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28話

 28話


 秋も深まり、冬が近づく中、ルコの体調も戻ってきた。

 そして、過保護なアランとノーマンがルコの安全を考えて、冒険者ギルド職員見習いを勧める。


「――と、こういう理由でこれ以上、ルコとはパーティーは組めないんだ」

「そんな。兄さんたち、勝手だよ」


 宿屋の食堂に俺とライナスさん、アラン、ノーマンの4人が集まってルコに説明している。

 今まで三人で頑張ってきたのに、いきなりパーティーを外されて、ルコとしては不服なようだ。


「アランたちは、更なるステップアップの準備のために遅かれ早かれパーティーを別れる必要がある。それにルコは、ギルド職員見習いだが、受付としてじゃなくて、治癒術士見習いとして入ってもらいたい」


【水魔法】スキルがあるなら、上手く学べば【回復魔法】スキルを覚えられ、更にそれを安全に鍛えることができる。

 それを説明するが、まだ不服なようだ。


「俺も一応、ギルド職員見習いとして働く予定だから、前向きに頑張らない?」


 俺がそう付け加えると、ルコは驚きで目を見開き、態度が大きく変わる。


「トールさんもギルド職員見習いで働くなら一緒に働く! と言うか、兄さんたちより、トールさんと一緒にいる!」

「あ、あれ? もう少し説得が続く場面かと思ったけど……」


 俺が小首を傾げると、ライナスさんはクククッと楽しそうな笑みを浮かべ、アランとノーマンは俺の傍まで来て、左右から肩を叩く。


「それじゃあ、ルコのことを頼むな」

「あ、うん、それは言われなくても分かってるけど、なんか、アランの頼むって言葉のニュアンスがちょっと違うんじゃない?」


 ルコの俺を見る目が、今までの親しい年上の少年に向けられていたようなものに、尊敬やら憧れのような輝きが混じっているように感じる。


「どう考えても、ルコは、お前を好いてるだろ。兄の俺より優先するくらいに」

「えっ、いや、勘違いとかじゃなくて……」

「勘違いじゃないだろうな。兄として断言する。そして、その兄の俺から言うのは、ルコを任せた」

「いやいや、まだ12歳の女の子だよ……」

「……もうじき13。それに寒村じゃあ、14歳で結婚するから、その前に相手を決めるのが普通だ」


 動揺する俺にノーマンに、前世以上に女の子が早熟であることを伝えられる。

 だが、どこに好かれる要素があるだろうか、と考え――


 アランたちに生きる術を教え、美味しい食事で胃袋を掴み、宿暮らしだがそこそこ快適な生活を提供し、更に、ルコの命を救った。

 そりゃ、アランとノーマンからは感謝の念が信用と信頼に変わり、ルコは恋心に変わったのかもしれない。


「えー、いや、俺で良いのか? もっといい人とかカッコイイ人とか居るんじゃないのか?」

「トールさん以上に格好良くて、頼りがいのある人は居ませんよ!」


 俺の言葉にルコが勢いから言葉を口にして、恥ずかしさから少し俯く。

 そして、そんなルコの直接的な好意に唖然とする俺に、アランとノーマンが肩を叩く。


「確かに、トールの顔立ちは、平凡と言うか、愛嬌があると言うか……まぁ、可も無く、不可も無くだ」

「……アランの方が顔はいいけど、それを見慣れたルコにとって異性の顔は評価に入ってない」


 中々に辛辣な親友たちの言葉を黙って聞いている。


「そうなると、ルコの判断基準ってのは、人柄だな」

「……トールの人柄は、穏やかで優しい、それに色々と知っているから頼りになる。結婚を考えると、かなりいい人選だと思う」

「え、うぇ……」


 アランとノーマンの言葉に、段々と混乱してくる。


「ルコは、身内贔屓でも可愛い部類だ。それに、トールは魔道具の登録と商業化で経済面で優れている」

「……トールが15歳になった時、トールの経済力目当てで他の女が集まってくる前に、トールの隣を押さえておくつもりらしい」


 そう言うアランとノーマンの言葉だが、相変わらず俺が複数の女性から好意を寄せられる、と言う状況が想像できない。

 いや、この場合は好意と言うより打算だろうか。

 効率的に【成長因子】を拡散するために打算から多くの女性の好意に応える未来を一瞬考えるが、あまりに俺らしくなく、不誠実な未来に不快感を覚える。


 ティエリア先生との約束で、創世神・アーライダ様からの依頼である【成長因子】を拡散できるように人生のパートナーを作らないと、ティエリア先生が俺を受け入れてくれない。


 だが、そのために打算的に妹のようなルコの好意に応えるのか、と色々とグルグルと考えを巡らせていると、そのルコが俺の目の前にやってくる。


「今すぐトールさんに応えてもらおうとは思いません。ただ、トールさんに近づく変な女の人は、極力排除しますから」

「えっと、排除するんだ。それと、極力って……」

「だって、トールさんほど素敵な男性を私一人で独占できるとは思いませんから。それに私は、魔道具の研究や夜更かしで無茶するトールさんを逆に支えられるような相手になりたいし、同じように支えられる人なら、認めてもいいかな、って……」


 なんか、ありがたいような不安なような……ただ、このような一人の男性が複数の女性を囲う可能性はどうなのだろうか、とライナスさんに助けを求める。


「……まぁ、経済力と当人同士が納得していれば、認められる。頑張れ」


 若干、愉快そうに見ているライナスさんに恨みがましく見詰める。

 そして、話が一通り終わった後でルコがニッコリと俺に微笑む。


「と、言うことでトールさん。よろしくお願いします」


 なんだか、ルコの言葉の響きが頼もしく、そして少し怖くもある。


「うん、まぁよろしくね。けど、俺は目的があるんだ。どうしても叶えたい目的がある」

「はい。だから、恩返しとして、その目的も手伝わせてもらえたら、と思うんです。恋愛対象としてまだ見てもらえなくてもいいんで、手伝わせてください」


 そう言って、ハッキリと告げてくるルコに、困ったな、と頭の後ろを掻く。


「わかった。俺も少しずつ受け入れるつもりだから、よろしくね」


 俺はルコと握手して、なんだかちょっぴり変わった告白とその返答の先延ばしをさせてもらった。

 俺にはルコに話していない秘密がたくさんあるが、きっといつかはちゃんと話すことになるだろう。

 そして秋が終わる頃、俺とルコは冒険者ギルドの職員見習いも兼任するようになった。


 ―――――――――――――――――――――


【ステータス】


 NAME:トール・ライド

 年齢:13

 JOB【錬金術師】

 LV 50

 HP :3050/3050(生命力)MP :820/820(魔力量)

 STR :401(筋力) VIT :372(耐久力) DEX :405(器用さ) AGI :436(速度)

 INT :341(知力、理解力) MGI :344(魔力) RMG :303(耐魔)


 武器スキル

【槍Lv7】

【剣Lv3】

【短剣Lv3】

【棍棒Lv3】

【斧Lv3】

【投擲Lv5】

【盾Lv3】

【弓Lv2】

【体術Lv4】


 魔法スキル

【魔力回復Lv8】

【魔力制御Lv4】

【火魔法Lv2】

【水魔法Lv4】

【土魔法Lv3】

【光魔法Lv2】

【生活魔法Lv8】

【魔力譲渡Lv8】

【回復魔法Lv4】

【空間魔法Lv3】

【結界魔法Lv1】

【魔力相殺Lv2】


 強化スキル

【刺突強化Lv7】

【斬撃強化Lv5】

【打撃強化Lv4】

【生命力強化Lv5】

【魔力量強化Lv4】

【筋力強化Lv7】

【耐久力強化Lv5】

【器用強化Lv6】

【速度強化Lv5】

【知力強化Lv4】

【魔力強化Lv3】

【耐魔強化Lv3】

【自己強化:身体Lv3】

【五感強化Lv1】

【消化Lv3】

【回復速度強化Lv4】

【身体強化Lv2】

【並列思考Lv2】

【硬化Lv5】

【再生Lv3】

【痛覚増加Lv3】


 耐性スキル

【物理耐性Lv5】

【魔法耐性Lv2】

【毒耐性Lv4】

【睡眠耐性Lv3】

【威圧耐性Lv2】

【病気耐性Lv1】

【呪い耐性Lv1】

【火耐性Lv2】

【水耐性Lv2】

【闇耐性Lv1】


 生産スキル

【錬金術Lv6】

【料理Lv5】

【調合Lv6】

【建築Lv4】

【栽培Lv4】

【裁縫Lv3】

【彫刻Lv1】

【陶芸Lv1】


 技能スキル

【鑑定Lv7】

【採取Lv6】

【跳躍Lv5】

【暗視Lv6】

【騎乗Lv1】

【調教Lv1】

【罠師Lv3】

【狩猟Lv4】

【伐採Lv3】

【水泳Lv3】

【登攀Lv2】

【解体Lv2】

【教導Lv1】

【速読記Lv2】


 戦術スキル

【連携Lv4】

【追跡Lv3】

【逃走Lv3】

【指揮Lv4】

【威圧Lv4】

【挑発Lv1】

【潜伏Lv5】

【奇襲Lv2】


 感知・隠密系スキル

【気配察知Lv5】

【気配遮断Lv5】

【罠感知Lv3】

【魔力感知Lv6】

【危機察知Lv3】

【魔力隠蔽Lv4】

【霊視Lv4】

【空間把握Lv3】

【偽装Lv8】

【熱源探知Lv5】


 操作スキル

【操糸Lv4】

【操水Lv3】

【血流操作Lv2】


 特攻スキル

【対人特攻Lv2】


その他スキル

【仮死Lv2】

【礼儀作法Lv3】


 ユニークスキル

【錬成変化】

【成長因子】


 ―――――――――――――――――――――


【装備】

・刺突の猪鉄槍――スキル【刺突強化Lv4】【斬撃強化Lv2】

・グレイプニルの鎖――スキル【地縛霊の鎖】【虚弱】【伸縮自在Lv1】【自己修復Lv3】

・微睡みの封印具――スキル【神霊封印:ティエリア】【不壊】【安息地】

・アイテムボックスの腕輪――スキル【アイテムボックスLv2】【空間拡張Lv5】

・背負い鞄型マジックバッグ――スキル【アイテムボックスLv1】



これにて第2章は、終了となります。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

第3章は未定となっており、ここで一旦完結とさせて頂きます。

これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] アロハ座長の小説情報を見てこの作品に出会いました、良かったと思います、この先ハイエルフさんの復活が気になり次章に期待してます、よろしくお願いいたします。
[一言] 完結って...途中すぎるだろ。
[良い点] 続きが読みたいです
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