58話 自称魔王とDMZ ―非武装地帯―
「カタカタ」
あ、アロマっ!? お、お前が助けてくれたってことなんだよな!?
「……ちょっと待ってください!? なんで、なんで……??」
何故か知らんがアシモフはアロマに攻撃を止められたことに信じられないような表情をしている。が、そんなこたどうでもいい! アロマだ! 今回成り行きで何となく家に置いてったアロマがここにいる。
「いや、というかなんで此処に?」
「カタカタ」
アロマは一礼すると俺になんか小包を渡してきた。なんかそれは最近見たような気がする……
「カタっ!」
「……あっ! ああアレか!」
俺はアロマが包んだちょっとファンシーな布を取り払って中身を見る。するとそこから出てきたのは思った通り……
「……お弁当だな!」
「カタ!」
うんうん、そういや出かけるときにアロマに作って貰ったのにすっかり忘れていたよ。見当たらないと思ったら忘れていたのか!
…………いやいや。
「あのぉアロマさん?」
「カタ?」
「これもう三日以上も経っているんじゃ……」
「……カタ?」
「え、いやあの……」
「カタカタ?」
「日持ちする? そ、そう……」
だが中からはちょっと酸っぱい匂いが漂ってくる……
ゴクリッ
「こ、これを食べるんです?」
「……カタ」
しかしアロマは一向になんで食べないんです? みたいな感じでカタカタ言ってくる。
あれ? もしかして……
「怒ってる?」
「カタ」
「怒ってない?」
「……」
あ、これ怒ってますね。
「カタ」
アロマはがっくりしたのか踵を返して背中を見せようとする。
「ちょい待って! 食べる! 俺ちゃんと食べるからこの状況で置いてかないで!!」
「カタカタ」
き、きっと酸味の効いたものだよね? 多分食べて平気だよね?
「……お前何なんです? なんで今の攻撃に反応できたんですか?」
おっと、そういや今アシモフに殺される寸前だったんだったな。アロマの登場にすっかり何時もの感じになってしまった。恐るべしアロマの日常パゥワァ……
「カタ?」
「カタカタじゃない! い、今のはおかしいんですよ! だって、だって今アシモフはっ!?」
「カッカッカッカッカカカ!!」
おおう!? ど、どうしたアロマ?
「カタカタ? カタッカタ?」
「な、何を言ってるか全然わかりません! アシモフはどうして反応できたか聞いて――」
ボギンっ!
「ッ!?」
「は?」
気が付くとアシモフの残った腕が曲がっちゃいけない方向にぐにゃりと曲がってしまっていた……
「な、なな!? え、え……いま……なにが?」
「アロマ? おまえ……」
一体何をしたんだ?
「……カタ」
だがアロマは俺の疑問には答えず、今まで感じた事のない空気を纏いながら事態についていけないアシモフに近寄っていく。
「……よくわかりませんが所詮はスケルトンですよね? なら……っ!!」
アシモフは周りに小さな玉を停止し始める。
「お兄さん、当たり所が悪いとかなり痛いですよ!!」
「アロマっ! その玉は認識できん速さで一斉に飛んでくるぞっ!!」
「カタ?」
だが俺の言った事がよくわからなかったのか、首をコテンと傾けるとよくわかんないながらも前に立って攻撃に備える。
「はは? 何ですそれは、スキルも使えないただの骨が……一緒に粉々だ!」
「……」
アシモフが言った瞬間に停止していた玉が襲い掛かる!
しまった、ここはスキルも使えないんだった!?
「っく……」
ん? 思わず来るであろう痛みに身構えてたが……なにも来ない?
「……はあ?」
「カッタ、カッタ」
「んん? あっ……」
アロマの足元を見ると小さな玉が何故かお行儀よく一列に並んでおり、その事態にアシモフが信じられない顔をしている。驚きすぎてあのくっろい瞳が点になっている。
「いやいやっ!? てかアロマ何したんだ!?」
お前別に特別な能力とかなかったよな? スキルだって使えんこの状況で何したんだ?
「……あ、あれ? 何だろうコレ……なんでアシモフの攻撃が通らないんです?」
ん? 攻撃が通らない? 今は玉の射撃しかやってないような?
「どうしてさっきからそんなに平然としているんだっ!!」
「……かが」
……ああっ! そっか、俺視点じゃわからんがもしかしてさっきから時間を止めて攻撃してんのか!? 考えてみりゃ時間を止めてる間に生き物に触れないからって攻撃が出来ないとは言ってなかったんだった……
てことはアシモフの奴いつでも俺を殺せたって事じゃん!?
「……うわ。変な汗出てきたわ」
「カタ?」
「あああああ……落ち着くんだアシモフ。お前は最強の能力を持ってるんだ。皆だからアシモフを此処に置いてったんだからそうだ落ち着け落ち着け……」
なんだ? アシモフの奴そんなにショックだったのか?
「カタッ!!」
「お、おい!?」
だがそんなアシモフに遠慮なくアロマは攻撃に移る。
「平気だよねそうだよ…………なめないでよ? おねえさん?」
「カタ?」
アロマが勢いよく突っ込んでいくがアシモフは瞬間移動したみたいにその場から消える。
「こっちだよー!」
「ッ!?」
「ちっ! させるかっての! 縮め!!」
「!?」
どうせアロマに攻撃すんだろ! だったらアロマを対象に俺の方へと距離を縮めてやりゃいい!!
「……カタカタ」
ペコリ
「お、おう」
なんかちょっとビックリしたのか、アロマは一度俺に顔を向けて一礼する。
「なるほど。それでアシモフがお兄さんに追いつけなかったんですね。ふふ、まさか最初からやらなかったのは万が一の為ってことですか?」
「あ、当ったり前だろうが!」
「……信用って難しいですね。ちょっと悲しくなりました」
「俺だって悲しいわ! なんでクランの初クエストでこんな目に遭わにゃならんのだ! ちくせう……」
「あんま言いたくないですけど、アシモフだったら怪しすぎて受けませんけどね?」
「カタカタ!!」
えっ? なんで君ら一緒になって俺を非難めいた目で見てんの?
おかしくない? 特にアロマ。
「……はあ、ともかくほんとに何なんですかお姉さん? あ、服でてっきりお姉さんと言いましたけど骨だからわからないですね? これは失礼しました」
「カ?」
「……ゲームに突然乱入してきて、ルール無視なんてふざけてますね? アシモフは一方的なのが好きなんです……あっ! ああそっかそっか!!」
何かに気付いたのか、アシモフは急にニコニコし始めた。
「さっきからの原因がわかりましたよ! ふふ、この領域は考えてみたらスキルの使用を許可していました! アシモフとしたことがうっかりさんでしたね!」
ま、マジかっ!? だったら今すぐに――
「ああ、勿論もう使用はできません。ざーんねん!」
「……カタ」
「ふふ、なんのスキルを使ってたかわかりませんがもう無駄ですよ?」
「あ、アロマ……」
「これで何時もの通りです! ふふ、いい教訓になりましたよ」
「だったらその感謝で逃がしてもらえませんかね?」
「ふふ、ゲームが終わったらいいですよ」
一回死んでねそれ?
「じゃあお礼に骨のお姉さんから……バッラバラにぶっ壊してやる!!」
そういった瞬間アシモフが目の前から消える!
くそ、だったらまたアロマの位置を――
ボギンっ!
「ん?? え、あ……」
「あん?」
「あ、ああ……な、なんで?」
「カタ」
音のする方へ向いてみるとそこには足を折られたのであろうアシモフが倒れていた。近くにはアロマが佇んでいて、それを上半身だけ起こしたアシモフが茫然とした表情でアロマを見ている。
「お、おまえは? お前は何なんです? アシモフはいまちゃんとやっていましたよ? ちゃんと止めていましたよ?」
「カタカタ、カタ?」
そして困惑するアシモフにアロマはだんだんと近づいていっている。
マズい、まさか止めを刺すつもりか!?
「ダメだアロマ! そいつを殺しちゃ!!」
「わあぁあっ!!」
ズボンっ!!
「……カタ?」
「……あ、ああ」
「カタカタ」
アロマは俺に向かって一礼する。みると倒れるアシモフの隣に深い穴が出来ていた。
「はあ、危なかった……」
「カタカタ?」
「ああっと……細かいとこは後で説明するけど。簡単に言うとこいつが死ぬと世界がヤバい」
「カタっ!」
アロマは今の説明だけでなんか伝わったようでグッと俺にハンドサインをする。
「とにかくこのまま逃げんぞ。アロマついて来てくれ」
「カタ」
あとはこっから離れて皆を回収すりゃいいだけ――
「待ってください!」
「あん?」
「げ、ゲームは終わってません! アシモフはまだ遊べます!」
「お前なぁ……」
いい加減にしろよ?
「いいんですか? アシモフの言う事聞かないと解除しますよ?」
「はあ?」
「カタ?」
おいおい、そりゃ卑怯だろ?
「まだアシモフの敗けじゃないです! その骨がどれだけ強くてもアシモフを殺すことはお兄さんがさせませんものね」
「忘れたのかよ? お前が死んだら俺達の敗けってルールだろ?」
「ええ、ですがそれはお兄さんたちのルールです。アシモフの敗北ではないですよね?」
「言ってることおかしいぞお前……」
「だって! だってだってだって! もういやなんです! 変わらないこの場所でずっとずっともう生まれてから500年以上ここにいるんですよ! アシモフだっていいじゃないですか! 楽しんだっていいじゃないですか! なんで? なんでアシモフがここを任されなきゃいけないんです? なんで他の魔王は辞めてもいいのにアシモフはダメなんです! ここまでやってもきっとアシモフは魔王として此処にいなきゃいけないんですよ!?」
「……いやぁ」
んなこと言われてもな……なんか腹立ってきたな。
「じゃあ解除すればもう?」
「……なんですって?」
「いや、もう辞めちまえよ。そんな嫌だったらさ」
「……できるものならやってます! でも、そんなことしたらお兄さんは困るでしょ? みんな、みーんなこまるでしょ? みんながいうからアシモフは此処にいるんだ! なんでそんな事を言うんだよ!」
「ていうか、ここって50年前からこうなったんじゃないのかよ?」
「そ、それは……はぁはぁ……違うわよ」
「博士っ!?」
か、体半分で這いずってきたんか……
「此処がこんな風に異世界に侵食されたのは大変革のあった500年前からよ。最古の魔王なら500年以上前といまでの決定的な違いがわかるでしょ?」
「あん? ああ、それって……」
ロッテが言ってた例の大型アップデートかな?
「そう、それ以上昔はステータスなんて概念はなかったでしょ?」
「あ、ああ」
レベルアップってのは勇者や英雄にはあったがね。
ステータスってのはなかった筈だ。
「その時からよ、此処に黒いシミが広がり始めたのは」
「じゃ、じゃあアシモフは……」
「ええもう五――」
「その見た目で500歳かよ!? おいおい、詐欺だろサギ!」
くっそ! 可愛い可愛いと思ってたらこれかよ!?
ついでにギプスの年齢も500歳越え確定かぁ……
「はぁ其処なのね。まあアンタはその倍生きてるからね」
「……カタ」
え? 大事でしょそこ?
「……アシモフはどうすればいいんです? ねぇ? 一生此処でいなきゃいけないんですから。おにいさん、遊んでよ? もっともっとずうぅぅっと此処で遊んでよ?」
「アシモフ……お前まるでそれじゃあ……」
「な、なんですかその顔は? 何なんですかその顔は!!」
ああ、そっか。ここにいりゃお前は必要とされんもんな。でも、だからってそれとそこに居たいってのは別問題だよな。ふつうはそこで誰かが変わってやりゃいいだけの話なんだ。
でも、こいつはそうじゃない……それにギプスが言ってた。コイツは男が好きなインキュバスだ。それは種族として致命的だったんじゃないか? 必要とされないインキュバスの力と嫌だけど必要とされる魔王の力。そんな中でその両方がある此処が……
「お前、ようは此処から出るのが怖いんだろ?」
「?? はい?」
「ここ、おまえにとっちゃ居心地いいもんな?」
「な、何を言ってるんです? そんなこと思ってたらアシモフは外になんか興味湧かないですよ?」
「いや、湧くさ。変わらない居心地のいい場所は人間どもの寿命ぐらいなら……まあ、まだ許容できっかもしんねえけど、それが百年以上続けば話は別だ」
「カタカタ……」
「は、はは……そんなわけ……」
「でも気持ちいいぬるま湯みたいな此処にずぅうっと居りゃあよ、そりゃ退屈にもなるってもんだよな? だから嫌気がさしてきたんだろ?」
「……」
「は、あっはっはっはっ! なんだそりゃ? バカじゃねえのお前?」
「……うるさい」
「だいたい、お前の言う皆って誰だよ? おまえに皆なんていないだろ?」
「うるさいうるさい」
ああ、何だろな……なんかすっげえムカツク。
「ちょ、ちょっとアンタ?」
「ほんとにバカだなお前? 此処を解除する? そんな事やったらもうお前に……」
「うるさうるさいうるさい! それ以上いうなぁあああぁぁ」
ああ、これあれだ……ある種の同族嫌悪ってやつか……
「価値なんかないじゃん」
「あ、ああ……」
「ば、ばか! 何言ってんのよアンタ!」
「あん?」
「アシモフがこれでホントに此処の解除をしたらどうするのよ?」
「あ、いやその……ほら? 精神攻撃って基本じゃん?」
「……傍から見たらちっちゃな子に喚くいい歳した大人だったわよ?」
「そりゃ……大人げなかったな」
ま、まあ大丈夫だろ?
ほら、なんかアシモフの奴さっきから魂の抜けたような顔して茫然としてるしさ?
「カタ!?」
「ん? どしたアロマ?」
「……ああああああ、あ、あは。もうゲームはいいや」
「カタカタっ!!」
「へ?」
それは一瞬の出来事だった。
目の前に突然アシモフが現れていて、アロマに突き飛ばされて――
「……かった」
気が付いたら何故か……アロマが倒れていた。
「あ、アロマ……?」
手足をバラバラにされて……
「……こんなやり方アシモフだって嫌でした。でも、お兄さんを狙えばこの骨が庇わざる負えないのはわかってましたからね」
「……あ」
「アシモフだって伊達に魔王じゃないんですよ? ステータスの高さはそこらの奴らに劣る訳がないんです。それにスキルを使う使わないはアシモフの自由だって、ゲームに夢中で忘れてましたよ」
アシモフは折れたままの足を無理やり動かしているのか、不自然な立ち方をしていた。
「……か……タ……」
「ふ、ふふ……強敵でした。でもやっぱり反応してきたのは解せませんね? 何発か貰ってしまいましたよ、ホントに何なんだったんですかねコレ?」
そういうとアシモフはアロマから取った片腕を無造作に投げ捨てた。
投げ捨てやがった。
「はぁああぁ……それにしても興ざめですよ。こんな気分になってもう最悪……おわりおわり、もうお兄さんも普通に殺して終わりでいいです。それで全部忘れます」
このガキが……お前が今何をしたかわかってんだろうな?
「博士……コイツは地面の黒いシミが所有地なんだよな」
「え、ええそうね」
「それが無きゃただのガキだよな?」
「そう、だけど……アンタまさかっ!?」
そのまさかだよ!
「結局はお前が此処だよりってのが証明されたな!」
「負け惜しみですか?」
「ちげえよ! あそこまで言われてもDMZの解除をしないのが何よりの証拠だろうが!」
「……もういいから喋んないでください」
「でもな? いつまでもそんなもんがあるだなんて思ってんじゃねえぞ!」
いつだってな、勝手に周りは変わってくんだからなっ!
「っ!? な、なんですか?」
縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮め縮めちぢめちぢめぇええ!!
ここ等ぜーんぶ丸ごと! 縮んじまえってんだよぉおお!!
「ま、まさか……黒い地面の部分だけ……ち、縮めてるっ!?」
ご明察っ! ああ、でもヤバいなんか頭がガンガンしてきたっ!?
「で、できっこない! そんなことできるはずがない!!」
いってろバーカ。
「よしんば可能だとしても、さ、させません! 絶対にさせません!!」
まてまて! こういう時に攻撃すんのはご法度だろ!?
「わたしを忘れないでよね?」
「博士? はは、そんな半身で何ができるんで……っ!?」
「まあ、これぐらいはね?」
そういって博士は俺の足元まで来ると、砂利をなんか周りに撒き始めた。
それはもう必死に穴掘る犬の如くだ!
……いや、何やってんのアンタ?
「あ、くぅ……」
「ほらほら? はやくご自慢の時間停止でもどうぞ? ただしその砂利、停止した世界じゃいったいどうなってるのかしらね?」
「な、なら普通に!」
「来たら劇薬掛けちゃうわよ? さっきのとは比べ物にならないくらいのね!」
おおう、ここに来てなんて頼もしい!
でもできればもうちょっと早くその感じ出してほしかったよ……
っと集中集中! ちぢめぇちぢめぇ……ぬぎぎぃ……
「は、はかせぇ……どうしてアシモフの邪魔をするんですか?」
「お前がわたしに危害を加えなきゃ知らぬ存ぜぬだったわよ? 調子に乗り過ぎたのよ、バカね」
「おにいさん! お願い辞めて! アシモフの場所を取らないでよ!!」
し、知るかよ! だいたいこんなもん大事にするもんでもねえだろうが?
「やめろって言ってんだ!! ふざけんな! こ、こうなったら無理やりにでも――」
「う、ウソでしょ!?」
うん? な、なにが……?
「痛覚止めててよかった……」
「あ、アシモフ……」
目の前にはボロボロで血濡れになったアシモフがいた……
「ごめんなさい……でも困るから、死んで?」
やばいやばいやばいやばい!
ドンっ!
「……あ」
「……え?」
「な、なんで骨の手が……ここに……」
「……か……た」
は、ははは! やるなアロマ!! やっぱお前は最高の配下だぜ!!
んじゃ! 俺も気合い入れてもういっちょいきますかね!!
「縮め縮め縮めちぢめちちめちぢぃいいめええええええ!!」
「や、やめてぇ……や、やめてぇよぉ……」
ああ、けどやばいな……せっかくアロマが繋げてくれたのに……流石に意識が……
くぅう……だがやれるだけはやったよな?
朦朧としてきた意識の中アシモフを見る。
どうやら黒い地面は不思議な事にアシモフが立っている場所だけになっていた。
はは、やるじゃん俺……
「ほ、ホントにやってのけてしまったわね……」
「あ、あああ、ああああああ!! うそだ、ウソだウソだぁああ!!」
「お、終わりだガキ! こんな……色んな奴に迷惑かけやがってよ……」
主に俺とかおれとかオレになっ!!
「うう……う……」
アシモフもさっきので相当なダメージを受けているのだろうか? 黒い地面の上でへこたれて何処かフラフラしてる……ま、俺もだけどな?
「カタ……か……」
「あ、アロマ……」
良かった。なんとか自力で足を繋げれたみたいだ……
「いや、いやまだ……こ、此処にいればアシモフは大丈夫、大丈夫大丈夫……」
「おまえなぁ……」
「ふふ、そうだ! ここでアシモフの知ってる武器は全部効かないようにしよう! 此処からもう出ないんだ! そうだそれで安心なんだ。は、ははは……」
うん、やっぱこう言う奴はいっかい無理やりにでも外に出さなきゃな!
俺だってわかってんだぜ? 変わらずにおんなじとこに居る安心感ってのはよ……でも、千年近くそうだったがあんまいい事はなかったよ。だって俺何してたか殆ど覚えてないんだよなぁ……
「博士、アシモフってこっから出た事ないんだよな?」
「……え、ええ」
「じゃあ、釣りってしたことあると思うか?」
「つり? いや、したことはないと思うわよ」
「だよな……」
「何ですお兄さん? アシモフはまだ負けた訳じゃないですよ? この黒い地面がある限りアシモフは無敵なんです! アシモフはまだ必要なんだ!」
「ほいっ」
俺は最後の体力を振り絞って何か持って来ていた例のあれをアシモフに引っ掛ける。
「え? あ、ええ!?」
さて、釣りあげますかね?
『フィィイイシュウゥウウ!!』
チャーチャララン!!




