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29話

 29話


 ダンジョンまでの森の木々を伐採し、【錬成変化】で地面を整備して、【熱量交換の粘土板】を設置していく。

 だいたい、一メートル間隔で飛び石のように地面に埋めていけば、発する熱の範囲で周囲の雪が溶ける。

 それにもし雪が積もっても、地中熱を利用しているので大きく積もることがないので、簡単に除雪もできる。

 そうしてできた粘土版の上を進んでいけば、ダンジョンまで楽に通えるはずなのだが――


『とりあえず、直線2キロの道に2000枚の粘土板の設置を頑張りましょう』

「先生、俺のワガママに付き合ってもらって、すみません」

『いいのよ。それより、幾つかレベルアップしたみたいね』


 粘土板の魔道具作りで、俺はスキルレベル上げも兼ねて、敢えて【錬成変化】を縛って魔法やスキルなどの非効率な方法で作成していた。

 その結果、穴掘りの生活魔法である【ディグ】で川辺の粘土層を掘り返し【土魔法】スキルを自力で取得した。

 粘土板の成形と魔法陣を刻む作業では、【彫刻】と【陶芸】スキルを得て、魔道具を作る途中で【錬金術】のスキルレベルが4に上がった。


「それにしてもスタンプで魔道具に魔法陣を刻むの。上手くいかなかったですね」

『スタンプだと力の掛かり具合が変わって、一部が擦れたりするから基本は手彫りよ。だから、魔道具は職人技だって分かって良かったわね』


 楽をしようと魔道具を刻むスタンプを作ったが、上手く魔法陣を刻めず、失敗という貴重な経験をした。

 もし、スタンプによる刻印が成功していたら【彫刻】や【陶芸】スキルを得られなかったと思うので、この失敗は悪いことではなかったと思う。


 粘土板を1000個ほど作った辺りで、近くの川辺の粘土層が少なくなり、素材の土属性の魔石も足りなくなってきた。

 なので、残り1000個の粘土板を作る素材を集めるために、魔物を狩りに行く。


「水中に魔力の反応あり――【錬成変化】!」


 水辺の中に魔物の反応を見つけ、虫籠のように水底の土石を錬成して、水棲魔物を掬い上げる。


『マッドフロッグ、マッドキャットフィッシュ、ハイドロ・フィッシュね』


 人ほどの巨大カエルと長い髭が特徴のナマズ、太った淡水魚の魔物を捕まえる。


『マッドフロッグとマッドキャットフィッシュは、土属性の魔石が取れる魔物ね。しばらく、この子たちを中心に狩りましょう。ついでに、フォレスト・アントやリザードマンとかもどんどん倒しましょう』

「あはははっ、そうですね」


 蟻型の魔物であるフォレスト・アントは土属性の魔物なので、素材集めに狩られることが決まった。

 フォレスト・アントが作る巣の壁は、フォレスト・アントの吐き出す粘液や葉っぱなどを土に混ぜて作られるので、上質な陶芸用粘土として利用されるらしい。

 なので、粘土を集めるために水場やフォレスト・アントの巣の魔物を幾つか壊滅させて、粘土を集めた。


 その際、手に入れたスキルは――


 マッドフロッグの【粘液分泌】スキルを抽出して取り込んだら【血流操作】スキルに変化した。

 この【血流操作】は、自身の血の巡りを操って身体機能を向上させたり治癒能力を上げたりするほか、怪我をした時に血流を操って止血の補助ができるらしい。


 マッドキャットフィッシュからは、戦術スキル【潜伏】と【奇襲】を取得した。

 どうやら、泥の中に隠れ潜み、獲物を狙うために得たスキルのようだ。

 また、口から水を吐き出して強力な水弾を放つ【水流操作】スキルを持っており、こちらを取り込んだ際に【操水】スキルに変化した。


『【操水】スキルは、水の扱いが上手になるから曲芸師に向いているわね』


 そう言われた時、糸を操り、水芸をする街角の路上パフォーマンスの姿が容易に想像できた。

 金稼ぎの手段が一つ増えたと思おう。


 他、水棲魔物などからは、共通して【水泳】スキルを手に入れた。

 まぁ、これからの寒い時期に泳ぐことはまずないだろう。


 続いて、フォレスト・アントは、黒々とした甲殻を持つ大きな蟻だった。

 触角を持つ虫型魔物なので、【感覚強化:触覚】と【硬化】スキルを新規で手に入れた。

 他にも、【酸生成】は【調合】スキルに統合され、【土魔法】や【連携】スキル持ちが居たので、中々に強敵だったと思う。

 通常では巣の中が狭く、湧き出るように現れるフォレスト・アントに消耗戦を強いられるだろうが、【錬成変化】で巣の壁を分断して各個撃破した。

 フォレスト・アントの巣のボスであるアント・クイーンは、子どもを作るのが仕事のためにあまり強くなく、これまた【安産】スキル持ちだった。


 リザードマンに関しては、冬眠前の寒さで動きがやや鈍く、こちらも問題なく倒せた。

 水と陸地の両方を得意とするので【槍】スキル持ちが多く、【水魔法】【水流操作】や亜人系に多い各種強化スキルを持っているので中々に美味しい相手だった。


 そんなこんなで俺は、冬前に成長していた。


――――――――――――――――――――


 NAME:トール・ライド

 年齢:12

 JOB【錬金術師】

 LV 35

 HP :2070/2070(生命力)MP :630/630(魔力量)

 STR :294(筋力) VIT :244(耐久力) DEX :231(器用さ) AGI :309(速度)

 INT :195(知力、理解力) MGI :246(魔力) RMG :183(耐魔)


 武器スキル

【槍Lv6】

【剣Lv3】

【短剣Lv3】

【棍棒Lv3】

【斧Lv3】

【投擲Lv4】

【盾Lv3】

【弓Lv2】


 魔法スキル

【魔力回復Lv6】

【魔力制御Lv1】

【火魔法Lv2】

【水魔法Lv4】

【土魔法Lv2】

【生活魔法Lv7】

【魔力譲渡Lv8】

【回復魔法Lv1】


 強化スキル

【刺突強化Lv6】

【斬撃強化Lv4】

【打撃強化Lv4】

【生命力強化Lv7】

【魔力量強化Lv3】

【筋力強化Lv7】

【耐久力強化Lv4】

【器用強化Lv5】

【速度強化Lv5】

【知力強化Lv2】

【魔力強化Lv2】

【耐魔強化Lv2】

【自己強化:身体Lv3】

【感覚強化:嗅覚Lv5】

【感覚強化:触覚Lv3】

【消化Lv2】

【回復速度強化Lv4】

【身体強化Lv2】

【並列思考Lv1】

【硬化Lv3】


 耐性スキル

【物理耐性Lv5】

【毒耐性Lv3】

【睡眠耐性Lv1】

【威圧耐性Lv1】

【病気耐性Lv1】


 生産スキル

【錬金術Lv6】

【料理Lv4】

【調合Lv6】

【建築Lv4】

【栽培Lv4】

【裁縫Lv3】

【彫刻Lv1】

【陶芸Lv1】


 技能スキル

【鑑定Lv6】

【採取Lv6】

【跳躍Lv5】

【暗視Lv6】

【騎乗Lv1】

【調教Lv1】

【罠師Lv3】

【狩猟Lv4】

【伐採Lv3】

【水泳Lv3】


 戦術スキル

【連携Lv4】

【追跡Lv3】

【逃走Lv3】

【指揮Lv4】

【威圧Lv4】

【挑発Lv1】

【潜伏Lv2】

【奇襲Lv1】


 感知・隠密系スキル

【気配察知Lv4】

【気配遮断Lv4】

【罠感知Lv2】

【魔力感知Lv6】

【危機察知Lv2】

【魔力隠蔽Lv3】

【霊視Lv3】


 操作スキル

【操糸Lv3】

【操水Lv3】

【血流操作Lv2】


その他スキル

【仮死Lv2】

【礼儀作法Lv2】


 ユニークスキル

【錬成変化】

【成長因子】


 ―――――――――――――――――――――


 そんなことが有りつつ、冬前に無事に2000個の【熱量交換の粘土板】が完成して、ダンジョンまでの道が敷けた。


 実は、改良初期型のフォレスト・ボアの牙を混ぜ込んだ粘土板に比べて、後期型のフォレスト・アントの巣の粘土とフォレスト・ボアの牙を使った粘土板では、性能が向上していた。

 そのことに気付いたのは、冬の終わり頃に初期型の粘土板が魔力切れを起こして停止しているのを見つけたからだ。

 粘土板2000個の魔力補充と合わせて【錬成変化】による解析をした結果、性能差が判明したのは、冬の一幕である。



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