源氏物語で、私の好きなキャラクター(男性編)
源氏物語の内容にふれています。
未読の方で、内容を知らずにこれから読みたいと思っておられる方は読まないでください。
朱雀帝と夕霧そして冷泉帝
03.09記
源氏物語で、私の好きなキャラクター
源氏物語で私が好きなのは朱雀帝と夕霧。
前者は、光源氏にいいようにあしらわれてしまう影の存在であるが、光源氏に対して嫉妬の気持ちなどはもたず、むしろ憧れている。
自分が好きだった朧月夜の君を光源氏に奪われても、責めたりはしない。
女性ならそれがむしろ当然のこと。
と素直にそう感じている。
その人の好さ。誠実さがとても良い。
光源氏の長子(公的な)に生まれながら、父親とは違い、まじめで堅物の夕霧。
外見は父に似て美男であっても、物堅く地味な印象。
こういう人物は生理的に好きである。
その夕霧が親友の未亡人である落葉の宮に対していだく恋心がまた良い。
光と藤壺の宮との間に生まれた不義の子、冷泉帝。
光は、源氏晩年の正妻、女三宮と柏木の間に生まれた薫を自分の子として育てなければならない、という形でしっぺ返しをくらう。
宇治十帖においては、この薫が主人公となるが、光から薫にいたるその間に、冷泉帝こそ第二部の主人公となるべき人物であるように思われる。
光にうりふたつ、と言われたその容姿。運命の子というしかないその出生。
しかし紫式部は、その人にドラマチックな人生を用意しない。
冷泉帝は、自分は本来、帝となるべき生まれではなかったのだ、と知り、結局二十代の若さで帝位を退き、以後、華々しさとは無縁の人生を送る。
九歳年上の元中宮、一歳年上の元女御と過ごす、見目麗しき若隠居、冷泉院。
なんて羨ましい人生だ。