第1話 デメテールの花
皆様、初めまして。フルールと申します。
突然ですがこれから、私の暮らす王国のお話をしたいと思います。とても穏やかで、優しい国です。
私の生まれたデメテール王国では、生まれながらにひとつだけ神様から力を与えられます。生まれて数分の後に、魔法陣と眩い光に包まれ力を得るのです。
この国のご先祖様がその昔、とんでもなく困っていた神様を助けた恩恵なのだとか。国民は皆、代々特別な力を与えられる王族を中心に助け合いながら暮らしています。
力自体はそれほど強靱なものではありません。あればちょっと便利というレベルです。力の系統は全部で6種類あるとされています。
手品系は主に指先から何かしら出せます。ロウソクの様な火をぽぅっと灯せたり、ちょろちょろと水を出せたり、静電気のような電気をパチッと出せたり、糊みたいな粘液を出せたり。結構役に立ちます。
物理系は体の一部を変化させることができます。指1本だけ小刀にできたり、指2本を鋏にできたり、拳がトンカチになったりします。技術職の方が多いですね。
能力系は片目だけ望遠鏡を覗いたように遠くを見れる程視力を上げられたり、桁の多い計算が瞬時にできたり、念じれば少しだけ物を動かせたりします。天才さんが多いと言われています。
瞬発系は瞬間的な力が多いです。フワッと高く飛び上がったり、日に数回だけ狸さんの様に変化できたり、瞬間移動できたり、100mを数秒で走れる程の脚力があったりします。体育会系みたいな感じですかね。
動物系は日に数十分程度獣化出来ます。部分的に獣化なんて事もできちゃいます。部分的だと、使用時や獣化した部位の能力がちょっとのびるそうです。ウサギさんなら耳が良くなったり跳躍力が上がったりしますし、鳥さんの羽があれば飛べちゃいます。
神力は他とは違う特別な力です。王族と上級貴族にのみ与えられる、偉大な神々に因んだ力です。これは後々ご紹介いたします。
生まれた時に授かった力は5歳頃から18歳までに発現します。
王族と上級貴族は少し特殊なのですが、ほとんどの国民は能力を活かせる職業に就き、人の為に使うようにしています。
さて、私に与えられた力はと言うと…
見た事がある植物を出現させることができます。その力を使い、今は城下町でお花屋さんを営んでいます。可愛いお花に囲まれて、毎日とても幸せですごく楽しいです(*´︶`*)