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I am Aegis / Mors 1  作者: アジフライ
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第4話【奪魂の銃】(後編)

前回からの続き……

「ローナ、 もしかしたらこの金属……私なら加工ができるかもしれない……」

「えっ! ? 」

世界最硬の金属、 漆黒魔法鉄の加工に頭を抱えていたローナに清火はある提案をした。

「私には物質を変形させて武器を錬成する能力がある……もしローナが設計図を見せてくれたらそれを元に形を作れるかも……」

それを聞いたローナは清火に詰め寄った。

「それ……本当? 」

「う……うん……この金属でもできるかは怪しいけど……」

するとローナはひどく喜んだ様子で清火の両手を握った。

「やっぱり持つべきは親友さね! 早速設計図を作るわ! 」

「え、 あ……うん……」

そしてローナは再び作業机に駆け込み、 何枚かの紙を取り出し設計図を描き始めた。

ローナが言うには設計図完成まで四日程かかるそうなので清火はその日は帰ることにした。

ローナは作業に入ると何も話さなくなっちゃうしあそこにいる必要は無いか……

「……仕方ない、 四日の間は少し休むとしよう……」

作った銃もローナに渡していた清火は設計図が完成する四日後までは休暇を取ることにした。

四日後……

清火は再びローナの所に訪ねた。

「ローナ、 いる? 」

「oh、 キョウカ! 例の設計図、 完成したわよ! 」

部屋の奥からローナが顔を出し、 清火の元に設計図を持ってきた。

……流石高校の理系の成績トップで卒業しただけある……細かいところまで分かりやすいように正確に書かれてる。

「……よし、 それじゃ早速作業に取り掛かるよ」

「OK! もう素材は用意してあるから私の作業テーブル使うといいわ」

そして清火はローナの作業机に向かった。

……これが私の普段使う武器になるからなぁ……慎重に作らないと……

緊張しながら清火は漆黒魔法鉄の原石に手を翳した。

すると漆黒魔法鉄の形はみるみる変形していった。

「これ……いける……! 」

「頑張ってキョウカ! これは今まで私が作り上げたどの兵器よりも最高の作品になるんだから! 」

そんなこと言われたら余計緊張するでしょ!

そんなことを思いながら清火は作業を続けた。

数時間後……

「……できた……完璧だ! 」

数時間にも及ぶ作業の末、 新しい拳銃が二丁完成した。

色は鉱石の色そのままで漆黒に染まっており、 清火が前に作った拳銃よりも少し大きめのサイズである。

所々に浮き出ている紫色に光るラインはより禍々しさを漂わせている。

デザインは前の銃と同じくマグナムを元にしている。

「このデザイン……この重厚感……間違いなく最高傑作になったわ! キョウカ、 試しにあれを撃ってみてよ! 」

「う……うん……」

清火は銃を手に取り、 部屋の隅に置いてあった空のドラム缶に銃口を向けて引き金を引いた。

次の瞬間、 紫に光る魔力の弾丸が飛び出し、 ドラム缶に着弾した瞬間小爆発を起こした。

ドラム缶は粉々になり、 見るも無残な姿になってしまった。

……試しに魔力を込めずに撃ってみたけど……この威力……前のとは比にならない!

「……It amazing! ! 完成よキョウカ! ! 」

「凄い……反動も音もほとんど無い……」

「その銃の素材は自ら魔力生成するから弾切れを起こすことはまずないわよ」

なるほど……魔力不足による弾切れを解消できたのは大きい……

するとローナは少し考える動作を見せた。

「hmm……キョウカ……遠距離はその銃でいいとして……近距離の戦闘はどうするの? 肉弾戦に向いた武器も必要じゃない? 」

「あぁ……そのことなんだけど……もう一つ見て欲しいのがあって……」

そう言うと清火はあの大鎌を出して見せた。

「こ……これは……? 」

「よく分からないけどいつの間にか持ってたの……錆も付かなければ刃こぼれもしない……しかも斬れない物は無いんじゃないかって言うくらい切れ味が凄まじい……一体何で出来てるのか……どこの誰が作ったのかすら分からない……」

するとローナは時計職人が使いそうなレンズを取り出し、 鎌の刃部分を凝視した。

ローナの反応からするに、 この鎌は未知の金属で出来てるのかな……

「……何なの……これ……見たことも無い金属ね……それにとても精巧に作られている……」

「ローナでも分からない? 」

「えぇ……残念ながらね……でも確かなのは……」




「その銃よりも危険な代物ということ……」




「……え……? 」

そんなに危険なの……これ……?

ローナは真剣な表情で説明した。

「この鎌を構成するものは金属ではないのよ……一体なんの物質から出来てるのか……それにとても禍々しいオーラを感じる……魔力とは異なるものだけど、 それとは比にならない程強力なエネルギーを帯びてる……きっと人智を超えた力がまだその鎌に隠されているわ……私から言えるのはそれだけ……」

そんなやばい代物だったの……これ?

するとローナは再びいつもの表情に戻り話を戻した。

「さて、 それよりもこの銃の名前を決めてあげないとね! 」

銃の名前……考えてもいなかった……

「自分の使う銃には名前を付けてあげないと愛着が湧かないでしょ? 」

「うーん……」

黒い大鎌にこの漆黒の二丁拳銃……明らかに厨二だけど……まぁここは黒色繋がりで……

清火は少し考えて出した名前は……

黒月(くろつき)……黒月にする……」

「黒月ね……いい名前じゃない」

そして清火は新しい武器、 黒月を手に入れたのだ。

魂を奪う死神の銃……月のように怪しく光る紫のラインが印象的だったし、 この名前でいいか……

「さて、 早速だけどお代の方を頂こうかしら? 」

「あっ……そうだった……」

絶対数百万はするよね……こんな高性能な武器……

そしてローナは清火に請求書を渡した。

そこに書かれていた金額は……

「……えっ、 50万円! ? 性能にしては安すぎない! ? 」

「いいのよ、 私は設計図を作っただけで本体を完成させたのは他でもないキョウカよ……それに親友ですものね! 」

そう言いながらローナはウィンクした。

……親友……か……

清火は何か温かいものを心に感じた。

…………

支払いを終わらせ、 清火はローナのラボを後にした。

ついでにホルスターまで貰っちゃった……ローナって性癖やテンションが苦手な部分があるけど……基本いい人なんだよね……だから私も彼女のこと……

「……さて、 早速新しい武器を試すかな……近場の迷宮は……」

そして清火は付近に出現している迷宮を目指した。

『ドウゥンッ! ドウゥンッ! 』

岩だらけの谷底で清火は岩の魔物達を黒月で蹂躙してゆく。

岩石系の魔物を一撃で粉砕できるなんて……流石はローナが設計した最高傑作……

黒月の主な性能は清火が前に使っていた銃とは変わらない。

しかし射程距離、 威力共に大幅に強化されているのに加え、 状況に応じて使い分けられる弾の種類が追加されている。

例えば……

「……! 」

……囲まれてるか……なら……

全方位から囲まれた清火は銃の回転部分を切り替え、 上空に向けて撃った。

すると上空へ打ち上げられた弾は突然激しい閃光を放ち、 魔物達の眼を眩ませた。

その隙に清火は鎌を取り出し、 一気に魔物達の首を刈り取った。

特殊弾……銃の回転部分で種類を切り替えることでそれぞれ違った性質を持つ銃弾を撃つことが可能となるのだ。

……私はもっと強くなる……そしていつか……次元迷宮を潰してやる……!

その気持ちを胸に清火は魔物達を次々と倒していく……

しばらく同じ階層で狩り続けていた清火は何かを見つけて立ち止まった。

「……こんな所に洞窟? まさか……結合迷宮! 」

結合迷宮、 それは次元迷宮の中に存在するもう一つの迷宮……ゲームで言う所の隠しダンジョンのようなものであり、 そこには珍しい素材や魔物……時として強力な武器や防具も手に入るという。

しかしその出現率は百分の一にも満たないという……

まさかこんな所で見つかるなんて……もしかすると新しい能力も手に入るかもしれない……

そして清火は洞窟の中へ入っていった。

…………

洞窟の中には幽霊のような体を持った魔物達が徘徊していた。

あれって明らかにゴースト系の魔物だよね……私……ホラー映画が苦手なんだけど……

そんなことを考えながらも清火は黒月をゴーストに向かって撃ち込んだ。

しかし弾は着弾せずに魔物の体を透けていってしまった。

「嘘っ! ? これ効かないの! ? 」

参ったなぁ……もしかしたらこの鎌ならいけたりして……死神の鎌だし……

駄目元で清火は鎌を取り出し、 ゴーストに向かって斬りつけた。

するとゴーストは真っ二つになり、 消えてしまった。

「……いけるみたい……で……今ので新しい能力が手に入ったかも……」

そして清火は銃を取り出し、 試しに魔力を込めると……

「やっぱり……これであの魔物達にも有効になったかな……」

銃に描かれている紫色のラインは白く変色し、 青白いオーラを纏い始めた。

「……いた」

清火は試しにその辺を徘徊していたゴーストに向かって弾を撃ち込んだ。

すると次はゴーストの頭に穴が空き、 消えていった。

これでゴースト系の魔物でもこの銃で対応できるようになったか……奪魂の銃と言ったところね……

そして清火は順調に洞窟の奥へと進んでいった。

結合迷宮、 最深部……

「さて……一番強い気配がするのはここね……」

洞窟の行き止まりまで来た清火は辺りを見渡した。

……隠れてる……かなり警戒されてるのか……

「いい加減出てきたら? でないと私も帰るに帰れないんだけど」

清火がそう言うと辺りに青白い火の玉が出現し、 辺りを照らした。

すると地面から大きな黒い影がヌゥっと出てきた。

「……あれは……リッチ? 」

リッチ、 神話ではアンデットを呼び出し、 操る魔物として有名な魔物である。

リッチ本体の強さはそれほどではないが際限なく次々とアンデットを呼び出し、 呪いの類の魔法も使ってくる為、 中々に厄介な魔物でもある。

まぁアンデットくらいだったらすぐに処理ができるけど……どんな魔法を使って来るか分からないからなぁ……

清火は様子見として黒月で攻撃してみた。

しかし銃弾はリッチの目の前で止まってしまい、 撃ち返されてしまった。

「うわ……! 遠距離は危険か……」

するとリッチは何か唱え、 地面から次々とアンデットを呼び起こしてきた。

「……全く……面倒な相手に会っちゃったものね……」

そんな文句を呟きながら清火は黒月を一つだけしまい、 片手に鎌を取り出した。

続く……


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