精神を安定させている。

「なにか、ご要望でしょうか?」

「えっと、その、大きな月だなって」

「あぁ、今日は雲一つ、ございませんので絶好のご婚礼の儀を行うに相応しい日でございますね!」


 この国の婚礼の儀は夜。そして、満月の日に行われるという。

 国と国の和平協定の証として恐ろしい噂の絶えない国に嫁いだ楊玫玫よう めいめいは葬式ではないのに真っ黒な花嫁衣裳に着替えさせられた。

 喪服みたい。

 そして、長く続く静かな廊下を小さめな提灯をぶら下げた侍女に先導されながら、歩いていった。


 どこまでもついてくる満月にそわそわする。

 歓迎にも嘲笑にも感じる月光を浴びながらたどり着いたのは大きな扉の前だった。

 侍女が足を止め、提灯がふわりと揺れた。


「では、私はこちらで失礼いたします」


 侍女は頭を下げ、両手を組んで身を低くすると、歩いてきた廊下を戻っていった。

 しゃらん。

 鈴に似た音がした。

 音を探し、顔をあげると扉の前に立っていたのは玫玫めいめいとこれから婚礼の儀を行うこの国の   皇帝、 太星たいせいだった。


「初めまして、桃の姫様」


 ちゃんとしなきゃ。ちゃんとしなきゃ。

 ゴクリ。

 玫玫は玉のような唾をのみこんで喉を鳴らした。


「緊張してる?」

「い、いえ」

「全部顔に書いてある」

「あ……」

「姫様の思ってることを読み上げようか?」


 太星は一切の迷いも無駄もなく玫玫の両頬を包んで顔色を読んだ。

 太星は幻想的な容姿をしていた。

 絹糸のような黒髪から夜空のような溜紺の瞳。涙のように配置された泣き黒子。

 玫玫は目が離せなかった。

 男性とこんな至近距離で目を合わせてしまったら次は何をすればいいの……。目が回りそう。


「姫様、桃の香とか使ってる?」


 太星はくんくんと鼻を鳴らして問いかけが、目を回している玫玫はぎこちなく返答する。


「ツカッテイマセン」

「……気のせいかな」

「キノセイデス」


 こんな調子で……私はこの国の終末兵器を探ることが出来るの!?


初の中華風ファンタジーじっくり書いていきたいと思います!

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