プロローグ前
拙い文章ですが、そのうち上手くなります。
終わりは緩やかだった。
それなりの家庭に生まれ、それなりの経歴をあゆみ、それなりの才能を発揮し、それなりに稼いで、それなりに家庭を築いて…それなりの最期を迎えた。
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「リン、店の準備を始めな」
声の主は若い女だ。女はこの国では珍しい黒髪であったが、珍しさよりもその美しさから人目を引いていた。
「母さんは毎日頑張るね、誰も困らないのに」
返答したのは、幼い少女だった。言葉遣いは歳不相応なものであったが、こちらも少女の持つ美しさ…または黒い髪と紫色の瞳から人から血視線を集めていた。
「こんな商売だ、いつどうなるかわからない。それに、客から要らん反感を買うわけにもいかない。」
「やめればいいのに」
少女からの返答は早かった。母親の仕事に不満があるのだろう。
「今は…しがらみが多くなった。もう少し、いや…そろそろいくよ。」
夕暮れ時、仕事の時間が始まる。
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私は死んだ、穏やかな最期だったと思う。今の時代では平均的な寿命だったと思う。伴侶は先にゆき、憂いもない。次目覚めた時は、赤子だった。ろくに手足も動かせなかったが、昔読んだ小説のようで年甲斐もなくはしゃいでしまった。輪廻転生など自分には関係のない話だと、記憶もなく、体も違うのなら、それは別人だと思っていたが、中身が伴うなら別だと。そして、久しぶりに感じた感動は…即座に失われた。
母親は不器用だった。この国の生まれではあったが、両親もおらず自分の身一つで生計を立てなければいけな以状況、目立つ容姿。彼女に同情はしたが、もう少しやり方はあったとも思った。私が生まれた時点ではすでに無意味なものではあったが。
こうして私の人生の第二幕は上がった。前世よりも生き辛く、快適とは言い難い。しかし生まれた以上、何かしらの結果は残そう。それが…私の信条なのだから。
誤字脱字、ご指摘いただけると幸いです。