04 番
遅くなりました!
「お前…もしかして、番か…?」
「つが、い?」
何を言っているのか。
すると彼は私の痣を隠すためにしていた襟巻を解いた。
シュル、と音がする。
抵抗をしてみるも他の四人に抑えられびくともしない。
全ての襟巻が地面に落ちると、服の襟から覗く痣が露わになった。
咆える龍の痣が日のもとにさらされる。
「「「「「っ!」」」」」
青年達は息を呑む。
そして
「ふっははははは!」
金の人が笑い出した。その笑顔には先ほど感じたような暗い影はない。
「まさかこんなところにいたとはな。」
私の痣を見てこんな風に笑う人は初めてで私は戸惑った。
「じゃぁ、ほんとにこいつが」
「あぁ」
緋の人は信じられないと言うように私を見やる。
「俺らの番だ。」
断言する金の人。
その間もその他四人は全然私の手を離してくれない。
今ならいけるかと思い、ぐいぐいと手を引くがその手はしっかりと掴まれたままだ。
押してダメなら引いてみろ。
なら…
引いてダメなら押してみよっ!
「えいっ!」
掛け声と共に青年達の懐に勢いよく飛び込む。
「はっ⁉︎」
驚いたような声を出す青年達の手は一瞬緩む。
その隙を捉え全力で抗った。
やっと解放された私は急いで距離を取る。
「番、番ってさっきからなんなんですか!そもそも番ってなんですか!顔がいいからって、育ちがいいからって調子に乗らないでください!
もう二度と私に関わらないで!」
それだけ言うと私は坂を走る。
走り続けて境内にたどり着いた時、ざっと青くなった。
「やばい、痣の口止めしてないっ!」
けれど今更戻って口止めするのも癪だ。
私は黙って参拝することにした。
読んでいただきありがとうございます!