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8話 元魔王、貨幣価値を知る


 ただ今の残金500G


 因みに俺も最近知ったんだが、貨幣はそれぞれの硬貨が用意されている。


 1G硬貨 10G硬貨 


 100G硬貨 1000G銀貨


 大体この4種類が市場に出回っているらしい。因みに前回のクエストがちゃんと成功していれば滅多にお目にかかれない1万G金貨が手に入ったんだがな……


 ああ、でも俺って元魔王だったからアロマの筆談曰く、城の宝物庫には1000万Gのプラチナ硬貨があったらしい。


 ちくせう、ポッケか何かに入れときゃよかったぜ……


 んで、俺はいま100G硬貨が5枚ある訳だが、正直物価がわからん。


「なので今日は市場調査をするぞ!」


「カタカタ!」


 先ずは食料だが――


「おう、らっしゃい! いい野菜が揃ってるぜ!」


「お、おう」


「カタ」


 元気なおじ、いやおばさんか? どっちだ?


「今日は特にニンニンがお買い得だぞ!」


「ふむ、ニンニンか」


 変に甘くて嫌いなんだよな、色が赤っぽいのも気に食わんし。


「カタカタ?」


「おお! 骨の嬢ちゃん良い目利きしてんね! そのボコモは今日あのサブロウさんとこから入荷した奴なんだ!」


 誰だよサブロウって。


「カタカタ!」


「おう! こいつはそのまま焼いてよし、蒸かしてよし、腹にもたまって絶対買って損はしないぜ!!」


「うーむ、いくらなんだ?」


「おう! 一個6Gだが十個買ってくれたら54Gでいいぜ!!」


 なに! それはお得何じゃないか!?


「よし! 買った!!」


「へい! 毎度あり!」


「カタカタ!」


 いきなりいい買い物をしてしまったな。後は何処で蒸かすかだが……後でギルドにでも行くか?


「ふーむ、他の店も見て行くか?」


「カタッカタッ!!」


「うおっ!」


 アロマの奴テンション高いなぁ


――――1時間後


 ほとんどの店を見てきたが、


「大体の物価は把握できたな」


 しかし、あの八百屋め! 


 他のとこのボコモの相場がまさか一個2Gとはな、まんまと騙されたぜ!!


 ノリで買ってはいけない、その事を深く心に刻もう……


「カタカタ」


「ん、そうだな。野菜なんかは高くてもあのボコモの6Gぐらいだったな、普通は2~4Gといったところか。肉はグラムで10Gだからキツイし、魚なんかも50G、パンも50Gするんだぜ?」


 当分はボコモで飢えをしのぐかね。


「フルーツと菓子は論外だな」


 アリプの実という一番安いのでも300Gもするなんてな、果物屋はさぞもうかってんだろうな、くそっ!


 お菓子屋なんかはもう貧乏人が入れる雰囲気じゃなかったからな、正直入り口で萎えた。


「さてと、後は宿だな」


「カタ」


 正直最近まで医務室の柔らかベットだったのでもう芝生とか勘弁。


「あーあ、考えてみたらこの1週間は三食屋根付きで良かったなぁ」


 そう考えれば39500Gの価値はあったのかな?


「おお、ここがそうかな?」


 こんな事もあろうかとギルドご用達の宿屋を紹介して貰っていたのだ!


「カタ……」


 も、勿論アロマがだがな!


キィイ


カタン


「はい、いらっしゃい。ホテル『吹き溜まり』へようこそ」


 ず、随分と酷い名前の宿屋だな。


「あっと、ギルドに此処を紹介されたんだが?」


「ああ、アロマ様ですね。確かスケルトン族と聞いていたのですが?」


「あの、それは俺の連れでして……」


「じゃああなたは?」


「アロマの主人のゲルオだ」


「あらあら、ご夫婦でしたのね」



「へ?」 「カタ」



「そう言ってくださればちゃんと二人部屋を用意したんですが、申し訳ございません。もう少し待っていていただけますか? ねぇ! ちょっといいかしら――」


「いやいやいや!? そうじゃなくて!」


 な、なぜ俺がアロマと夫婦だなんて勘違いされにゃならんのだ!


「――お願いねぇ! ん、失礼しました。では、ご夫婦ですので割引もしておきますね!」


 !?


「えっと、本来はいくらなんですか?」


「素泊まりでしたら御一人様一泊100Gです」


「ほ、ほう。して割引で今回は?」


「冒険者ギルドの方なので40G引きまして、更にご夫婦でダブルの部屋になりますので……えっとお二人で80Gとさせて頂きます」


「夫婦です。千年連れ添った夫婦です」


「カッカタ!?」


「やっぱりそうだったんですね!」


「ええ!」


 すまんなアロマ、背に腹は替えられんという奴だ!


「千年間もご一緒だなんて素敵ですね」


「ええ、家内もすっかり白骨化してしまいましたがね」


「まあ、それでも仲がよろしいんですね! うらやましいですわ!」


「いやいやっいい!」


「カタ……」


 いっつ! アロマの奴! 絶妙な角度で足の小指を踏みやがった!!


「では、準備も出来たのでご案内させて頂きます」


――――

――


「チェックアウトは午前中の11時となります。ご宿泊を延長なさる時はその際にお声をかけて頂ければ可能ですのでご留意ください。では、ごゆっくりどうぞ」


パタン


「ふう、しかしラッキーだったな。まさか半額以下で泊まれるとは」


「……」


「部屋も十分広いしベットは二つあるし、ほら! クローゼットもこんなに大きい!」


「……」


「日当たりはちと悪いが、しばらくは此処を拠点にできそうだな!」


「……」


 くっ、アロマの機嫌がすこぶる悪い。


「あのなぁ、そろそろ機嫌直してくれよ? 夫婦だって嘘ついたのは悪かったって」


「カタ……」


プイ


「仕方ないだろ? お金だってあんまないんだ、それに……」


「……」


「主人としていつまでも配下の者を野宿させるわけにもいかんだろ?」


 アロマは骨と服だけだが、やっぱり女だしな。


 身だしなみとかしたいだろうし、


「それに俺が入院している間お前ずっと外で過ごしていたらしいじゃないか」


「カ、カタ!」


「ボンから聞いたぞ。アロマは唯一俺の元に残ってくれた一番の配下なんだ、頼むから機嫌直してくれよ……」


 マジでこいつに嫌われるのは精神ゲージがゴリゴリ減ってくぜ。


 まあ、MP100しかないけど。


「ホントこの通りだ!」


 俺は最終手段、土下座を敢行した! どうだ!!



「しカタないですね」



 ん!?


「あれ? 今アロマ……」


「カタカタ?」


「……いや、まあいいか」


 許してもらったみたいだしな!


「んじゃあ、気を取り直して。あれだ、ボコモでも蒸かしに行くか?」


「カタカタ!」


 こうして俺達は先ずは厨房が借りれるか尋ねに行くのであった。




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