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10話

 10話


 東の方角が様々な魔物が生息しており、南の方角は、かつて人が開拓した形跡である廃村を見つけることができた。

 そして、本日は、西方向の探索に赴いている。

 これまで通り、何かしらの発見があればと思い森を進んでいくと、以前遭遇したのと同規模のゴブリンの集団を見つけた。


「ここもゴブリンか。そうなると東西の魔物の質はあんまり変わらないのかなぁ」


 東西で魔物の種類が変わらないとなると、やはり廃村のある南側が人の領域に近いのだろうなと感じる。

 そして、今回もゴブリンを【錬成変化】で足元を拘束し、背後から槍で突いていく。

 以前の角槍から鉄の穂先に変わったことで、より軽い手応えで息の根を止めていく。


「これで、終わり、と――【錬成変化】」


 俺は、倒したゴブリンに触れて、魔石と【スキルの残滓】を抽出し、残滓が保有するスキルを確認する。


「手に入れたスキルは――おっ、いいスキル」


【筋力強化Lv1】と【速度強化Lv1】というステータス強化系のスキルを手に入れたのは、嬉しい。

 早速この強化スキルを取り込んだ結果、体感で分かるほどSTRとAGIのステータスが上昇した。

 大体、ステータスの数値上は反映されていないが、スキルレベル1で自身のレベル分のステータスが上昇しているのだと思う。


「今回は、積極的に魔物を狩るかなぁ」


 俺は、再び身を隠すようにして森を進んでいく。

 その後、2~3体のゴブリンの集団を複数を見つけては、倒し、【スキルの残滓】を手に入れていく。

 入手できるスキルは、ランダムらしいが、下級ゴブリンのスキルのバリエーションはそこまで多くないようだ。

 そのため、既存スキルと被ることが多く、レベル2に上げるための経験値となっていく。

 時折、錆びた鉄のナイフや折れた鉄剣などの鉄器を持っているゴブリンを見つける。

 それらは、貴重な資源なので、鉄分を分離して、背負い鞄に入れている。

 そして――


「おっ、レベルが上がった。」


 ―――――――――――――――――――――――


 NAME:トール・ライド

 年齢:12

 JOB【錬金術師】

 LV :7

 HP :340/340(生命力)MP :22/64(魔力量)

 STR :48(筋力) VIT :36(耐久力) DEX :36(器用さ) AGI :55(速度)

 INT :32(知力、理解力) MGI :32(魔力) RMG :32(耐魔)


 武器スキル

【槍Lv2】

【短剣Lv1】


 魔法スキル

【魔力回復Lv1】


 強化スキル

【刺突強化Lv1】

【斬撃強化Lv1】

【筋力強化Lv1】

【速度強化Lv1】


 耐性スキル

【物理耐性Lv2】


 生産スキル

【錬金術Lv1】

【料理Lv1】


 技能スキル

【鑑定Lv2】

【採取Lv2】

【跳躍Lv1】

【暗視Lv1】


 戦術スキル

【連携Lv1】

【追跡Lv1】

【逃走Lv1】


 感知・隠密系スキル

【気配察知Lv2】

【気配遮断Lv2】


 ユニークスキル

【錬成変化】

【成長因子】


―――――――――――――――――――――――


 レベルが上がると、その数値分だけ強化系スキルで対応ステータスが底上げされる。

 強化スキルの補正がレベル2に上がった時、どれほど変化があるか、今から楽しみだ。


「さて、もう少しゴブリン倒して、使えそうな素材を探してから帰るかな」


 MP上限が増え、【魔力回復】スキルを手に入れたからと言って、ゴブリンの集団と連続で戦闘してその死体から魔石と【スキルの残滓】を抽出し続けては、MPが枯渇する。

 次のゴブリンと遭遇したら、帰ろうと考えていると、こちらに背を向けて、地面に向かって何かをしているゴブリンを見つける。

 その周囲には、二体のゴブリンが警戒しているが、関係ない。


「――【錬成変化】!」


 足元の地面を操り拘束し、一気に距離を詰めて槍で突き倒していく。

 そして、倒したゴブリンから【スキルの残滓】を抽出していくのだが――


「あっ、ゴブリンが集めていたのは、植物か。それに倒したゴブリンに【調合】スキル?」


 俺は、その二つを関連付け、ゴブリンが集めていた植物を【鑑定】する。


『キィール草:一般的な薬草であり、煎じることで傷薬になる。また【調合】や【錬金術】を使えば、ポーションを作ることができる』


「これだ! 回復手段!」


 俺は、初めてポーションの素材を見つけ、歓喜する。

 たった今ゴブリンから手に入れた【調合】や【錬金術】、それに【錬成変化】を使えば、目の前の薬草と合わせて、ポーションを作ることができる。

 これを足掛かりに、HPやMPを回復するポーションを作ることができれば、俺の狩りの効率がもう少し良くなるかもしれない。


 そんなことを考える一方で、他のゴブリンから抽出した【スキルの残滓】を見て、辟易とする。


「うげっ、このスキルは――」


【スキルの残滓】――MGI微上昇、スキル【性欲増強Lv1】


 今までで初めて見つけた魔力ステータスを上昇させる【スキルの残滓】だが、その取得スキルが【性欲増強】であった。

 亜人型の魔物は、他種族の女を攫って、繁殖のための苗床にするらしい。

 そのための種族特性的なスキルなのだろうが――


「なにが悲しくて独りぼっちなサバイバル生活で性欲を持て余すんだよ。ってか、12歳の体で性欲を持て余すってなんだよ……」


 俺は、そう呟き、長い溜息を吐き出す。

 男神に言われた世界に【成長因子】を広げる方法としてのハーレムを作る際には、必須なのかもしれない。

 だが現状は、メリットを感じないスキルである。


「とりあえず、今は残しておこう」


【調合】と薬草の発見で盛り上がった気分が【性欲増強】のスキルで萎えさせられた。

 だが、スキルとは全てが有用ではなく、時にはデメリットのあるスキルもあるんだな、と感じることができた体験だった。



作品の投稿ペースが冗長と判断し、投稿間隔をストックが尽きるまで1日2話12時と24時に変更します。

引き続き応援よろしくお願いします。

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