余話(2) 泰然と三蔵
泰然は器用だ。たまに木の欠片から、手の平ほどの大きさの仏を彫り出している。旅の途中、受けた施しに対してお礼としてあげたりしていた。
作れるようになったら暇つぶしにもなって楽しいかと思い、彫り方の手解きをしてもらった三蔵が数日掛けて完成させたものは、にっこり笑顔の雪だるまだった。
「…っふ、ふふ! か、可愛らしいですよ」
「笑い飛ばしてくれた方が気が楽です」
向いていないことを痛感しつつ、初めて作った念持仏(雪だるま)を眺める。
「いえ、可愛らしいのは本当ですよ」
「……そりゃあ雪だるまですからね」
可愛くも見えるだろう。
泰然が作った仏像と並べると、滑稽を極めていた。
「こういうのは、出来映えを競うものではないんです」
慈しむように、三蔵が作った雪だるまにしか見えない念持仏を手にして、泰然は目を細めた。
「お顔がいいですよね。福福として」
「持ち歩くものだって言ってたから、幸せそうな方がいいかなって」
三蔵は、半ばやけくそで答えた。
「とてもいいと思います。三蔵様がよろしければ、僕が貰ってもいいですか?」
「えっ、雪だるまをですか!?」
「はい」
「えー……、いや、いいですけど」
出来映えが悪くとも、時間を掛けて作ったので愛着があるにはある。貰ってくれるなら多少なりとも嬉しかった。
「大事にしますね」
「複雑すぎる~~!」
思わず嘆く三蔵に、泰然は朗らかに笑った。




