02 昔話
更新遅くなりました。
すいません!
きっかけは16年前。
名家の分家ではあるものの衰退しつつあった、梨氏の当主と本妻の間に待望の二人目、娘が産まれた。
それが私だ。
けれどその娘には欠陥があった。
産声を上げ、腹から出てきた私の鎖骨から左胸にかけて、
龍の痣があったのだ。
痣というには些かはっきりとし過ぎていた。
その痣の形は、誰の目から見てもはっきりと
龍だった。
入れ墨のようなそれを持って生まれた私を見て、皆気味悪がった。
罪人や不良がいれる入れ墨のような痣を持って生まれた私を不吉だと、鬼の子だと言って離れに閉じ込めたのだ。
名前は付けられなかった。
私の今の名前をつけたのは鈴花だ。
『姫さまの目は綺麗ですねぇ。
そうだ、翠零と名付けましょう。
癒しの泉の翠の雫のようだからーー』
彼女には私が一生かけても返しきれない恩があるのだ。
まぁ、私がここに閉じ込められたのはそういうわけがある。
離れから出たことがないわけではない。
たまに呼ばれて母屋に行くこともあるし、街の中ならうろつける。
ただ絶対に会いたくない人がいるから行かないだけ。
「ところで今日はどんな用事でここに?」
「用事がなくてきていけませんか姫さま。
しかしーー、今日はその通り用事があるのですよ。
伝言でございます。」
・・・伝言。
ぎくりと肩がこわばった。
「今日の夕餉にこいと仰せです。
いかが致しますか?姫さま。」
もちろんそんなことを言うのは当主であり私の父だ。
気遣うような色を見せる鈴花に向き合うと私は口を開いた。