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短編集~田中ソラver~  作者: 田中ソラ
6/11

少女E

 彼女の名前は伊藤いとう。そして彼女のあだ名は少女Eである。


「い~ちゃんおはよ~」


「うん、おはよ~!」


 ごく一般的な彼女が少女Eというあだ名で呼ばれ始めたのはある劇で少女E役をしたからである。


 少女A役が公演前日に足を捻挫し出れなくなったことにより彼女に代役が回ってきた。


 顔は仮面で隠している役だったため少女Aではなく彼女の名前の頭文字をとり少女Eとなった。


 彼女の演技はとてもじゃないが上手いとは言えず、それがかえって話題となりすぐに少女E役をしていたとバレてしまった。


 だが伊藤は少女E、というあだ名を気に入っていた。


 どこにでもいる少女が彼女自身だから何の変哲もなく受け入れられた。


「い~ちゃんまた変なストラップ持ってる……」


「豆吉! 可愛いでしょ?」


「いや、全然」


「嘘!?」


 伊藤は変なものが好きだった。


 色がおかしい飲み物に食べ物、変な顔をしているストラップ、キャラクター。


 周りは最近、少女Eという何の変哲もないあだ名は伊藤には違うのではないか、と疑い始めていた。


 そんなことを知らず、伊藤は放課後いつものガチャを回しにいくのであった。




「伊藤」


「はい?」


 ガチャの前に座り込み、お金を入れ後は回すのみ……いざ! と意気込んだ時、伊藤は呼ばれ振り返った。


「え、毛利くん……?」


「あぁ」


 毛利くんとは学内で有名なイケメンである。


 彼が笑えば周りは幸運に満ち、彼が落ち込めば不幸なことばかり起きるというなんとも不思議な少年。


 だが顔が良いので何も問題ない、と友人が言っているほどの少年、毛利が目の前に立っている。


 それに少女Eというあだ名ではなく伊藤と呼び、伊藤に話しかけていた。


「えっと、何の用でしょうか?」


 こんな場面を見られれば何もなくても女子から反感を買う。たとえ少女Eでも、これは避けられない。


「……きだ」


「はい」


 え、何か言った?


 女子からの反感が怖くてここを打開する策を考えていると毛利が何か話したことに伊藤は返事してしまった。


「マジ!? うれし」


「え、え?」


 毛利は人気が高くて伊藤は近くで顔を見たことがないけれど、ここまでの笑顔をしたと聞いたこともない。


 なんで、笑顔?


「これからは俺の“彼女”な。よろしく」


「!?」


 伊藤は驚きで言葉が出なかった。それもそのはず。


 毛利の口からは「彼女」という言葉。それは伊藤に向けて言われており、状況を考えるに彼女が伊藤。


 ということは毛利と伊藤は恋人同士で伊藤にとって毛利は彼氏ということになるわけだ。


「ちょ、待って!」


 帰ろうとする毛利を追う伊藤。


 だが不運なことに石に躓き……


「あ」


 毛利のことを押し倒していた。


「何だよ、伊藤って結構積極的じゃん」


「え、これは、ちが」


「ギャーーーーーー!!」


「やば!」


 遠くからは同じ学校の制服を着た女子。


「最悪だ……」


 伊藤はこれからの高校生活が終わる、と察してしまった。

伊藤ちゃん好きだな~

実は毛利くんのお父さんは、私の別作品にも登場してるんです。

何かって?小説家になろうやカクヨムには投稿してませんよ(笑)

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