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I am Aegis / Mors 1  作者: アジフライ
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第5話【魂を操る者】(後編)

前回の続き……

元受刑者の将太の企みにより監視役の攻略者四人が殺害されてしまった。

続いて攻撃を受けていた清火だったが遂に怒りを顕わにし、 新たな能力を発動させた。

「……悪いけどここから本気で殺させてもらうよ……」

「……来い」

すると将太はいくつもの分身を作り出し、 襲い掛かってきた。

清火は大ムカデ達を分身に攻撃させた。

ムカデ達は体を使ったり、 強酸性の毒を吐き出したりと次々と分身を消してゆく。

「……全て分身……ということは……」

清火は素早く振り向き、 鎌を薙ぎ払った。

奴は後ろに回る癖がある……きっと背後に……

しかし次の瞬間、 振り向いた清火の背後から将太が現れ、 清火の首を斬った。

「残念……そう毎回背後に回ると思ったら大間違いだよ」

「……」

そして将太が勝利を確信した時だった……

「……! ? 」

斬られたはずの清火の首からは青白い炎が溢れ出し、 瞬く間に首の傷が無くなってしまった。

清火の二つ目の新しい能力、 ドラゴンゾンビの再生能力である。

つまり清火の体は不死身となっていたのだ。

そして傷が治った瞬間、 清火は将太の頭を鷲掴みにした。

余りもの握力で将太の頭からミシミシと音が鳴る。

「がっ……あぁっ……! 」

「……言ったはず……私はお前の死神……人が死の運命から逃れられると思う? 」

そう言いながら清火は将太の眉間に黒月の銃口を向け、 引き金に指を掛けた。

そして……

「お前は罪を犯した……よってその罪を私と言う死神が死をもって断罪する……」




「死ね……! 」




その言葉と共に清火は引き金を引いた。

辺りには黒月の不気味で静かな発砲音が鳴り響く。

「……」

頭が吹き飛んだ将太の体はそのまま地面へ倒れた。

……初めて人を殺した……あまりいい気分じゃない……

静けさに包まれた洞窟の中で清火は一人で立ち尽くした。

『……! ……! 』

清火の元に戻ってきた大ムカデの魂達は清火を守るように囲い込んだ。

……この魂達……素材集めの効率化も狙えるかもしれない……人型の魔物の魂もかなり吸収してるし……まるで軍隊みたいね……

そして清火は大ムカデの頭を撫で、 迷宮の奥へ進んでいった。

道中、 清火が出会った魔物のほとんどは大ムカデの魂達が倒していってしまった。

明らかに殺す前よりも強くなっている……私の強さに応じて魂達も強くなるのか……たまにやられてしまうことはあるけど魔力を使えばいくらでもまた呼び出すことができるし……これはそろそろ収集がつかなくなってきた……

「でも……まだ……まだ強くなれる……Sランクの迷宮を一人で攻略できるまで……! 」

そして清火は迷宮のボス部屋までやってきた。

…………

ボスはかつて清火が殺したのとは別の種類の巨大な蜘蛛だった。

「……全く……今日は本当に嫌な事ばかり思い出す……」

そんなことを呟きながら清火は十体程の大ムカデの魂を呼び出し、 一斉に巨大蜘蛛へ嗾けた。

数分後……

清火は何事も無くコアを持って迷宮から脱出した。

すると迷宮の入り口前で拳一の他、 協会の人間であろう黒スーツを着た人達が待っていた。

……まぁそりゃいるよね……

「……清火さん……山本と監視役の攻略者達は……? 」

「……全員魔物に殺されました。 私がはぐれている間にやられたので間に合いませんでした」

清火は嘘をついた。

あまり面倒事にはしたくない……拳一さんは私の力を知ってるしこれでも大丈夫でしょ……

清火の証言に拳一は少し考える様子を見せたが納得したように清火に道を開けた。

「念のため迷宮の調査もします。 コアはこちらで処理しますので……」

拳一にそう言われた清火は大人しくコアを渡した。

……死体はムカデ達に喰わせてあたかも魔物に食い散らかされたように見せておいた……拳一さんには悪いけどこのまま騙させてもらうよ……

そして清火はその場を後にした。

翌日……

「う~ん……」

あの後すぐに自宅へ帰った清火はその日の昼からずっと眠ってしまっていた。

……今は朝8時か……12時間以上寝てたのかぁ……

「はぁ……動けない……」

ここ最近ずっと次元迷宮で狩り続けてたからなぁ……体が思うように動かせない……というか動きたくない……

しばらくベッドでモソモソと動き回っていると清火はあることを思いついた。

……魂達に家事やらせればいいんじゃね……?

そして清火は何体かの人型魔物の魂を呼び出し、 指示を出した。

すると魂達は速やかに作業に取り掛かった。

「……死者をこき使うのはあまり気が進まないけど……今は勘弁してぇ……」

そんなことを呟きながら清火は二度寝した。

数十分後……

清火はようやくベッドから出た。

「はぁ……」

深いため息を着きながら居間へ向かうと魂達が待機していた。

……すご……家事どころか家中綺麗になってる……私より家事ができるんじゃないの……?

「皆お疲れ様……ありがとう」

そう言って清火は魂達を戻した。

魂達に感情があるのか分からないけど何となくお礼を言ってしまった……

そんなことを考えながら清火はキッチンで朝食を作ろうと向かうと……

「ん? ……これ……」

キッチンカウンターに既に作られた朝食が置かれていた。

あの魂達が? ……何か……高校受験の時を思い出すなぁ……

そして清火は朝食のパンを食べながらテレビを点けた。

すると丁度昨日の出来事が報道されていた。

……死亡者五名……一名生存……名前は伏せられてるけど私の事か……結局あの四人の名前も聞かずに終わっちゃったな……まぁ、 友達でも何でもなかったけど……

そんなことを考えながら清火はチャンネルを変えようとしたその時……

『えぇ……ここで臨時ニュースが入りました、 今日午前8時より、 東京渋谷にてSランクの次元迷宮が発見されました』

「……! ? 」

それを聞いた清火は動きを止めた。

『現在、 攻略者協会はSランク、 Aランクの攻略者を招集しており、 対応を急いでいます』

ここに来て清火は初めてSランクの迷宮に出会った。

……過去に何回かはSランクの次元迷宮の出現報道は見てたけど……ここで来たか……

「……行くか……」

そして清火はテレビを消し、 家を出た。

…………

……ネットの書き込みだとスクランブル交差点に出現してるみたい……いつもの移動の仕方だと遅すぎる……

「……ドラゴンゾンビ! 」

移動しながら清火はドラゴンゾンビの魂を呼び出した。

そして清火はドラゴンゾンビの魂に乗り込み、 上空へ飛び上がった。

これだと目立ち過ぎるから……あのくそ野郎から奪った能力、 透明化を使おう……

すると清火はとドラゴンゾンビの魂の姿が歪みだし、 消えてしまった。

…………

東京渋谷、 スクランブル交差点にて……

次元迷宮の周囲は完全に通行止めにされ、 拳一を含む東京の各地域の協会支部の総部長が集まっており、 何十人もいるであろう攻略者達が待機していた。

「Sランクの攻略者が二人しか集まってないとはどういうことだ! 」

拳一が一人の女性に怒鳴りつける。

「仕方ないでしょう? 他のギルドは海外に遠征に行ってたりで忙しいんだから」

彼女は虎牙(こが) 愛華(あいか)、 拳一とは仕事仲間であるが仲はそこまで良くはない。

(くそっ……やはり清火さんを呼ぶべきだったか……! )

拳一がそんなことを考えていると……

「……よっ……と……」

清火が突然上空から姿を現し、 拳一の目の前に降りてきた。

「モル……清火様! ? 一体どこから……」

「話は後……Sランクの攻略者が足りないんでしょ? 」

清火は静かに言うと拳一は少し安心した様子で

「……分かりました、 お願いします! 」

「言われなくても……」

そして清火は迷宮の入り口前へ向かった。

迷宮の入り口前では攻略者達が何十人もいたが、 そんな中でも一際雰囲気の違う攻略者が二人いた。

「ん? 」

「どうした? 」

二人は清火の気配に気付き、 清火の方を見た。

清火も二人に気付き、 歩み寄った。

「……貴方達がSランクの攻略者ですか……」

「その通りだ、 俺はフローガだ! 主に爆発系の魔法や能力を得意とするんだ」

「私は(いかづち)、 名前の通り電気系を得意としてるわ……この馬鹿がやらかさないように見張りに来たの」

「おいおいそんな言い方ねぇだろぉ……」

フローガは赤い短髪で髭の生やした筋肉質な男性、 雷は黒い長髪で黄金の瞳をした二十代程の女性の容姿をしていた。

確かこの二人はギルドランキング4位と5位のサラマンダーギルドと雷神ギルドのリーダー……Sランクの攻略者って思ったより感情豊富みたい……でも……実力は確かにある、 他の攻略者とは比べ物にならない程の力量を感じる……

清火は二人を見ながらそんなことを考えていると二人が話し掛けてきた。

「なぁ、 お前さんもかなりの実力者だろ? 見ただけで分かるぜ! 」

「あなたニックネームは? 」

なるほど……隠しても無駄か……

「……モルス……公式上にはまだ公表はしてない……」

「モルス……確かラテン語で死神という意味を持つ単語があったわね……もしかしてそれ? 」

「死神かぁ、 かっこいい名前じゃねぇか! 」

そんな会話をしていると次元迷宮の入り口が開かれた。

その瞬間、 フローガと雷の目つきが変わった。

「さぁて仕事だ仕事だ! 」

「どうして正式な階級を公表していないのかは大体察しが付くわ……もし公表した時にはよろしくね……」

フローガが一人で意気込んでいる中、 雷は清火にこっそり呟いた。

そして清火の他、 フローガと雷の率いるギルドメンバー達はSランクの次元迷宮へ入っていった。

…………

攻略者達を見送った各地域の協会支部の総部長達は清火について話していた。

「あれが最近、 異常な魔力反応が検出された攻略者か……」

「あんな子供みたいな奴が本当にSランクの実力を持ってるのか? 」

「あの人なら大丈夫ですよ……下手をすれば、 Sランクなんて目じゃない……」

他の総部長たちが清火の実力を疑う中、 拳一だけは清火を信じていた。

…………

Sランク次元迷宮、 第一階層……

そこは今までの迷宮とは段違いな空間の広さがあり、 上空の至る所に浮いている巨大な島があった。

「これが……Sランクの次元迷宮……」

「お前さんSランクの迷宮は初めてか? 確かにすげぇ景色だよなぁ」

「ほら、 ぼさっとしてないで早く進むよ」

そして清火達は迷宮を進んでいった。

しばらく進んでいると島の端へ着いた。

「さて、 どっかに橋があるはずだが……」

「橋なんてあるんですか? 」

こんな大自然の中に人工物があるとは思えないんだけど……

すると雷が説明してくれた。

「Sランクの迷宮には必ず進むための人工物があるの、 こういう浮島があるならそこへ進むための橋や転移するための魔法陣があるはずなの」

なるほど……流石は他の次元迷宮とは格が違う……ギミックまで凝ってる……

そして清火達は橋を探していると……

「……むっ? 」

「早速お出ましのようね……」

フローガと雷の視線の先には……

……嘘……あんなの出るの?

無数のドラゴンの群れが清火達の方に目掛けて飛んできていた。

「参ったなぁ……あんな数だと流石に俺達だけでは潰しきれねぇぞ……」

「やるだけやるしかないでしょ……」

……あれを全部倒せばもっと強くなれる……二人には悪いけど独り占めさせてもらおうかな……

すると清火は空高く飛び上がり、 ドラゴンゾンビの魂を呼び出して乗り込んだ。

「……分身……! 」

次の瞬間、 ドラゴンゾンビの魂が何体にも増えた。

それを見たフローガと雷は驚愕した。

「なんだぁありゃ! ? 」

「あんな数のドラゴンを呼び出してる攻略者なんて見た事ないわよ! ? 」

……さて……殲滅開始……

すると分身したドラゴンゾンビの魂達は一斉に青白い火の玉を吐き出した。

火の玉はドラゴンの群れの前でいくつも分裂し、 着弾した瞬間にいくつもの大爆発を起こした。

爆発に巻き込まれたドラゴン達は次々と奈落の底へ落ちていった。

……やっぱりこれも強化されてるか……性質が黒月に似ている気がする……

「思った以上にあっという間だっだけど……まぁいいか……分身解除」

そして清火は分身を消し、 フローガと雷の元に戻った。

「な……なぁ……今のは何なんだ? 」

「今まで殺してきた魔物達の魂を具現化させて呼び出した……そして分身をさせただけ……」

「魂を呼び出すって……そんなことできるのあなたしか見た事無いわよ……」

……二人の反応を見るに、 Sランクって思ったより大した強さは無いのかも……

清火はそんなことを思いながらドラゴンゾンビの魂を戻した。

……心なしか力が漲ってくる……あの数のドラゴンを倒したら当然か……これでさっきみたいな分身を使わなくても呼び出せるようになったかな……

「まぁ、 あんなに強いんなら心強いぜ! 」

「私達も負けてられないわね……」

そして清火達は無事に橋を見つけ、 迷宮を進んでいった。

次元迷宮、 第14階層……

……ここまで色んな魔物に会ったけど……どれも他の迷宮では見かけない珍しい種類とかA、 Bクラスのボス級の魔物ばかりだった……まぁ大体は黒月で倒せるけど……

清火は魔物を狩り続け、 様々な新しい能力を習得していた。

ここまで手に入れた能力は三つ……まぁ使うまではどんなものか分からないけど……

「いやぁまさかお前さんがここまでの猛者だったとはなぁ! 」

「本当に……私たちはあなたに付いていくのに精一杯よ……」

「二人だってかなり強いですよ……」

雷さんの攻撃は主に刀を使った抜刀術……電気を張り巡らせて相手を痺れさせつつ超高速で流れるように斬り込んでいく……私から見れば目で追うことはできるけど速さではまだ敵わないか……そしてフローガさんは拳に炎を纏わせて殴り込む……雰囲気通りかなり脳筋思考な攻撃をする……たまに地面を殴って広範囲の地形を破壊する程の大爆発を起こすけど……対応は難しくないかな……

清火は二人の戦闘能力を分析していると再び魔物の群れが現れた。

それは数十匹はいるであろう黒く巨大な狼の群れだった。

「Sランクの迷宮って本当に魔物が多いんですね……」

「そりゃSランクって言われるくらいだしなぁ、 群れを成して狡猾に攻撃してくる魔物がうじゃうじゃいるぜ? 」

「私達Sランクからすればあまり関係ないけどね……問題は……」

そう言いながら雷は後方にいるギルドメンバーの攻略者達を見た。

他の攻略者達は魔物の群れに苦戦している様子だった。

……まぁ、 リーダーとして仲間を守るのは大変そうだもんね……

すると雷はため息をつくと腰に掛けている刀を抜き、 攻略者達の元へ向かった。

「二人は前をよろしく……私は世話の焼ける攻略者達を援護するから」

「おう、 任せとけ! 」

「了解です……」

さて……早速新しい能力を使ってみるかな……

そして清火は片手に禍々しいオーラを纏った真っ黒な鎖を出現させた。

続く……


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