05 職探し
更新遅くなりすいません!
参拝が終わると、私は先程駆け上がってきた坂をゆっくりと降りて行く。
そういえば…あの龍はなんだったんだろう。
一番不思議な点だったはずなのにあの五人の美顔の青年たちを相手するのに精一杯で今まで気にならなかった。
龍は霊獣と呼ばれる伝説状の生き物であり、皇帝を麒麟と置いた時にさらに上にくるのが龍である。
皇帝は麒麟、その子供たちは麒麟児とよばれ、
龍は次の麒麟を選ぶこともあり、この斎国を守護する霊獣であるーー
私が知っている龍の知識はここまで。
あまり学ばせてもらえなかったのもあり、私はこの国のことについてもまだまだ知らないことだらけだった。
けれど、そんな龍はあくまで伝説上の生き物。
実際には存在しないはず。
私が見たのは幻だったのだろうか?
しかし、明らかにあれらの現象は人の手ではなし得ないこと。
龍が降臨していたのだとすれば納得がいく。
だとすればなぜ龍は私の前に降臨したのか?
謎は深まるばかり。
私は考えることを放棄した。
「よしっ。ぐずぐず考えてても多分意味ないし、さっさと職を探しますか!」
青年たちは帰ったようで、とっくにいなかった。
・・・なんなのよ。あんなに言っておいてさっさと帰るなんて。揶揄われてたのかしら?
街に着くと市が立っていてとてもにぎやかだった。
そういえば、随分と前だけど茶屋が求人をしているって噂で聞いたことがあったっけ。
休憩ついでに行ってみるか。
「すいません。求人をしているって聞いたんですけど。」
店に入るとそこそこに混んでいて、忙しそうだったが、奥から店主と見られるお爺さんが出てきた。
「あー。求人をしていたのは少し前でね。今は人手は足りてるんだ。申し訳ないね。」
「いえ・・・大丈夫です。確認しなかった私も悪いですし。」
「職を探しているのかい?
なら少し北に行くとある菓子屋が人手が欲しいって言う話だ。仕込みもあるだろうから住み込みになるかもしれんがのぅ。」
私はその話に目を輝かせた。
「本当ですか⁉︎ありがとうございます!行ってみますね!」
「役に立ったようならよかったよ。安定したらまたきてな。いい報告を待ってるよ。」
どこまで優しい店主なのだろう。私はぺこぺことお辞儀をしながら店を出た。
程なくして、該当の菓子屋に着く。
「すいません、求人をしていると聞いてきたのですが・・・」
すると中でせっせと仕事をしていたおばさんは飛んできた。
「まぁ!もしかしてうちで働いてくれるのかい?給料は弾むよ。あぁ、ただ住み込みになるかもしれないねぇ。それでいいなら是非うちで働いてくれないかい?」
おばさんの勢いに押されたらりと汗が垂れる。
「あっ、はい。住み込みの方がいいんです。雇っていただけますか?」
「もちろんだよ!あぁ、やっと人手が増えた。みんな仕事がきついってやめていってしまうんだもの。ねぇおとうさん!新しい子来てくれたよ!」
ワァ、ゲンキナヒトダナァ。
けどいい人そうでよかった。
なんとか、働き口を見つけれたって感じでいいのかな?
「あの、すいません。事情があって今今は無理なんです。早くても一週間後になるかと・・・」
「いいよいいよっ!そんなこと!
・・・しっかし、あんたみたいに若くて綺麗な子がなんでそんなに急いでるんだい?その事情ってのに関係が?」
今度は別の汗が垂れる。
「はい。まぁ、そんなところです。」
誰も思いもよらないだろう。
その事情がある女はこの街を収める領主の呪われた長女だなんて。
へらりと愛想笑いを浮かべた私をおばさんは心配そうに見つめた。
「そうかい・・・。あんま口出しはしないが・・・。
まぁ、働けそうになったらもう一度ここにおいで。それまでにこっちで色々と整えておくから。」
「すいません。ありがとうございます。」
さて、働き口も無事見つかったことだし、帰るとしよう。
まさか1日目でこんな好条件のところが見つかるとは思わなかったなぁ。
私は機嫌良く屋敷に続く道を進み始めた。
読んで頂きありがとうございます。
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