忘却の記憶 ~再会の約束を果たすために~ 番外編
これは、僕とある世界の物語。
幼い時の記憶を無くした2人、その2人とかかわっていく少年と少女。
なぜだろう。この世界はとても居心地が良い。
確かに悲しいことや、辛いこともある。人が生きていくうえで当然のこと。
でも、それ以上の楽しみや、嬉しさがある。
これは、2次元。フィクションだ。
でも、この4人は―――
この世界を生きている。
例え、僕によって作られた偽物の感情や物語だったとしても。
その4人と共に笑いあった。
僕にとって、楽しかった時間。
それじゃあ始めよう。僕と彼たちが出会った奇跡の物語を。
SOUJI「っしゃー!学校終わったー!」
心菜「相変わらずだね。学校終わったらすごく元気。」
SOUJI「それ、ひどくない!?学校がつまんないみたいじゃん。」
心菜「違うの?」
SOUJI「んな、わけあるか!授業も真面目にうけてるって。」
俺が反論すると、心菜は顔を近づけて
心菜「本当に?」
(ぎくっ!)
SOUJI「すいません、ちょっと手抜いてます…」
心菜「やっぱり。」
「でも、それでも私より頭いいんだもんな~」
心菜がこちらをジーっとみている。…何かしてほしいのか?
今の会話からすると…
SOUJI「…勉強教えてやるから、その目やめろ。」
心菜「本当?ありがと。じゃあ、湊斗たちも誘おっか。」
SOUJI「あー。…湊斗たちってことは叶恋も来るのか?」
心菜「まー、そうだろうね。」
SOUJI「なら、叶恋で良いじゃねーか。俺より頭良いし。」
心菜「私は5人で勉強したいの!」
SOUJI「5人ってことは、蓮もかよ…小学校の勉強なんて宿題やってれば十分だって。」
心菜「蓮が SOUJI兄に勉強教えてほしいって言ってたんだけどな~」
SOUJI「はぁ…俺に休みはないんですね…」
思わずため息をつく。勉強ぐらい…って言ってる場合じゃ――
叶恋「ないんだよ!SOUJI!」
SOUJI「はいっ!」
「あれ…。」
そこは心菜の家だった。
SOUJI「俺、さっきまで学校に…」
叶恋「あ~、こりゃ、完全に寝ぼけてるね…」
「しっかりしろよ、受験生!」
SOUJI「ふぁーい。」
一瞬で一応状況は把握した。今いるのは、心菜の家。
なのに、叶恋と湊斗がいるってことは…
さっき見ていたのは夢でこっちが現在。
湊斗と叶恋がいるってことは、勉強会でもやってるんだろう…
(はー、叶恋がいるってことは休めないじゃん。)
…蓮は休んでるくせに
小学生は楽だなー
叶恋「ソーウージ?何ほかのこと考えてるのかな?」
げ。これはまずい。叶恋様激おこですな。
さすがにちゃんとしないと、チョップが飛んでくるのでさすがに勉強しよう。
前に虫の模型を使って叶恋を驚かせようと、湊斗と計画を練ったのだが…
叶恋「誰よ!こんなことしたのは!」
SOUJI「へっへー、大成功だぜ!」
叶恋「大成功だぜ! じゃないわよ!」
…その後額にチョップが炸裂し、俺は少しの間気を失った。
怒るのはわかる。俺が悪いのだから。
でも、そこまで…って湊斗は何で説教で終わってんだよ…
叶恋に聞くと
叶恋「あんたはなんか腹立つ。」
…これほど理不尽な回答があるだろうか。
その他にもいろいろな理由はあるのだが、俺は叶恋が少し苦手だった。
俺にとって叶恋は
(真面目で力が強くてすぐに暴力をふるう男女)
という印象しかないからだ。
はー、メンドイなー。運動したいなー。
と思いっきり油断していると。
ゴンッ!
頭に激痛が走る。
叶恋「あんた、また別のこと考えてたでしょ!集中しなさい!」
痛た…本当に俺に対しての対応は男子としか思えない。
力も、性格も、男子としか考えられない。
もし、女子らしいとすると―――
容姿だろうか。
っと、そんなことやってたらまた…
叶恋「何ジロジロ見てんのよ!もしかして…」
「私のこと気になってるとか!?」
SOUJI「はぁ?そんなわけないだろ!?」
何となくわかっていたことだが、湊斗のほうを見てみると…
(SOUJI、てめえ…)
893顔負けの殺気を俺に向ける。怖、マジ怖い
心菜は…、なんでこの状況で普通に勉強でできんだよ!?
叶恋「気持ちは嬉しいけどさー(笑)私には湊斗がいるからね~。」
SOUJI「だから、違うって!」
またまた~とかなんとか言ってるのでこれはもう…
終わらんな~と思ったのでもう仕方ない。
放置だ。
しゃーない、テストも近いから勉強しようか。
そうして、俺はまた楽しくもない勉強を開始する。
数時間が経ったころ、
SOUJI「わりぃ、今日は用事あるから帰るわ。」
湊斗「おう、気をつけてな。」
叶恋「じゃあね!SOUJI!」
心菜「じゃあね。SOUJIくん。また来てね。」
SOUJI「ああ、じゃあな。」
そうして、俺は家へ向かう。今日みたいに俺以外の家に行くことはよくある。
でも、俺の家に来たことは1度もない。
それはなぜなのか。今にわかる。
SOUJI「ワールドチェンジ。イン リアル。」
ふー、誰にも気づかれてないよな…
そう、俺がいる世界とあいつらがいる世界は別世界。
こっちが俺の現実。対してあっちは…
俺が作った架空の世界。
俺が作り上げた世界。思い通りになる世界。
だから、人々の感情も俺が決める。その世界のすべてを操る。
その世界の作者、ストーリーテラーとなる。
でも、感情を操れない人物はいる。
いや、操らない。と言ったほうが正しいか。
湊斗。
叶恋。
心菜。
蓮。
この4人は俺の意思に縛られない。
本当の意味でのあの世界の生きている人々。
あの4人は俺が作りあげた生物じゃない。
それぞれが自分の選んだ道を歩む、俺にとっては偽物でも、あいつらには本物。
そんな、世界を―――