前世の恋敵は今世の恋人でした
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「「は?」」
ふと目の前の相手を見ると、全く見覚えないけどどこか知っている雰囲気の奴がいた。
相手の反応を見るに、私が思っている奴で正解だろう。
「「こ、恋敵!」」
そう、相手は私の恋敵だった。
前世の私は日本人で、今世はフローラル国というなんともいい匂いのしそうな国に生まれたご令嬢である。
前世の私には死ぬほど嫌いな恋敵がいた。
恋敵は男だったけど、それはもう顔を見れば寒気が、目が合えば失神するぐらい嫌いだった。
その相手をまさか、向かい合い手を握り合っているとは前世の私は思っていただろうか?
いや、絶対にない。
「な、何でお前が!」
「知らないわよ! 離して!」
ばっと手を離すと、背後にいる人達が驚きの表情をした。
「め、メサイア様! 殿下に何をしているのですか!」
「殿下?」
そういえば、恋敵は今世ではこの国の王子だった。こいつが王子で次の国王とか国終わるぞ。
「お、俺はこいつと結婚なんて嫌だ! 婚約解消だ!」
私こと、メサイア・グルーバードと恋敵こと、シルバー・フローラルは婚約していた。
それはもう、中睦ましい恋仲だったらしく今の私にはありえない生活をしていた。
そんな恋仲がいきなり別れる、なんて周りも驚きの表情が隠せないようだ。
「そ、そうよ! 私も貴方なんか絶対に嫌!」
ふん、とお互いに顔を背け、お互いに別の方向へ歩いていった。
その光景を真近で見ていた使用人は頭を抱えていたそうだ。