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10話

 10話


 ギルドの採取依頼で少し時間が掛かったために、宿屋に帰った後は、一人遅めのお昼ご飯を作って食べる。


「さて、取ってきた薬草でポーション作るかな」


 俺は、大きめの鍋を用意して、森の家にいた時から使っていた木へらを取り出し、午前中に取ってきた薬草を取り出す。


「汚れと枯れた部位を取り除くか――【ウォーター】。」


 水を注いだ桶の中に薬草を浸して、枯れた部位や埃や汚れを取り除く。

 そして、大鍋に水を加えて、火魔法で一定の火力で沸騰させたところで、薬草30株を投入する。

 薬草を加えた段階で火の強さを弱め、ゆっくりと木へらに魔力を通して、薬効成分と魔力が結合するように調合する。

  火魔法を維持をしつつ、俺のMPの自然回復とのバランスを考えて、細く、長く魔力を木へらを通して放出する。

 時折、【錬成変化】にて薬効成分の結合状況などを確かめつつ、ポーションを作る。

 そして、じっくりと時間を掛けて作ることで、約30本分のライフポーションを作ることができた。


「久しぶりだけど、どんな感じかな。うん、腕は落ちてないみたいだな」


 ライフポーション【回復薬】

 体力回復の高品質なポーション。体力は、HP800回復する。


 魔力と結合することで、薬効成分が強化されるポーションが完成した。

 俺のステータスだと3、4本使って全回復な規模であるが、ランクEくらいの冒険者ならこれ一本で瀕死から回復するレベルの仕上がりだろう。


「できたことだし、ライフポーションが冷めたら、古いやつと詰め替えるかな」


 俺は、ダンジョン産の劣化防止のポーション瓶の中身を別の鍋に移して、洗浄し、風魔法で乾燥させる。

 そして先程買ったポーション瓶と合わせて、25本分のライフポーションを詰め替えて、仕舞う。


「ちょっと残った……まぁ、いいか」


 古いポーションは、風呂に入れて肌の細かな傷や荒れとかの保護に使えばいい。

 あとは、アランたちが帰ってきたら、栄養ドリンク代わりに飲ませればいいかな、と思い、風呂の準備をするために、宿屋の裏手に回る。


「――【ウォーター】【ファイア】」


 火魔法と水魔法で風呂を沸かしながら、魔法を維持しつつボーッとする。

 そこでふと、久しぶりにステータスを確認する。


 ―――――――――――――――――――――


【ステータス】


 NAME:トール・ライド

 年齢:13

 JOB【錬金術師】

 LV 40

 HP :2550/2550(生命力)MP :220/710(魔力量)

 STR :358(筋力) VIT :310(耐久力) DEX :325(器用さ) AGI :388(速度)

 INT :268(知力、理解力) MGI :301(魔力) RMG :249(耐魔)


 武器スキル

【槍Lv7】

【剣Lv3】

【短剣Lv3】

【棍棒Lv3】

【斧Lv3】

【投擲Lv5】

【盾Lv3】

【弓Lv2】

【体術Lv4】


 魔法スキル

【魔力回復Lv6】

【魔力制御Lv1】

【火魔法Lv2】

【水魔法Lv4】

【土魔法Lv3】

【生活魔法Lv7】

【魔力譲渡Lv8】

【回復魔法Lv1】

【空間魔法Lv3】

【結界魔法Lv1】


 強化スキル

【刺突強化Lv7】

【斬撃強化Lv5】

【打撃強化Lv4】

【生命力強化Lv7】

【魔力量強化Lv4】

【筋力強化Lv7】

【耐久力強化Lv5】

【器用強化Lv5】

【速度強化Lv5】

【知力強化Lv3】

【魔力強化Lv3】

【耐魔強化Lv3】

【自己強化:身体Lv3】

【感覚強化:嗅覚Lv5】

【感覚強化:触覚Lv3】

【感覚強化:聴覚Lv3】

【感覚強化:味覚Lv1】

【消化Lv3】

【回復速度強化Lv4】

【身体強化Lv2】

【並列思考Lv2】

【硬化Lv3】


 耐性スキル

【物理耐性Lv5】

【毒耐性Lv3】

【睡眠耐性Lv1】

【威圧耐性Lv2】

【病気耐性Lv1】


 生産スキル

【錬金術Lv6】

【料理Lv5】

【調合Lv6】

【建築Lv4】

【栽培Lv4】

【裁縫Lv3】

【彫刻Lv1】

【陶芸Lv1】


 技能スキル

【鑑定Lv7】

【採取Lv6】

【跳躍Lv5】

【暗視Lv6】

【騎乗Lv1】

【調教Lv1】

【罠師Lv3】

【狩猟Lv4】

【伐採Lv3】

【水泳Lv3】

【登攀Lv2】

【解体Lv2】

【教導Lv1】

【速読Lv1】


 戦術スキル

【連携Lv4】

【追跡Lv3】

【逃走Lv3】

【指揮Lv4】

【威圧Lv4】

【挑発Lv1】

【潜伏Lv2】

【奇襲Lv2】


 感知・隠密系スキル

【気配察知Lv5】

【気配遮断Lv5】

【罠感知Lv3】

【魔力感知Lv6】

【危機察知Lv3】

【魔力隠蔽Lv4】

【霊視Lv4】

【空間把握Lv3】

【偽装Lv8】


 操作スキル

【操糸Lv4】

【操水Lv3】

【血流操作Lv2】


その他スキル

【仮死Lv2】

【礼儀作法Lv3】


 ユニークスキル

【錬成変化】

【成長因子】


 ―――――――――――――――――――――


 基本的に魔物などを討伐していないのでレベルは上がっていない。

 時折、腕が鈍らないように宿屋の裏手で槍を素振りしているが、武器系のスキルは早々上がることはない。

 その代わり、各過程の草むしりなど繊細な土魔法を使っていたために【土魔法】がレベル3に上がっていた。

 他にも成長したり、頻繁に料理を自炊していたために、【感覚強化:味覚】が手に入り、【料理】スキルのレベルも上がった。

 味噌などの調味料作りで麹菌の仕分けの時に、空間魔法の結界を作り出したが、そこから派生して【結界魔法】が手に入った。

 また、冒険者ギルドの資料室で本などを読み、アランたちに文字や魔法を教えたので【速読】と【教導】スキルが手に入り、ノーマンと共に【解体】スキルを活用したので、経験がスキルに追い付いたのかレベルが上がった。

 また人と関わることで【礼儀作法】スキルのレベルも上がるなど、主に人に関わることで上がるスキルが多かった。


「戦わなくてもスキルは得られるんだよな」


 続いて、職業欄を確認すると、【槍使い】や【錬金術師】【調合師】などという俺を表すジョブの他に、様々な職業を得ていた。

【Fランク冒険者】【便利屋】【何でも屋】【生活魔法使い】【料理人】【研究者】などがあった。


【Fランク冒険者】は、ランクが上がったことで得られた社会的な立ち位置の職業だろう。

【便利屋】や【何でも屋】は、雑務依頼をたくさん、そして的確に消化していったために得たのかもしれない。

【生活魔法使い】は、【生活魔法】で風呂とか料理とか草取りとかしているからだろう。

【料理人】は、宿の厨房で料理をしていたのが原因だと思う。

【研究者】は、味噌や醤油を作ろうと、試行錯誤したから得られたのかな、と思う。


「あははっ、これまでの生活をよく表してるなぁ」


 そんな感じで一人小さく笑っていると、宿屋のライナスさんがやってきた。


「おっ、トールが居たのか」

「ライナスさん。結構汚れてますけど、どうしたんですか? 手先とか爛れてますよ!」

「あ、ああ、ちょっとばかり大物の魔物が討伐されたんで解体の手伝いをしてきたんだ」


 ギルド直営の宿屋にいるライナスさんは、ギルド職員扱いのためか、宿屋に居ない時は、ギルド職員として働いているらしい。

 そして、魔物の解体などを手伝ったのか、汚れて戻ってくることがある。

 今日もその解体の後なので、魔物の返り血などで汚れているほか、魔物の体液などで指先が爛れているようだ。


「ああ、このくらい平気だ」

「アランたちのために用意した風呂がありますから、入れなくてもお湯で体の汚れを落として下さい」

「悪いな、なら、使わせてもらう」

「あ、あと、ちょっと待ってくださいね」


 俺は厨房に置いておいた古いライフポーションを持ち出し、風呂釜に少しだけ流し込んで混ぜる。

 古くなって劣化しているために高品質でも本来の回復量の半分ほどしかなく、お湯で薄めて使っているので大した効果は無いが、爛れた指先を浸けるにはちょうど良い。


「はい、どうぞ。魔物の体液とかで痛むところに浸しておくといいですよ」

「ポーション風呂とか、豪勢すぎるだろ。どこの貴族だ」

「全部、俺が作ったものですし、そのポーションは古いから使わないと」


 それに、使用期限が迫ったポーションは、手荒れとかに使うんですよね、と尋ねれば、それはポーションを買い続けられる中流層の家庭に限られると返された。


「まぁ、どうせ期限が来て詰め替えて捨てるなら使ってくださいよ。それと、詰める容器がなくて余ったライフポーションがあるんで、勿体ないから消費してその手の爛れを治してくださいね」

「お前、気前良すぎるだろ」


 そう言って魔物の返り血や体液で汚れた衣服を脱ぎ捨て、ポーション風呂のお湯を体に掛けていく。

 自分が設置した五右衛門風呂は、俺やアランたちは少し窮屈に感じる程度の一人風呂だが、ライナスさんほど体格が良いと入れないので、こうしてお湯を使って汚れを拭ったり、掛け流しが多い。


「そろそろ風呂釜を大きくするべきかなぁ」

「お前、子どもなのに俺のことを気にしてるのか?」

「いや、俺も身長が伸びて狭く感じるので、ついでに大きくしたいなぁ、と思って」


 まぁ、森から持ち込んだ金属を継足しして少しずつ大きくすれば作れるが、大きくするとその分だけ風呂を満たす水や沸かすための時間が掛かるので、どうしようか、と考えている。

 そんな感じでポーション風呂で掛け湯したライナスさんは、手先の爛れが薄らと治り、こざっぱりした様子で風呂上がりのポーションを一気飲みした。


「おっ、中々に効くな。お前、これ一本で銀貨4、5枚はいくだろ。それをタダって……」

「あれ、ライフ・ポーションって銀貨3枚前後じゃありませんでした?」

「それは中品質のやつだ。高品質は、それよりも高いぞ。解体で疲れた体や腰痛が楽になったぞ」

「俺はまだ若いんで、そういう部分の回復とか実感できないんですよねぇ」


 ライフポーションを飲むとHPの回復以外に身体的な不調が改善されるのは知識として知っている。

 だが、俺自身が使っても若い13歳の体と高レベルステータス、【回復速度強化】のスキルで体調が万全であるために、あまり実感できないでいる。


 俺は、どのくらい効くんだろうな、と考えながらのんびりしているとアランたちも帰ってきた。

 食肉魔物の確保で汚れた三人は、新たに継ぎ足したポーション風呂に入って、ライフポーションを飲む。

 アランたちは、食事や風呂、安息日を設けるなどしてほかの同期の冒険者たちよりも常に体調はいい状態である。

 それでも、知らず知らずのうちに疲れとかを溜め込んでいたようだが、ポーション風呂に入ってライフポーションを飲んだら、ちょっとした体調が良くなったのか、嬉しそうにしている。

 その体調の変化を感じられない俺は、妙な疎外感を覚えるのだった。

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