まさかの婚約
さらっと書いたのであまり設定を気にしないでください(笑)
「蝶ちゃん。お爺様が呼んでいるわよ?」
「爺様が? どうしてだろう」
五条蝶とは十六歳高校二年生でよく分からない物の怪に取り憑かれてい五条家の娘である。
蝶は大好きである祖父の部屋へと急いだ。側近に開けてもらい、中に入ると……
「暁さん?」
暁こと平木暁がいた。
暁と蝶は祖父を通しての昔からの知り合いで、蝶より二つ年上だ。
高校は名門男子校に通っており、容姿学力共にトップクラス。
周辺にある女子校に通っている蝶でさえ、暁の噂は耳に入るほどだった。
だがそんな暁と対面で話すのも数年ぶり、それも祖父と一緒に。
蝶は不審に思いながらも正面のソファに座った。
「爺様、何用でしょうか?」
「蝶、お前ももう十六歳。結婚できる年だろう?」
「そうですけれど、結婚なんてまだ早いですよ。同級生はちょくちょく婚約はしていますが……」
女子校であっても、有名な名門の娘が通う女子校に通っている蝶の周りにも婚約者がいる娘は決して少なくなかった。
だが蝶自身「自分が婚約するのはまだ早い」と何故か自慢げに友人に話している。
「その婚約だ。蝶、お前は暁くんと婚約しなさい」
「は」
目を開いたまま、暁と祖父を見た蝶。
その肩はどんどんあがり、口も「い」の形になるように横に伸びていく。
「決定事項であるが、蝶の意見も一応聞こう」
いつもとは違う祖父の物言いに少し驚いた蝶。
だがここで意見を言わないと暁と婚約することになると察した蝶は口を開いた。
「絶対に、嫌ーーーーーー!」
そう叫びながら自室へと戻った。
「すまないな、暁くん」
「いえ。自分自身が嫌われてるようではありませんし、これからじっくり落としていくだけですよ」
「そうかいそうかい、頼むの」
「はい」
暁は数年ぶりの蝶の姿を思い出し、笑みを浮かべた。
外には蝶の意図しない婚約をお祝いするように沢山の蝶々が飛んでいた。