【漫才】マサチューセッツ富田・本山
富田【ボケ】:それでボクの芸名から「マサチュー」をとると「せっつとんだ」。これ、JR京都線にある駅の名前なんです。
本山【ツッコミ】:で、ボクが「せっつもとやま」。これはJR神戸線の駅。それでは参りましょか!
富田:「京都線!」
本山:「神戸線!」
二人:「JR沿線ばなし~!」(拍手)
富田:...ほな、ボクからいこか。
本山:京都線やな。
富田:ボクの芸名にある摂津富田ですけど、ふつうは「とみた」って読みたなるでしょう?
本山:そうやね、知らはらへん人は、なかなか「とんだ」とは読めんな。
富田:それでな、「こんなんあかん。『とみた』って読まないかん」ゆうて。
本山:ほう。
富田:駅の看板とか全部上塗りして「とみた」って書きかえた奴がおったんやて。
本山:ひどいやっちゃなー。
富田:それで捕まったんや。
本山:そりゃそうやろう。
富田:「おまえ、『とんだ』ことしてくれたな」ってゆわれて。
本山:...それだけかいな?
富田:ほな、ちょっと大阪のほうへ行こか。
本山:どこへ行くんや。
富田:吹田駅。これもなかなか「すいた」とは読めない駅名ですけど。
本山:そうやね。
富田:で、吹田に着くと、京都のほうから来た電車も、大阪のほうから来た電車も、ドッとお客さんが降りるんですよ。
本山:それ...ひょっとして「電車ん中、すいた」いうんやないやろな?
富田:う~ん、やっぱりわかるか?
本山:わからいでか。ほな、ボクがいかせてもらうわ。
富田:神戸線やな。
本山:JR神戸線は、大阪市を抜けると、尼崎市、西宮市の順に通るんです。
富田:どっちも大きな街や。
本山:それがお隣さんやのに、尼崎と西宮、仲が悪いんですわ。
富田:仲が悪いて、どんなふうなん。
本山:「川向う論争」ゆうて。
富田:なんやそれ。
本山:尼崎と西宮の境に、武庫川っちゅう川が流れてますやろ。
富田:それで?
本山:武庫川はさんで「どっちが川向うか」ゆうて言い争ってますねん。
富田:へえ~。
本山:尼崎の人は「関西の中心は大阪や。大阪から見たら、お前らが川向うや!」ゆうんです。
富田:うーん、わからんでもないな。
本山:「俺ら、電話の市外局番も大阪といっしょで06やぞ。うらやましいやろ」ゆうてね。
富田:そりゃあ、西宮の人も黙っとらんやろ。
本山:そうそう。「なにゆうとんねんな。お前らも俺らも兵庫県や」
富田:そのとーり。
本山:「兵庫県の県庁所在地ゆうたら神戸市や。神戸から見たら、お前らが川向うや」ってね。
富田:なるほど、そうくるか。
本山:「市外局番06やて、お前ら大阪に魂売って、兵庫県民の誇りはないんか?」
富田:こりゃ、どないもこないもならんなあ。
本山:そんな言い合いを聞いてはった、上品なご婦人。
富田:ほう。
本山:これが西宮の西隣の芦屋からきた方で。
富田:芦屋のマダム、ちゅうやっちゃな。
本山:こうおっしゃるんや「あなたがた、いろいろおっしゃってますけれど」
富田:そんで?
本山:「私に言わせれば、『二十歩、三十歩』ですわ」
富田:なんやその「二十歩、三十歩」って?
本山:「『五十歩、百歩』の低レベル」
富田:あちゃ~、そりゃまた厳しいなあ。
本山:そうやろ。
富田:尼崎の人も西宮の人も、ずーと怒っとるやろ。
本山:なんでわかるねん。
富田:芦屋のマダムに言われただけに。
本山:言われただけに。
富田:「まだ、ムっ」としています。
本山:やめさせてもらうわ。
二人:どうも、ありがとうございました~。