プロローグ
書きたかった題材のさわりを載せますっ
かけがえのないものが無くなった時、それにとって代わるものなんてこの世に存在しないと強く思うなら、失った者はそれを取り戻すために動くべきだろうか。
人間の記憶なんてものは、脳が記録しているデータに過ぎない。
極端な話、その人間の脳みそが何らかの形で異常をきたした場合、記憶の消滅は充分にあり得ることだし、思い出としてどれだけ大事にしていても、それを忘却してしまえば、その人間にとっては、何もなかったのと同義になってしまうとも捉えられる。
記憶を取り戻すことが、彼女達のためになるという保証などどこにもない。肉親でもない限り、人間の記憶を1人分忘れたくらいで、生活に支障はでない。
寧ろ、記憶を取り戻そうと必死に働きかけることが、本人達の生活の邪魔になる可能性がある。
抗いようのない事実を、逃れようのない現実を突きつけられた時、俺は確かに抗った。それだけ大事だったから。
ただ、俺は今の日常を守り、彼女達が幸せに生きることを優先するべきだと気づいたんだ。
忘れもしない、俺はあの夏の日、最愛の恋人と信頼をおいていた幼馴染から、存在を忘れられた。
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