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6話 元魔王、頑張る!


 魔獣ベヘモット それはランクSのまごう事なき最上級のモンスターである。


 体長は平均で10メートルだが、20メートルともなればキングの名が冠すると云われている。


 ようするにだ――


「くそおおお!! なんでよりにもよってキングが相手なんだよ!!」


 俺は現在負傷したボンを担いで奴が追って来れない場所まで逃げている最中だった。


「す、すまぬ……」


「無理に喋んな! 血がかかんだろうが!!」


「……」


「カタカタッ」


 クソっ! それでも最初は順調だったのによ!!


――――

――


「いいか? この先にベヘモットがいるはずだ」


「はいはい、んで相手は一体だけなんか?」


「うむ、何時も一体だけだと聞くな。僕もコイツは初めてだが」


 おいおいそれって、


「だ、大丈夫なのか?」


「心配するな、対となるリヴァイアを単独で倒したことだってあるんだ。本当に無理なら何だかんだ言って受付嬢が止めていたさ」


 そ、そうだろうか? 割かし本気でご冥福を俺に祈っていた気がするが……


「カタカタ」


「むっ! 現れたな!」


ぎゅおおおおおお!


 ソイツはカバに毛が生えたような奴だった。カバって知ってる? 異世界の動物なんだぜ?


「そんなに大きくないな?」


「ふむ、体長は大体10メートルときくが……」


 どうみても5メートル弱だな、これは運がいいんじゃないか?


「ま、油断せずに行こうぜ!」


「ああ、そうだな」


 そう言いつつ俺はしっかりと距離を取る。闘いってポーターの仕事じゃないじゃん?


「カタカタ」


「はぁあ、まあこの程度なら僕一人でも十分だろう、行くぞ!!」


 うん、ここまでは全然順調だった。ボンの剣技は一流で気づけば相手をスパッと両断していたからな。


「楽勝だったな」


「ああ……っ!!」


「うん? どした?」


「どうやら、そうもいかなくなったみたいだ」


「へ?」


ぎゅおおおぎぎゃあああああああああああああ!!


 まさに大音量だった。遠くからでもその大きさが異常なほどだと分かる、桁違いの魔獣がそこにいた。


「ゲルオは退いていて、くっ! マズイ!!」


ヒュンっ!


 それはまさに不意を突いた攻撃だった。巨大なベヘモットは何かを飛ばしてきていた。


ズゴォオオン


「あれ?」


 やられたと思ったが何故か無傷で、目の前にはボンが倒れていた――


「ま、まさか……キングが相手とは……」


「ボ、ボン!!」


――――

――


 こうして俺はボンを抱えてキングから逃げている最中って訳だ! 正直俺を庇ってくれたボンには申し分けねえぜ! 


ぎぎぎぎゃおおおおおおおお!!


ヒュン


「どわっち! くそぉお! まっすぐ行けりゃ直ぐなのによ!!」


 ちくせう! どうすりゃいい!! 


 取り敢えずコイツの着こんでいた鎧やらの重量は軽くしたから何とか背負えるけど! 


ぎやぁおおおおぎゃあああああああ!!


「ヒィイ!!」


 やばいやばいやばい! 


 俺の敏捷が高めなおかげで何とか追いつかれていないしあの変な球も躱せちゃいるが、辿り着けるか?


「カタカタ!」


 というかアロマ速ええ! あいつが先導してくれてるから予期せぬ被弾もなく走れているのかもな――


ヒュンッ


「は?」


ズゴォオオン!!


「な、なにぃいい!!」


 何かあらぬ方向に飛んできたと思ったら、あの野郎目指していた場所の入り口を塞ぎやがった!!


 どうする? このまま逃げてても全滅しちまうが……


「ちっ! しかたねえか、アロマ! ボンを頼む!!」


「カタ?」


「いいからボンを頼む! 俺よりこいつのが生きて帰るべきだろうが!!」


「カタカタ……」


「な、なにをいっているゲルオ……」


「おめえは黙ってろ! ちくしょう、こんなことになるなんてよ!」


 わかってる、わかってんだよ! 


 俺が何もしてこなかったクズ魔王だったってことぐらい!


「カタカタ!」


「アロマ!! 俺の命令だこれは! いいから先に担いで行け! 俺に合わせるな!!」


「カタっ!!」


 ったくよ、ホントいい配下だぜお前は。


ぎゅううぎゅぐぐぐぐぅううう


 だからこそ、命の勘定が簡単にできちまう、ああもう!!


「きやがれデカいだけの獣が!! 俺は大魔王様に抜擢されたゲルオ!!」


 試すしかねえ、それしかもうねえ!


ぎゃぐぉおおおおおおおおおおおお!!


「序列7の魔王!! 伸縮のゲルオだ!! そこらの魔王とは違うんだ!」


 なにが魔王の面談だ! 何が伸び縮みするだけだ! 何がステータスだ!!


「んなもんで俺の何がわかったってんだよちくしょうがああああ!!」


 うまくいきゃなきゃ死ぬ、でも選択肢なんかねえんだよ!!


 右手を前に出し相手を見据えて……握る!!


「大魔王に魅入られた俺の力だ! お前ごときが耐えられるかよ!!」



 縮め!! 縮め縮め縮めぇええええええ!!



ぎゃぐおおおぉぉぉぉ……



「は、はは……やっ――」


ボゴン!!


「ヴぉええええ!!」


ゴロンゴロンゴロ


「うう、重さ……は、そのまま、だった……」


「いや、後は任せろ!! ふんっ!!」


ぷちっ


「……か、勝った」


 どうやらボンが最後の力を振り絞って小さくなったベヘモットを潰してくれたようだ。


「おい! ゲルオ!! 大丈夫か!!」


「カタッカタカタ!!」


 くぅう、大丈夫なわけないだろ……くそぉ駄目だ、意識が……


「カタカタ、ゲルオ様です」


 はは、そうだろアロマ? なんたって俺は――












読んでいただきありがとうございますm(__)m


ブクマしていただいた方々の期待に応えられるように頑張りたいと思います!!


また、感想、評価は勿論、日頃のうっ憤から罵詈雑言までどんなプレイも大歓迎です!!(*´ω`*)

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